更新日: 2022.06.04 厚生年金

定年退職後に働いた場合、いくら稼ぐと年金は減らされる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

定年退職後に働いた場合、いくら稼ぐと年金は減らされる?
日本では寿命が延びていることから老後とされる期間も長く、定年退職後に働く人も少なくありません。しかし、定年退職後は、働き方や稼ぐ金額によっては年金が減らされることがあります。できるだけ年金を減らされることなく働きたいなら、基準となる金額を知っておきたいものです。
 
本記事では、定年退職後に働いた場合、いくら稼ぐと年金は減らされるのか説明します。定年退職後に働くことを検討している人は、ぜひご一読ください。
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定年退職後に働くと在職老齢年金はいくらもらえる?

 
2022年4月から、65歳未満の方の在職老齢年金制度が改正されました。繰下げ受給の上限年齢の引き上げや、在職老齢年金制度の見直しなど、いくつか変更点があります。
 
ここでは、在職中の老齢厚生年金受給者が定年退職後に働くことで、年金の全額または一部が支給停止されるのはどのような状況なのかについて見ていきましょう。
 

支給停止されない場合

 
2022年4月以降の改正で、60歳以上65歳未満の方で在職老齢年金の基本月額と総報酬月額相当額の合計額が、65歳以上と同じように47万円以下であれば、年金は減額されません。
 
在職老齢年金の基本月額とは、加給年金額(年金に対し扶養手当のように加算されるもの)を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額を指します。一方、総報酬月額相当額とは、その月の標準報酬月額(基本給のほか役付手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を加えたもの)に、1年間の標準賞与額(労働の対価として受けるすべてのうち、3ヶ月を超える期間ごとに受けるもの)を足して12で割った金額を足したもののことです。在職老齢年金の基本月額によって、支給停止されない年金額は異なります。
 

支給停止される場合

 
基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えると、老齢年金が支給停止されます。老齢年金の一部または全額が支給停止される場合、支給額の基準となるのは下記の計算式です。

在職老齢年金による調整後の年金支給月額=
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

稼ぐ金額が多ければ多いほど、年金の支給停止額は高額になります。
 

年金の減額が年金額に反映される時期

 
「年金を全額受給できると思っていたのに、一部しか支給されていない」などと思い違いをしてしまうことがあるかもしれません。そこで、年金の一部または全部が減額される場合の減額される金額だけでなく、減額されるタイミングを知っておきましょう。
 
以下では、年金の減額が年金額に反映される時期について紹介します。
 

基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えている期間

 
公的年金は、原則として65歳から受給開始できます。
 
ただし、老齢年金を受給しながら厚生年金に加入している65歳以上70歳未満の人は、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えている期間が支給停止対象です。
 
支給額の見直しは、総報酬月額相当額が変わった月もしくは退職日の翌月となります。
 

退職したとき、または70歳に到達したときは見直される

 
厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている70歳未満の方は、退職して1ヶ月経過後に退職翌月分の年金額から見直されます。また、厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている70歳未満の場合は、70歳に到達したときに70歳に到達した翌月分の年金額から見直されます。
 
年金額の一部または全部支給停止の解除後、全額支給されるようになり、退職までの厚生年金に加入していた期間が年金額に反映され、年金額の再計算が行われます。
 

年金の減額基準は47万円! 総報酬月額と年金の合計額を意識しよう

 
「定年退職後に働いた場合、いくら稼ぐと年金は減らされる?」という疑問は、定年退職した後も働くうえで理解しておきたいポイントです。
 
基準となるのは、年金の基本月額と総報酬月額を合計して47万円を超えた場合で、年金の一部または全額が支給されます。
 
調整後の年金支給月額は、基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2で計算されますので、定年退職後に働くなら押さえておきましょう。
 
定年退職後にも働いて活躍する人は増えています。年金の減額を抑えながら働くのであれば、基準は47万円であることを忘れないようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました
日本年金機構 令和4年4月から65歳未満の方の在職老齢年金制度が見直されました
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 は行 標準報酬月額
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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