更新日: 2022.06.15 年金

令和4年4月からの年金制度改正。高齢者の働き方はどう変わる?

執筆者 : 堀江佳久

令和4年4月からの年金制度改正。高齢者の働き方はどう変わる?
厚生労働省によると、年金制度改正法の目的は「より多くの人がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、今後の社会や経済の変化を年金制度に反映していき、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図るため」となっています。
 
今回は、この改正法の中で高齢者の働き方に関係する3つの改正法、すなわち(1)在職中の年金受給の在り方の見直し、(2)年金受給開始時期の選択肢の拡大、(3)確定拠出年金の加入可能要件の見直しなどの措置について、その内容と改正が働き方にどのように影響するかを考えてみます。
 
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

在職中の年金受給のあり方の見直し

 

(1)在職定時改定の導入

65歳以上の労働者について、従来は、70歳になったら(もしくは、退職時)、年金額が改定され増額されていました。今回の改正により、在職中であっても年金額の改定を年1回行い、年金額が増額されるようになります。
 
これによって、就労を継続したことの効果は、退職を待たずに早期に年金額に反映されます。年金を受給しながら働く65歳以上の労働者の、経済基盤の充実を図ることができます。
 

(2)在職老齢年金制度の見直し

60~64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象としている在職老齢年金制度(低在老)において、年金の支給が停止される基準が、現行の賃金と年金月額の合計額28万円から47万円に緩和されます。
 
対象となる労働者の方は、月額47万円までは働くことをセーブする必要はなくなり、かつ、収入を増やすことが可能になりました。
 

年金受給開始時期の選択肢の拡大

公的年金は原則として、65歳から受給することが可能ですが、現行の制度において、希望者は60歳から70歳の間で受給開始時期を自由に選ぶことができました。
 
今回の改正により、年金受給開始時期について、その上限が75歳に引き上げられます。繰り下げ増額率は、最大プラス42%だったのが、最大84%となります。
 
今後は年金の繰下げ受給を活用し、75歳まで年金を受給しないで、受給額が最大84%増額となった年金を、生涯を通じて受け取るという働き方をすることができるようになりました。
 

確定拠出年金の加入可能要件の見直しなど

確定拠出年金(DC)制度とは、基礎年金や厚生年金などの公的年金制度に対して上乗せするかたちで拠出された掛け金と、その運用収益との合計額をもとに、将来受け取る給付額が決まる年金制度です。
 
事業主が掛け金を拠出する企業型DCと、加入者自身が拠出する個人型DC(iDeCo)がありますが、加入と年齢と受給開始時期について、以下のように改正されます。
 

(1)確定拠出年金(DC)に加入できる年齢が引き上げられました(2022年5月~)

 
1. 企業型DCに加入できる方を、従来の65歳未満から70歳未満に引き上げ
ただし、企業によっては加入できる年齢等が異なりますので、お勤めの会社に確認をする必要があります。
 
2. 個人型DC(iDeCo)に加入できる方を、従来の60歳未満から65歳未満に引き上げ
 

(2)受給開始時期等の選択肢の拡大

 
1. 確定拠出年金(企業型DC・個人型DC<iDeCo>)(2022年4月施行)
これまでは、60歳から70歳の間で各個人において受給開始時期を選択できましたが、公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大に併せて、上限年齢を75歳に引き上げました。
 
2. 確定給付企業年金(DB)(公布日<2020年6月5日>から施行)
現行は、60歳から65歳の間で労使合意に基づく規約において支給開始時期を設定できますが、企業の高齢者雇用の状況に応じた、より柔軟な制度運営を可能とするため、支給開始時期の設定可能な範囲を70歳までに拡大しています。
 
これらの改正によって、長く働きながら確定拠出年金(DC)制度などを活用し、人生100年時代ともいわれる老後の資金を増やすことが可能になりました。
 

出典

厚生労働省 年金制度改正法(令和2年法律第40号)が成立しました
厚生労働省 年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要(令和2年法律第40号、令和2年6月5日公布)
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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