今回は、標準報酬月額の概要について解説します。また、標準報酬月額を使った保険料や年金額の計算方法も紹介します。
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標準報酬月額とは
標準報酬月額とは、会社員が勤務先から支給される1ヶ月の報酬(報酬月額)を、32の等級に区分した金額のことです。報酬月額には、基本給のほか通勤手当や残業手当などの各種手当が含まれます。ただし、ボーナスは含めません。
各等級の、令和4年度の標準報酬月額は、図表1の通りです。標準報酬月額の9.15%(会社と合わせて18.3%)が厚生年金の保険料となります。
【図表1】 標準報酬月額と厚生年金保険料
標準報酬月額は、毎年4~6月の報酬月額を平均して決定し、原則9月から翌年8月まで使用します。また、入社時には支給予定報酬をもとに標準報酬月額を決定し、次の8月まで使用します。標準報酬月額は、毎年9月に改定されると覚えておきましょう。
なお、年度の途中で標準報酬が大きく変動(3ヶ月の平均が2等級以上変動)した場合、標準報酬月額は改定されます。
標準報酬月額が決まったら、会社から図表2のような通知書が交付されるため、確認しましょう。
【図表2】 標準報酬月額などの通知書例
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標準報酬月額を使った計算
標準報酬月額に厚生年金や健康保険、介護保険の料率を掛けると、毎月の各保険料が計算できます。社会保険料は労使が折半して支払います。
・厚生年金保険料率:18.3%
・健康保険料率:10%前後(健康保険組合によって異なる)
・介護保険料:1.64%
また、老齢厚生年金額(報酬比例部分)は次の式で概算できます。計算を簡略化するため、2003年4月以降に厚生年金に加入、ボーナスなし、として計算します。
・老齢厚生年金額=平均標準報酬額×5.481÷1000×厚生年金の加入月数
平均標準報酬額とは、各月の標準報酬月額の平均額です。各月の標準報酬月額を確認するのは難しいため、これまでの年収平均を12ヶ月で割ったおおよその金額を、平均標準報酬額として概算してもよいでしょう。
最後に、在職老齢年金について説明します。定年後も仕事を続ける人は確認しましょう。
在職老齢年金とは、会社員として働きながら年金を受け取る場合、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額と、その月の標準報酬月額(ボーナスがあればその12分の1を加算)が47万円を超えると、年金の一部または全部が支給停止される仕組みです。
標準報酬月額を月給と勘違いしている人も多いので、注意しましょう。
標準報酬月額を知ることで年金に対する理解を深めよう
標準報酬月額は、厚生年金保険料や老齢厚生年金額の計算基礎となるものです。
会社員が年金制度を理解するためには、標準報酬月額の意味や保険料・年金額の計算の仕組みを覚えておくといいでしょう。
出典
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 被保険者への通知より 通知様式の例
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 報酬比例部分
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級