更新日: 2022.06.29 厚生年金

年金制度の基礎知識! 厚生年金を理解するには「標準報酬月額」を知ろう

年金制度の基礎知識! 厚生年金を理解するには「標準報酬月額」を知ろう
会社員が厚生年金について勉強するとき、難しく感じるのが「標準報酬月額」です。標準報酬月額とは、厚生年金保険料や老齢厚生年金の金額などの計算基礎となるものです。
 
今回は、標準報酬月額の概要について解説します。また、標準報酬月額を使った保険料や年金額の計算方法も紹介します。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

標準報酬月額とは

標準報酬月額とは、会社員が勤務先から支給される1ヶ月の報酬(報酬月額)を、32の等級に区分した金額のことです。報酬月額には、基本給のほか通勤手当や残業手当などの各種手当が含まれます。ただし、ボーナスは含めません。
 
各等級の、令和4年度の標準報酬月額は、図表1の通りです。標準報酬月額の9.15%(会社と合わせて18.3%)が厚生年金の保険料となります。
 
【図表1】 標準報酬月額と厚生年金保険料

図表1

 
標準報酬月額は、毎年4~6月の報酬月額を平均して決定し、原則9月から翌年8月まで使用します。また、入社時には支給予定報酬をもとに標準報酬月額を決定し、次の8月まで使用します。標準報酬月額は、毎年9月に改定されると覚えておきましょう。
 
なお、年度の途中で標準報酬が大きく変動(3ヶ月の平均が2等級以上変動)した場合、標準報酬月額は改定されます。
 
標準報酬月額が決まったら、会社から図表2のような通知書が交付されるため、確認しましょう。
 
【図表2】 標準報酬月額などの通知書例
図表2

 

【PR】資料請求_好立地×駅近のマンション投資

【PR】J.P.Returns

おすすめポイント

・東京23区や神奈川(横浜市・川崎市)、関西(大阪、京都、神戸)の都心高稼働エリアが中心
・入居率は99.95%となっており、マンション投資初心者でも安心
・スマホで読めるオリジナルeBookが資料請求でもらえる

標準報酬月額を使った計算

標準報酬月額に厚生年金や健康保険、介護保険の料率を掛けると、毎月の各保険料が計算できます。社会保険料は労使が折半して支払います。

・厚生年金保険料率:18.3%
・健康保険料率:10%前後(健康保険組合によって異なる)
・介護保険料:1.64%

また、老齢厚生年金額(報酬比例部分)は次の式で概算できます。計算を簡略化するため、2003年4月以降に厚生年金に加入、ボーナスなし、として計算します。

・老齢厚生年金額=平均標準報酬額×5.481÷1000×厚生年金の加入月数

平均標準報酬額とは、各月の標準報酬月額の平均額です。各月の標準報酬月額を確認するのは難しいため、これまでの年収平均を12ヶ月で割ったおおよその金額を、平均標準報酬額として概算してもよいでしょう。
 
最後に、在職老齢年金について説明します。定年後も仕事を続ける人は確認しましょう。
 
在職老齢年金とは、会社員として働きながら年金を受け取る場合、老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額と、その月の標準報酬月額(ボーナスがあればその12分の1を加算)が47万円を超えると、年金の一部または全部が支給停止される仕組みです。
 
標準報酬月額を月給と勘違いしている人も多いので、注意しましょう。
 

標準報酬月額を知ることで年金に対する理解を深めよう

標準報酬月額は、厚生年金保険料や老齢厚生年金額の計算基礎となるものです。
 
会社員が年金制度を理解するためには、標準報酬月額の意味や保険料・年金額の計算の仕組みを覚えておくといいでしょう。
 

出典

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 被保険者への通知より 通知様式の例
日本年金機構 厚生年金保険の保険料
日本年金機構 報酬比例部分
日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集