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更新日: 2022.06.30 その他年金

離婚時の「年金分割」とは? 知らないと損する老齢年金のお話

離婚時の「年金分割」とは? 知らないと損する老齢年金のお話
長年会社勤めをしている人は厚生年金を受給できる一方、専業主婦(夫)の場合、老齢基礎年金(2022年の満額77万7800円)だけでは老後の備えとして十分とは言い切れません。
 
離婚することになった場合、家庭を支えてきた専業主婦(夫)にとっては苦労が報われない不公平さを感じるかもしれません。
 
今回の記事では、離婚時に年金の算出根拠となる納付記録を分割する年金分割制度について、厚生年金に加入していない場合に利用すると将来の年金額が増える可能性のある点にも触れながら、わかりやすく解説します。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

離婚時の年金分割とは

年金分割制度の対象になるのは、婚姻期間中に夫婦の一方または両方が厚生年金に加入しているケースです。夫婦とも自営業など国民年金第1号被保険者の場合、この制度を利用することはできません。
 
年金分割には、合意分割と3号分割の2種類があります。本記事ではより一般的な合意分割を中心に解説していきます。
 

分割するのは厚生年金の保険料納付記録

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録(標準報酬)を夫婦間で分割するものです。将来受け取る年金を分割するのではなく、老齢厚生年金額の計算基礎となる標準報酬を分割するというところが、年金分割のポイントとなります。
 
例えば、標準報酬を50%ずつに分割する場合、それぞれの標準報酬は次のようになります。
 


(ケース1)夫の標準報酬月額50万円、妻は専業主婦
 年金分割により夫の標準報酬月額は25万円、妻は25万円に変更される
 
(ケース2)夫の標準報酬月額50万円、妻は20万円
 年金分割により夫の標準報酬月額は35万円、妻は35万円に変更される

図表1


出典:日本年金機構 「離婚時の年金分割について」
 
(※実際の割合は、離婚した2人の話し合いによる合意、または離婚調停などによって決まり、状況によって変化します)
 

分割によって将来もらえる老齢厚生年金額が増える

専業主婦(夫)や、配偶者と比べて婚姻期間中の厚生年金加入期間が短い人(または標準報酬が低い人)の場合は、年金分割によって将来もらえる老齢厚生年金額が増加する可能性があります。
 
というのも、老齢厚生年金額は、標準報酬が増えたり厚生年金の加入月数が多くなったりするほど高くなるからです。専業主婦(夫)の場合、年金分割により標準報酬と厚生年金加入月数がともに増加し、その結果、老齢厚生年金額も増えるケースが出てくるのです。
 

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年金分割の注意点

次に、年金分割の注意点について説明します。
 

離婚後2年以内の手続きが必要

年金分割の請求手続きは、離婚した日の翌日から2年以内に行う必要があります。手続きを行わないまま2年が経過しますと、年金分割はできなくなります。請求手続きは、年金事務所または街角の年金相談センター(全国社会保険労務士会連合会が全国80カ所で運営)で行います。
 

3号分割を選択すると損をするケースも

年金分割には、「3号分割」という方法もあります。専業主婦(夫)など第3号被保険者であった人が、相手の同意なしに単独で年金分割できる制度です。第3号被保険者であった人にとって有利な制度のようにも思えますが、3号分割を選択することでかえって損をするケースもあるので注意しましょう。
 
というのも、3号分割で分割される標準報酬は、2008年(平成20年)4月1日以後の第3号被保険者期間に限定されるからです。
 
2008年3月31日以前の期間や夫婦ともに厚生年金に加入していた期間については年金分割されないため、合意分割した場合と比べて将来の老齢厚生年金額が少なくなる可能性があります。
 

離婚時は基本的に合意分割を目指そう

今回は、離婚する時に婚姻期間中の厚生年金の標準報酬を夫婦間で分割する年金分割の仕組みについて解説してきました。専業主婦(夫)の場合などは、年金分割によって将来的に受け取る老齢厚生年金が増加する可能性があります。
 
ここで紹介したポイントをしっかり理解した上で制度の利用を検討し、必要の場合は期限内に忘れず手続きをしましょう。
 

出典

日本年金機構 離婚時の年金分割
日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(合意分割制度)
日本年金機構 離婚時の厚生年金の分割(3号分割制度)
全国社会保険労務士連合会 街角の年金相談センター一覧
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級

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