年金を受け取り始めてからも、老後資金を増やすことはできるの?
配信日: 2022.07.03
年金を受け取り始めてからでも、老後資金を運用することは実は可能です。本記事では、年金を受け取り始めてからの資産運用について解説します。なお、本記事では年金を公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)とし、受け取り開始年齢を65歳と想定します。
執筆者:中村将士(なかむら まさし)
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー
私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。
資産運用のポイントはリスクを取り過ぎないこと
老後資金が不安だからといって、「年金を増やす」と考えることは危険です。資産運用を行う際には、リスクとリターンの関係を意識しなければなりません。リスクとリターンの関係は、比例関係です。
大きなリターンを望むなら、大きなリスクを負わなければなりません。老後資金を運用する場合、何より大事なのは「減らさない」ということではないでしょうか。
老後資金に余裕がある場合はともかく、老後資金に不安を感じる場合は、今あるお金を守る方向で考える必要があります。ということは、大きなリスクを取るべきではないということです。
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リスクを低くする方法
とはいえ、リスクを全く取らないとなると、老後資金を増やす可能性もなくなってしまうので、多少のリスクを取る必要はあります。リスクを低くして資産運用をする方法は、2通りあります。金融商品によってリスクを低くする方法と、投資方法によってリスクを低くする方法です。
金融商品によってリスクを低くする
金融商品によってリスクを低くする方法とは、リスクの低い金融商品で運用するということです。金融商品の代表的なものとして、「預貯金(普通預金、定期預金)」「債権(国債、地方債、社債など)」「投資信託(インデックスファンドなど)」「株式(個別銘柄)」があります。
これらをリスクの低い順に並べると、一般には、(1)預貯金(2)債権(3)投資信託(4)株式となります。金融商品によってリスクを低くする場合、預貯金、債権を中心に運用することになります。
投資方法によってリスクを低くする
リスクの低い金融商品のみで運用すると、当然、リターンも小さいものになります。もう少し高いリターンを望むのであれば、もう少しリスクを取る必要があります。
その場合、投資方法によってリスクを低くする(バランスを取る)ようにします。具体的には、分散投資をするということです。分散投資をすることで、1つの金融商品で運用したときに比べ、リスクを低くすることができます(ただし、リターンも低くなります)。
分散投資を形にした金融商品として、投資信託があります。投資信託は、投資家のお金を集め、それを専門家が運用し、利益(損失)を投資家に還元するというものです。
投資信託にはさまざまな種類のものがあります。購入される場合は、商品内容や発生するコストをよく理解した上で、ご自身の目的に合ったものを選択するようにしてください。
NISAやつみたてNISAも利用できる
老後資金の一部を、「NISA」や「つみたてNISA」などの制度を利用して運用することもできます。NISA、つみたてNISAは、20歳以上であれば利用できる制度で、この口座で運用した金融資産運用から得られる利益が非課税となる制度です。
NISA、つみたてNISAは選択制です。どちらか一方の口座しか開設できません。つまり、NISAを利用する場合は、つみたてNISAは利用できません。つみたてNISAを利用する場合は、NISAは利用できません。
これらは非課税枠、取扱商品などが異なりますので、口座を開設する前によく確認をしておく必要があります。
まとめ
年金を受け取り始めてからでも、運用することは可能です。本記事では、年金を運用に回す際に気を付けていただきたいポイントをまとめました。リスクを取り過ぎないことは、特に注意していただきたいところです。
65歳以降も「NISA」や「つみたてNISA」を利用することができます。運用によって得られた利益が非課税となりますので、検討してみるのもよいでしょう。
年金を上手に運用できれば、老後資金に対する不安も少しは軽くなるでしょう。あなたの充実した老後生活のために、本記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
出典
金融庁 NISAとは?
金融庁 つみたてNISAの概要
執筆者:中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー