更新日: 2022.07.05 その他年金
「年金と失業保険は同時に受け取れない!?」老齢年金と雇用保険との「調整」とは?
本記事では、老齢年金と雇用保険との調整について解説します。
調整の対象は、65歳になる前に支給される、以下に挙げた公的給付です。
・老齢年金:特別支給の老齢厚生(または共済)年金など
・雇用保険:基本手当(以下、失業保険)と高年齢雇用継続給付
執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)
社会保険労務士・FP2級
老齢年金と失業保険との調整
まず、老齢年金と失業保険との調整について解説します。
失業保険とは
「失業保険」とは、雇用保険に一定期間加入した人が失業したときに受給できる、雇用保険の給付です。失業1日当たりの給付金額は、離職前の賃金の約45~80%(年齢別の上限あり)です。給付日数は、離職理由や雇用保険の加入期間によって異なります。
60歳以上65歳未満の人の場合、1日当たりの上限は7096円(2021年8月1日~)、給付日数は90日~240日です。
失業保険を受けると老齢年金はもらえない
老齢年金と失業保険の両方の受給権がある場合、実際に受給できるのはどちらか一方だけです。失業保険を受ける場合は、ハローワークで申請手続きをします。しなければ、老齢年金が支給されます。金額の多い方を確認してから、どちらを受給するか選択しましょう。
年金受給者が失業保険を受給する場合、年金の支給が停止するのは、失業保険を受給するために「求職の申し込み」をした日の翌月からです。実際に失業保険を受給しなかった場合も、求職の申し込みをすると老齢年金はいったん、支給停止されるので覚えておきましょう。支給停止された年金は、3ヶ月程度の後に支給されます。
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老齢年金と高年齢雇用継続給付との調整
まず、老齢年金と高年齢雇用継続給付との調整について解説します。
高年齢雇用継続給付とは
高年齢雇用継続給付とは、雇用保険に5年以上加入していた60歳以上65歳未満の人の賃金が、定年後再雇用などで60歳到達時の賃金の75%未満となったときに支給される給付金です。
支給期間は60歳~65歳まで、給付金額はその月の賃金に支給率(最大15%・賃金が60歳到達時の61%以下の場合)を乗じて計算します。例えば、60歳到達時の賃金30万円(月額)が18万円に下がった場合、給付金額は賃金18万円の15%(月額2万7000円)になります。
高年齢雇用継続給付を受けると、老齢年金は一部が支給停止に
高年齢雇用継続給付と老齢年金は同時に受給できますが、老齢年金の一部は支給停止されます。支給停止される金額の目安は、高年齢雇用継続給付の約40%です。
働きながら年金を受け取る場合、在職老齢年金制度によって報酬や年金額が高いと老齢厚生年金の一部または全額が支給停止されます。その場合でも、高年齢雇用継続給付との調整は適用されるため、図表1の通り、二重の支給停止を受けることになります。
(図表1)老齢年金の支給停止の仕組み
※日本年金機構のHPより引用
65歳前は雇用保険との調整に注意して生活設計しよう
雇用保険の給付(失業保険や高年齢雇用継続給付)を受けますと、老齢年金は支給停止されます。失業保険を受けた場合は全額支給停止、高年齢雇用継続給付を受けた場合は給付金額の約40%が支給停止になります。
老齢年金と雇用保険との調整について理解しておきませんと、老後の生活設計が狂う可能性もあります。「60代前半に会社を辞めて老齢年金と失業保険で当面の生活を」と考えていた人は、老後の働き方や生活設計を再点検しましょう。
出典
日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整
日本年金機構 年金と雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級