更新日: 2022.07.11 国民年金

未納期間が10年あります…将来の年金はいくらもらえますか?

未納期間が10年あります…将来の年金はいくらもらえますか?
公的年金は、生きている間ずっと受け取ることができる終身タイプの年金であり、老後の収入を支える1つでしょう。
 
老後に年金を受け取るためには、年金保険料を納める必要がありますが、未納期間があると、将来の年金受給額が減少してしまいます。
 
老齢基礎年金の受給要件や受給額、年金保険料が未納になることのデメリットについて、紹介します。
伊達寿和

執筆者:伊達寿和(だて ひさかず)

CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

会社員時代に、充実した人生を生きるには個人がお金に関する知識を持つことが重要と思いFP資格を取得。FPとして独立後はライフプランの作成と実行サポートを中心にサービスを提供。

親身なアドバイスと分かりやすい説明を心掛けて、地域に根ざしたFPとして活動中。日本FP協会2017年「くらしとお金のFP相談室」相談員、2018年「FP広報センター」スタッフ。
https://mitaka-fp.jp

老齢基礎年金を受給するための要件

公的年金は、国民年金と厚生年金保険の2階建てになっています。会社員・公務員は、厚生年金保険に加入すると同時に国民年金にも加入しており、年金保険料を給与天引きで強制的に納めるので、未納になることはないでしょう。
 
国民年金の未納が発生するのは、国民年金のみに加入する第1号被保険者のケースです。第1号被保険者として自営業者や学生などが該当しますが、失業や中途退職、転職などで働いていない20歳~60歳も該当しますので、未納が発生する可能性があります。
 
国民年金に加入している人が受け取れる年金として老齢基礎年金がありますが、受け取るためには受給資格期間が10年以上必要です。
 
受給資格期間は次の期間の合計です。

・保険料納付済み期間
・免除を受けた期間
・納付猶予を受けた期間
・合算対象期間(カラ期間)

なお、合算対象期間(カラ期間)は次のとおりです。

(1)昭和61(1986)年3月以前に、国民年金に任意加入できる人が任意加入しなかった期間
(2)平成3(1991)年3月以前に、学生であるため国民年金に任意加入しなかった期間
(3)昭和36(1961)年4月以降海外に住んでいた期間

また、(1)~(3)のうち、任意加入をしたが保険料が未納となっている期間(20歳以上60歳未満の期間)なども該当します。未納がある場合は、まず受給資格期間が10年(120月)以上になるかどうかを確認しましょう。
 

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未納があると老齢基礎年金の受給額が減少

老齢基礎年金の受給額は、20歳から60歳になるまでの40年間の国民年金の納付月数や、厚生年金の加入期間などによって決まり、40年間の全ての保険料を納めると満額を受け取ることができます。
 
老齢基礎年金の年金額(令和4年4月から)は次のように計算されます。
 
77万7800円×〔保険料納付済み月数+免除期間の月数(下記のとおり調整)〕÷480
 
免除期間については免除の内容によって次のように月数を調整します。

・全額免除:免除月数×4/8(平成21年3月までの分は、免除月数×1/3)
・4分の3免除:免除月数×5/8(平成21年3月までの分は、免除月数×1/2)
・2分の1免除:免除月数×6/8(平成21年3月までの分は、免除月数×2/3)
・4分の1免除:免除月数×7/8(平成21年3月までの分は、免除月数×5/6)

また、20歳から60歳になるまでの厚生年金保険の加入期間と第3号被保険者(会社員・公務員に扶養されている配偶者)の期間、納付猶予を受けた場合で保険料を追納した期間も、保険料納付済み月数に含みます。
 
一方、納付猶予を受けたものの追納していない期間、合算対象期間(カラ期間)、未納期間は、年金受給額の計算には含まれません。未納期間があると老齢基礎年金の受給額が減少することになり、減少した年金額が生涯続くため、長期で考えると大きなデメリットでしょう。
 

未納期間が10年の人の老齢基礎年金の受給額

それでは、未納期間が10年ある人の老齢基礎年金の受給額はいくらになるのでしょうか。
 
今回のケースでは、未納期間が10年あるものの、それ以外の30年については厚生年金保険に加入、あるいは国民年金保険料の納付で、保険料納付済み月数に含まれるとします。保険料納付済み月数は360月(30年)ですので、老齢基礎年金の受給額は次のようになります。
 
77万7800円×360月÷480月=58万円3350円
 
満額のケースと比較すると19万4450円の減少であり、月換算すると1万6204円の減少になります。割合で25%の減少ですので、影響は大きいと考えられます。
 
なお、会社員・公務員で厚生年金保険の加入期間がある場合は、上記に老齢厚生年金保険の分が追加されます。
 

受給額を満額に近づける方法

年金保険料を納めていない期間があると老齢基礎年金の受給額が減少し、その影響は小さくありません。受給額を満額に近づけるため、主に3つの方法があります。
 
1つ目は、2年以内で未納になっている保険料を納めることです。年金保険料の納付期限は納付対象月の翌月末日であり、納付書にも納付期限が記載されています。ただし、納付期限から2年間は保険料を納めることができますので、未納を解消することができます。
 
2つ目は、納付猶予や学生納付特例を受けた期間について、追納することです。納付猶予や学生特例の期間は受給額に反映されませんが、追納することにより、保険料納付済み月数として扱われるようになります。
 
追納ができるのは過去10年以内の分に限られますが、未納の2年よりは長く設定されています。ただし、3年以上経過している場合は、当時の保険料に経過期間に応じた加算額が上乗せされますので、早めに追納するのがよいでしょう。
 
3つ目は、任意加入制度を利用することです。60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、満額受給できない場合などに利用できる制度です。
 
60歳以降に国民年金に任意加入し、年金保険料を納めると、保険料納付済み月数を増やすことができます(厚生年金保険加入者を除く)。任意加入ができるのは最長65歳までの5年間です。ただし、受給資格期間(10年)を満たしていない場合は、65歳以上70歳未満も加入できます。
 
未納があると老齢基礎年金の受給額が減少し、その減少した金額が生きている間ずっとずっと続くことになり、影響が大きいでしょう。収入の減少などにより保険料の支払いが難しい場合は、免除、あるいは猶予を受けて10年以内に追納するなどして、できるだけ未納をしないようにしましょう。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 任意加入制度
日本年金機構 合算対象期間
 
執筆者:伊達寿和
CFP(R)認定者、1級ファイナンシャルプランニング技能士、相続アドバイザー協議会認定会員

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