更新日: 2022.07.08 年金

「年金だけじゃ暮らせない…」そんなとき「生活保護」も同時にもらえるの?意外と知らない2つの関係性を解説

執筆者 : 川辺拓也

「年金だけじゃ暮らせない…」そんなとき「生活保護」も同時にもらえるの?意外と知らない2つの関係性を解説
生活保護は最低限の暮らしをするために必要な資金を援助する国の制度で、受給にはさまざまな条件が設けられています。
 
年金の受給額が少ないために生活を送ることが難しい場合には、同時に生活保護を受給できるのか、ご存じですか? 本記事では、意外と知られていない年金制度と生活保護制度の関係性について紹介します。
 
川辺拓也

執筆者:川辺拓也()

2級ファイナンシャルプランナー

年金を受給しながら生活保護を受ける条件


年金を毎月受け取りながら、生活保護を受給すること自体に実は問題はありません。ただし、前提として、受給には生活保護制度が定める要件を満たしている必要があります。
 
図表1

生活保護の要件 内容
資産の活用 預貯金や生活に使っている土地・家屋以外に資産がない
能力の活用 働けない、または働いていても生活を営める最低限の収入がない
あらゆるものの活用 年金以外で活用できる手当や制度がない
親族からの扶養 扶養してもらえる親族がいない

出典:厚生労働省 生活保護制度より筆者が作成
 
図表1の要件に該当し、なおかつ世帯収入が最低生活費よりも少ない場合に、生活保護を受給することができます。最低生活費は厚生労働大臣が定める基準で算出されます。受給額は図表2の通り、最低生活費から年金など本人が利用可能な手当などによる収入を差し引いた分です。
 
図表2


出典:厚生労働省 生活保護制度より筆者が作成
 
このように、働くことができない(または働いていても収入が少ない)、扶養してもらえる親族がいない高齢者であれば、年金を受け取りながら生活保護の受給は可能です。今後、高齢社会がますます進む中、年金と生活保護の両方を受給する人は増加する可能性が考えられます。
 

年金を受給しながら生活保護を受ける場合の注意点2つ


年金をもらいながら生活保護を受ける際に、注意しておきたい2つのポイントを説明します。
 

・親族への照会で生活状況が知られる可能性がある
・ローンの支払いがあると申請が通りにくい

 
生活保護の申請をする場合、基本的に福祉事務所は3親等の親族まで、本人を扶養することができないか連絡を取って確認することになっていました。
 
しかし2021年より、厚生労働省によって、DVや虐待のある場合や、一定期間の音信不通が続いている場合、親族から借金がある、相続を巡って対立しているなどの事情がある場合や、申請者が扶養照会を拒んだ場合、その理由について特に丁寧に聞き取りを行った上で、照会の対象となる扶養義務者が「扶養義務履行が期待できない者」かどうかを判断して扶養照会を行わなくても良いということになっています。
 
こういった点を、申請前にしっかりと確認しておきましょう。
 
また、住宅ローンの返済中は受給申請が通りにくい点にも注意してください。生活保護のお金をローン返済に充てるなど、本来の目的にそぐわない使い方をされないよう、審査が厳しくなっているのです。
 

生活保護受給世帯の半分以上は高齢者


厚生労働省の調査では、図3の通り生活保護受給世帯の55.4%が高齢者世帯となっています。
 
図表3

区分 世帯区分内訳 世帯数(世帯) 構成割合(%)
高齢者世帯 総  数 90万4534 55.4
(うち)単身世帯 83万4584 51.1
(うち)2人以上 6万9950 4.3
高齢者世帯を除く世帯 総  数 72万9331 44.6
(うち)母子世帯 7万1262 4.4
(うち)障害者・傷病者世帯 40万7798 25.0
(うち)その他の世帯 25万271 15.3

出典:厚生労働省 被保護者調査(令和4年2月分概数)より筆者が作成
 
とりわけ、高齢者の単身世帯の受給率は51.1%と、類型別で最も高くなっています。この調査結果からは、年金だけで生活することの難しさが伺われます。
 

高齢社会により年金と生活保護を受給する世帯が今後も増える可能性

今回は、年金と生活保護を受給するための条件や注意点について紹介しました。日本の高齢化率は28.8%と世界で最も高い水準にあります。高齢化がさらに進めば、生活保護と年金の同時受給が必要な世帯が増える可能性もあります。
 
年金だけでは生活が成り立たないという人は少なくありません。早い段階から老後の生活について考え、対策を立てておくことが大切です。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 被保護者調査(令和4年2月分概数)
内閣府 令和3年版高齢社会白書
厚生労働省 「生活保護問答集について」の一部改正について
 
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー
 

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