更新日: 2022.07.11 厚生年金
厚生年金の最高額とは? 現役時代の年収がいくらあると受け取れるの?
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
厚生年金支給額はどう決まるのか
厚生年金の支給額は加入期間やその間の収入などによって異なります。そのうち、平成15年4月以降に加入した場合の厚生年金の計算式は下記のように算出されます。
厚生年金の平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
平均標準報酬額とは、毎月の標準報酬月額と賞与支給時の標準賞与額の総額を加入期間の月数で割ったものです。要は加入期間の給与と賞与の平均額のようなものです。ここから、毎月の給与と定期的に支給される賞与の額が高ければ高いほど将来受け取れる厚生年金も高くなるということが分かります。
また、20年以上厚生年金に加入していた方が65歳に到達した時点で、一定の条件に該当する配偶者や子がいるときは、加給年金が加算されることもあります。
出典:日本年金機構 老齢年金ガイド
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厚生年金の最大支給額
給与や賞与が高ければ高いほど収入も高くなるとはいえ、厚生年金の支給額は実質的に上限額があります。なぜなら、平均標準報酬額の基礎となっている標準報酬月額と標準賞与額には上限があるからです。
標準報酬月額は1等級から32等級まであるのですが、月給63万5000円以上になると最大である32等級の65万円に達します。標準報酬月額は、何円から何円の給与の方は何等級の何円という決まり方になるため、必ずしも給与の額と一致するわけではありません。
標準賞与は、実際の税引き前の賞与の額から1千円未満の端数を切り捨てたもので、支給1回(同じ月に2回以上支給されたときは合算されます)につき、150万円が上限となります。標準賞与を計算する上での賞与は年3回までのものとされています。
このように標準報酬月額、標準賞与ともに上限を超えた部分はそれぞれ上限額とみなされるため、厚生年金の支給額には実質的な上限があるのです。
上限額のシミュレーション
厚生年金の上限支給額はどれくらいになるのか、下記のような条件でシミュレーションしてみます。
●15歳から70歳までの55年間(660ヶ月)厚生年金に加入
●その間は毎月63万5000円の給与と150万円の賞与を年3回受け取った
●平成15年4月以降の加入で加給年金などは考慮しない
この場合、平均標準報酬額は102万5000円となります(標準報酬月額65万円に加え賞与が1月換算37万5000円となるため)。これらを元に計算すると、年間で受け取ることができる厚生年金額は370万7897円です。月に換算すると、30万8991円となります。
現実的には、15歳から70歳まで厚生年金に加入して年収1200万円を超えるような収入で働き続けることは相当に困難ですが、理論上の厚生年金の上限額は370万7897円と考えて良さそうです。
国民年金も含めると何円になる?
厚生年金に加入している方は国民年金も受給することができます。令和4年度において支給される国民年金は満額で年間77万7800円です。厚生年金と併せると年間でおよそ449万円近くの支給額となります。
厚生年金は最大で年間300万円以上受け取れる可能性がある。
現実的ではないとはいえ、15歳から70歳の現役時代、年間1200万円以上の収入があれば、厚生年金は最大額ともいえる370万7897円を年間で受け取ることができます。国民年金も含めると449万円近くも受け取ることができます。
最高額受け取ることは難しくとも、これを機に、今の収入が続いた場合における自身が将来受け取れるであろう年金額について、一度確認してみてはいかがでしょうか。
出典
日本年金機構 老齢年金ガイド
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
執筆者:柘植輝
行政書士