「国民年金保険料が支払えない…」免除や猶予は可能?「保険料免除制度」について解説

配信日: 2022.07.13

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「国民年金保険料が支払えない…」免除や猶予は可能?「保険料免除制度」について解説
自営業者など国民年金加入者の老齢年金額は、保険料の支払い回数に応じて決まります。未納が多ければ、将来もらう老齢年金は少なくなるということです。収入が減って保険料の支払いが難しくなったとき、忘れずに活用したいのが保険料免除制度です。
 
本記事では、保険料免除制度の概要や免除を受けるメリットについて解説します。いざというときに備えて、基本的な内容を理解しておきましょう。
西岡秀泰

執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)

社会保険労務士・FP2級

保険料免除制度の概要

保険料免除制度とは、収入が減少したなどの理由で国民年金保険料の納付が難しい場合、納付を免除する仕組みです。また、収入などによっては保険料の納付時期を先送りできる納付猶予制度もあります。
 
保険料免除・納付猶予制度には、本人や家族の収入などに応じて次の種類があります。


・全額免除(保険料が全額免除される)
・一部免除(収入などに応じて保険料の4分の3または2分の1、4分の1が免除される)
・産前産後期間の保険料免除
・学生納付特例
・納付猶予

産前産後期間の保険料免除は、出産(予定)日が属する月の前月から4ヶ月間の保険料が支払い免除となります。また、学生納付特例は、20歳以降の大学生の期間などの保険料が納付猶予されます。
 

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保険料免除を受けるメリット

保険料免除を受けると、将来受け取る老齢基礎年金額は、未納の場合と比べて多くなります。老齢基礎年金額は、次の式に「20歳から60歳までの保険料納付月数」を当てはめて計算します。
 
・老齢基礎年金額=77万7800円(2022年4月~)×保険料納付月数÷480ヶ月
 
保険料480ヶ月分を完納すれば年金額は77万7800円、未納期間が120ヶ月あれば58万3335円(=77万7800円×360ヶ月÷480ヶ月)です。
 
しかし、保険料免除が認められた場合、免除期間も次の一定割合が保険料納付月数としてカウントできるため、未納の場合より年金額は多くなります。


・全額免除:1/2月
・4分の3免除:5/8月
・半額免除:3/4月
・4分の1免除:7/8月

国民年金の保険料納付月数360ヶ月、全額免除期間が120ヶ月(納付月数60ヶ月で計算)の場合、年金額は68万558円(=77万7800円×420ヶ月÷480ヶ月)です。
 
全額免除も未納も、保険料を納付しない点では同じですが、上記のケースでは全額免除の方が年金額は約10万円も多くなります。なお、産前産後期間の保険料免除については、保険料を納付したものとして年金額を計算するため、より有利な制度といえます。
 

保険料免除や納付猶予を受けるときの注意点

保険料免除や納付猶予を受ける場合、注意したい点を2つ紹介します。
 

申請しないと保険料の免除は受けられない

保険料免除を受けるには、原則免除を受ける人の申請が必要です。ただし、障害年金の受給者(2級以上)など、申請なしで免除(法定免除)を受けられるケースもあります。
 
全額免除や一部免除の場合、申請書を提出する月の2年1ヶ月前から翌年6月までの期間について申請可能です。申請期間は余裕を持って設定されていますが、忘れないように早めに手続きしましょう。
 
申請先は、年金事務所や市区町村役場の窓口です。郵送や電子申請も可能なので、利用する人は日本年金機構のホームページなどで確認しましょう。
 

学生納付特例や保険料猶予は追納が必要

学生納付特例や保険料猶予を受けた期間については、後日、保険料を納付しなければ、老齢基礎年金額には反映されません。年金額は未納の場合と同じになってしまいます。納付時期が先送りされただけで、保険料を免除されたわけではないからです。
 
猶予期間の保険料を納付(追納)できるのは、納付猶予された月から10年以内です。
 

保険料が支払えないときは免除制度を活用しよう

収入が減って国民年金の保険料の支払いが難しくなるなど、一定の要件を満たした場合、保険料免除または納付猶予が受けられます。
 
保険料免除を受けると、未納のまま放置した場合より老齢基礎年金の額は多くなります。老後生活を支える年金を少しでも増やすために、保険料の支払いが難しいときは、保険料免除や納付猶予を活用しましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
 
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級

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