4・5・6月の平均給与から算出される「厚生年金保険料」。できるだけ安く抑える方法って?

配信日: 2022.07.16

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4・5・6月の平均給与から算出される「厚生年金保険料」。できるだけ安く抑える方法って?
厚生年金の保険料が、4~6月の3ヶ月間の給与で決まることをご存じでしょうか?
 
厚生年金保険料の負担は軽減できないと思われていますが、ちょっとした工夫で保険料を安くすることもできます。
 
厚生年金保険料を安く抑える方法について、保険料の決まり方とともに解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

1年間の厚生年金保険料は4~6月の平均給与を基に算出される

会社員など厚生年金に加入している方が納めている厚生年金保険料は、4~6月の平均給与を基に算出した標準報酬月額によって決まります。
 
標準報酬月額は、実際に受け取った給与の平均額と完全にリンクするわけではなく、「何円以上から何円未満」と、一定の幅で区分した報酬月額に対し、該当する標準報酬月額が等級という区分で決定され、等級には1等級から32等級まであります。
 
報酬月額の基になる給与とは、毎月の基本給のほか、残業代や通勤手当などを含めた給与として支払われるものの総額で、税引き前の金額となります。
 
例えば、4月から6月の3ヶ月間の給与の平均が25万5000円の場合、報酬月額は25万円以上から27万円未満の区分となり、該当する標準報酬月額は17等級の26万円とされます。この場合、給与から天引きされる9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料は、2万3790円です。
 

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厚生年金保険料を安く抑えるには

厚生年金保険料を安くするには、保険料を算出する際の基になる4~6月の給与を下げるという方法があります。ただし、3ヶ月間の収入を抑えたとしても、標準報酬月額の等級が下がることにならなければ、望んだ効果が得られないことにご注意ください。
 
例えば、4~6月の平均給与を25万5000円から6000円下げて24万9000円とした場合、標準報酬月額は17等級から16等級になり、月々の保険料は2万3790円から2万1960円と1830円安くなります。
 
しかし、平均給与を3000円下げて25万2000円となった程度では、報酬月額は25万円以上から27万円未満の区分のままで、標準報酬月額の等級は変わらず、厚生年金保険料も下がりません。
 
なお、厚生年金の年金額は、納めてきた保険料におおむね比例して決まるため、保険料を減らすことばかりに固執すると、将来受け取れる年金が少なくなってしまう可能性があるので注意が必要です。
 

4~6月は残業を抑える

前述したとおり、厚生年金保険料は4~6月の間に支払われる給与によって決定し、決定された保険料は原則、その年の9月から翌年8月まで適用されます。
 
4~6月の給与が少なくなるよう、例えばこの3ヶ月分は残業を抑えて支給される残業代を減らすことで、1年間は厚生年金保険料を安くすることができます。
 

通勤方法を見直す

標準報酬月額の算定の基になる給与には、通勤手当が含まれます。そのため、例えば賃貸住宅で遠方から通勤しているケースでは、次に引っ越しする際は職場の近くにして通勤手当を減らすことも有効な場合があります。
 
また、職場が近い場合は徒歩通勤にしたり、就業規則で認められている場合は自転車通勤をして、通勤手当を受け取らないことでも厚生年金保険料の軽減につなげられます。
 

401K(企業型確定拠出年金)に加入する

会社によっては401K(企業型確定拠出年金)に加入できる場合があります。事業主や従業員本人が401Kの掛け金を拠出した場合、社会保険料の算定において掛け金は給与収入として扱われないため、標準報酬月額が下がることになります。
 
401Kに加入し、標準報酬月額が下がるように掛け金を拠出することで、将来への備えをしつつ、厚生年金保険料の負担を減らせます。
 

厚生年金保険料を抑えるためには4~6月の給与に注意

4~6月の3ヶ月間の給与を抑え、標準報酬月額の等級を下げることで、厚生年金保険料を安くすることができます。
 
ただし、単に4~6月の給与を下げても、標準報酬月額の等級が下がらなければ、保険料は変わりません。また、納める保険料が下がると、将来の厚生年金の給付も少なくなる恐れがあります。
 
厚生年金保険料の負担をできるだけ抑えたいと思ったときは、デメリットも加味した上で、今回紹介した方法があることを覚えておいてください。
 

出典

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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