更新日: 2022.07.28 厚生年金

親が定年後も働き続けると言っています。老齢厚生年金はいくら減額されてしまいますか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

親が定年後も働き続けると言っています。老齢厚生年金はいくら減額されてしまいますか?
定年を迎えた後も働く意欲のある高齢者が増えていますが、気になるのは年金と給与の兼ね合いです。
 
老齢厚生年金の受給者が厚生年金加入者として会社に勤めて給与所得を得る場合、年金支給額が減額されたり、場合によっては全額支給停止されたりすることがあります。
 
ここでは、年金をもらいながら定年後に働き続ける場合の年金の減額について説明します。
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年金受給者に給与所得があると、年金を減額されることがある

65歳で年金を受給している人の中には、会社に残り、あるいは違う会社へ移って、引き続き働いている人も多くいます。年金額が少ないからという人もいれば、体を動かしていたいという健康志向の人もいるでしょう。
 
ですが、年金をもらいながら給与を得ている人に注意をしてほしい点があります。それは、「65歳以降も厚生年金被保険者となって会社に勤めている場合、受け取っている年金の額が減らされてしまうかもしれない」ということです。
 
なお、70歳以上になっても引き続き働く場合、厚生年金被保険者ではなくなりますが年金を減額される可能性があります。どのような状況でどれくらい年金を減らされてしまうのか、以下でみていきましょう。
 

基準となる「基本月額」と「総報酬月額相当額」を計算する

年金が減額されるかどうかを判定するには、年金の「基本月額」と、会社からもらう給与や賞与の1ヶ月分相当である「総報酬月額相当額」を計算します。
 
まず年金の「基本月額」ですが、ここで計算する年金の月額は「老齢厚生年金」だけです。もし加給年金(特定の配偶者や子に対する加算)がある場合は、その分を引きます。また、国民年金から支給される「老齢基礎年金」も受給している人は、その分も除外します。
 
次に、会社からもらっている給与、賞与を計算します。毎月もらう給与の額を「厚生年金保険料額表」で定められた等級に照らし合わせ、その等級に該当する金額を「標準報酬月額」とします。
 
会社から受け取った賞与がある場合は、その金額の1000円未満を切り捨てます。これを「標準賞与額」といいます。賞与を複数回受け取った場合は、それぞれ標準賞与額を出し、それらを合計します。その結果を12で割って1ヶ月分として標準報酬月額と足したものが「総報酬月額相当額」となります。
 

ボーダーラインは「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が47万円

支給される年金が減額されるかどうかは、老齢厚生年金の「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が「47万円」を超えるかどうかによります。もし47万円以下であれば年金が減額されることはありません。
 
しかし超えていた場合は「47万円を超えた額の2分の1」が年金の「基本月額」から減額されます。老齢厚生年金が一部減額になっても、加給年金は全額支給されます。
 
ですが、年金の基本月額以上に減額される(マイナスになる)場合は、老齢厚生年金は全額支給停止となり、加給年金も全額支給停止となります。なお、「老齢基礎年金」(国民年金)の部分は減額されることはありません。
 

定年後も働き続けるなら、老齢厚生年金の受給繰り下げも検討しよう

定年後も仕事に就くつもりでも、年金が減額される可能性があるなら、老齢厚生年金の受給繰り下げを考えてみましょう。減額されるのを避け、受給するときの額を増やすことができます。
 
ただし、老齢厚生年金の受給開始時に特定の年齢や条件に一致する配偶者 や子がいる場合に受け取れる加給年金を、繰り下げることで受け取れなくなってしまう可能性もあります。加給年金の受給の可否や、その加算額なども併せて考慮して決めましょう。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
日本年金機構 は行 標準報酬月額
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表
日本年金機構 は行 標準賞与額
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 年金の繰下げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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