更新日: 2022.08.01 その他年金
「ねんきん定期便」の見方とチェックポイントを解説!
ねんきん定期便の内容は大まかに、50歳を境に内容が異なります。本記事では、「50歳以上の人」を対象に送付されるねんきん定期便の見方について説明します。年に1回、ねんきん定期便をチェックするだけで、年金制度への理解が深まることにつながります。
執筆者:西岡秀泰(にしおか ひでやす)
社会保険労務士・FP2級
ねんきん定期便とは
ねんきん定期便とは、年金制度に加入している人に対して毎年、誕生月に日本年金機構から送付される年金に関するお知らせです。ねんきん定期便には、年金加入記録や老齢年金の見込み額などが記載されています。
年金加入記録に間違いがないかを確認するとともに、将来受け取れる年金額を確認し、老後の生活設計の検討材料として活用しましょう。
ねんきん定期便の内容は、以下の年齢によって異なります。
●50歳未満の人
●50歳以上の人
●年金を受給している人
●35歳、45歳、59歳の人(封書)
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50歳未満の人のねんきん定期便の見方
50歳未満の人に毎年送付されるねんきん定期便は、図表1、2の通りです。はがき形式で表面と裏面に自身の年金情報が記載されています。ねんきん定期便の記載内容とチェックポイントを、定期便のサンプルに示されている番号に合わせて説明します。
図表1 50歳未満の人のねんきん定期便(表面)
出典:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」より筆者作成
図表2 50歳未満の人のねんきん定期便(裏面)
出典:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」より筆者作成
1. 照会番号
ねんきん定期便に関して、日本年金機構の専用ダイヤルに電話で照会するときなどに使用する番号です。照会番号の代わりにマイナンバーや基礎年金番号で照会することも可能です。
2. これまでの加入実績に応じた年金額
50歳未満の人のねんきん定期便に記載されている年金額は、これまでに納付した保険料に応じた金額です。今後の加入は反映していないため、65歳からいくら年金が受け取れるかは分かりにくいでしょう。
しかし、1年前の加入実績に応じた年金額が記載されているため、この1年でどれだけ年金が増えたかがわかります。今後の年金加入状況が変わらないと仮定すると、これからの加入年数をもとに、将来受け取る年金額を予想できます。
現在48歳の人が60歳まで年金に加入すると仮定します。1年間で年金額が2万円増えた場合、今後12年間で24万円年金額が増えると考えて見込み額を概算してもいいでしょう。
3. 最近の月別状況
直近13ヶ月の年金加入状況や支払った保険料が、月別に記載されています。加入状況に誤りや漏れがあれば、年金事務所に問い合わせましょう。
4. これまでの保険料納付額 (累計額 )
年金制度に加入してから現在までに支払った保険料の累計額が、年金制度別に記載されています。保険料の累計額が1000万円、加入状況に応じた年金額が100万円ならば、65歳から10年程度、老齢年金を受け取れば、支払った分は戻ってくることになります。
また、今後の支払保険料が同額(1000万円)くらいになりそうなら、将来の年金額は200万円前後になると考えてもいいでしょう。
5. これまでの年金加入期間
これまでの年金制度への加入期間が、年金制度別に記載されています。各年金制度の加入期間(未納期間を除く)を合計したものを、「受給資格期間」と呼びます。
老齢年金は、受給資格期間が120月を超えないと受給権が発生しません。また、会社員が退職後に死亡した場合(遺族基礎年金の対象となる子どもがいない場合)、受給資格期間が300月以上ないと、残された家族に遺族厚生年金は支給されません。
6. これまでの加入実績に応じた年金額
これまでの加入実績に応じた年金額が、年金制度別に記載されています。厚生年金基金や企業年金に加入していた場合、老齢厚生年金の金額には、厚生年金基金などの年金額が含まれます。
7. お客様へのお知らせ
日本年金機構から個々の状況に応じたお知らせが記載されています。年金記録の確認や住所確認など、対応が必要なケースもあるため、年金事務所などに問い合わせましょう。
8. お客様のアクセスキー
アクセスキーとは、日本年金機構のオンラインサービス「ねんきんネット」のユーザーID登録に必要な17桁の番号のことです。ねんきんネットを利用すれば、自宅でいつでも自身の年金記録の確認や年金額の試算ができます。
アクセスキーの有効期限は、ねんきん定期便到着後3ヶ月です。有効期限が過ぎた場合は、年金事務所などでアクセスキーの再発行が可能です。
50歳以上の人のねんきん定期便の見方
50歳以上の人のねんきん定期便は図表3、4の通りです。50歳未満の人とは、レイアウトや記載内容が一部異なりますので、主な相違点について説明します。
図表3 50歳以上の人のねんきん定期便(表面)
出典:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」より筆者作成
図表4 50歳以上の人のねんきん定期便(裏面)
出典:日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」より筆者作成
1. 老齢年金の見込み額
50歳未満の人のねんきん定期便には「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されているのに対し、50歳以上の場合は今後の年金加入を含めた原則65歳からの「見込み額」が記載されています。
50歳以上60歳未満の人は、現在の加入状況が60歳まで継続するとして見込み額を試算しています。60歳以上65歳未満の人は現在の加入状況が65歳まで継続することが前提です。
また、繰り下げ制度を利用して年金の支給開始年齢を70歳および75歳にした場合の見込み額も記載されているので、繰り下げを検討している人などはチェックしましょう。
2. 老齢年金の種類と見込み額(年額)
老齢年金の支給開始年齢や年金額が、年金種類別に記載されています。一定の要件に該当した人に対する加算や年金の支給停止がある場合、実際の年金額は見込み額と大きく異なることもあります。
夫婦の一方、または両方が厚生年金や共済年金に20年以上加入している場合や、年金受給後も厚生年金に加入する場合、失業保険を受給する場合などは、年金事務所などで見込み額を確認しましょう。
ねんきん定期便は毎年確認しよう
日本年金機構から毎年送付されるねんきん定期便には、年金加入記録や老齢年金の見込み額などが記載されています。
年金制度への理解を深めるとともに、老後生活に向け、将来受け取れる年金額を把握するために、ねんきん定期便は毎年確認しましょう。
出典
日本年金機構 大切なお知らせ「ねんきん定期便」をお届けしています
日本年金機構 「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)
執筆者:西岡秀泰
社会保険労務士・FP2級