更新日: 2022.08.07 その他年金

転職後の私的年金はどうなる? 私的年金を移行できる主なケースを解説

転職後の私的年金はどうなる? 私的年金を移行できる主なケースを解説
キャリアアップのため転職を検討している人も多いことでしょう。転職する際、私的年金をどうするかが重要となってきます。
 
現金で受け取った場合、使ってしまわないか不安になる人も多いはず。本記事では、転職後に私的年金を移行できるケースを分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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従来の主な私的年金

主な私的年金は下記の3つです。

●企業型確定拠出年金(DC)
●iDeCo(個人型確定拠出年金)
●確定給付企業年金(DB)

1つずつ分かりやすくかつ簡潔に解説していきましょう。
 

企業型確定拠出年金(DC)

企業型確定拠出年金とは、会社が掛け金を出し、その掛け金を自分で運用していく私的年金です。2022年5月以降、会社にもよりますが、70歳未満まで加入可能になります。
 

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(イデコ)とは、自分で掛け金を出し、なおかつ自分で運用していく私的年金です。iDeCoは従来、加入できる年齢が60歳未満となっていましたが、2022年5月以降、公的年金被保険者は65歳未満まで加入できるようになりました。
 

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金とは、会社が掛け金を出し、将来の受給額が確定している企業年金です。一定年数勤めた人は、退職時に一時金がもらえます。
 
注意点として、転職先に確定給付企業年金があったとしても、私的年金の移管を受け入れてくれる会社は少数です。
 

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企業型確定拠出年金(DC)を転職先に移行できるケース

現在の私的年金が企業型確定拠出年金の場合、転職先に移行できるケースは図表1のとおりです。

図表1

●企業型確定拠出年金(DC)
●iDeCo(個人型確定拠出年金)
●通算企業年金(企業年金連合会)
●確定給付企業年金(DB)

企業型確定拠出年金は、転職先の企業型確定拠出年金へ資産を移行できますし、iDeCoを開設して移管することも可能です。
 
また、2022年5月以降、通算企業年金にも資産を移行できるようになりました。
 
企業型確定拠出年金の場合、6ヶ月以内に移行しないと国民年金基金連合会に自動移管されてしまうため、留意しておきましょう。
 

iDeCo(個人型確定拠出年金)を転職先に移行できるケース

現在の私的年金がiDeCoの場合、転職先に移行できるケースは図表2のとおりです。

図表2

●企業型確定拠出年金(DC)※2022年9月30日まではiDeCoと併用不可
●iDeCo(個人型確定拠出年金)を継続
●確定給付企業年金(DB)※iDeCoと併用可能

iDeCoに加入している場合、現在は、企業型確定拠出年金規約で、確定拠出年金の個人別管理資産を受け入れるとしていなければ、企業型確定拠出年金とiDeCoの併用はできません。
 
したがって、企業型確定拠出年金にiDeCoから資産を移すか、iDeCo口座を残しながら掛け金を出さずに運用するか選ぶことになります。
 
ただし、2022年10月以降は確定拠出年金とiDeCoの併用が可能になります。また、iDeCoは確定給付企業年金への移管はできませんが、併用は可能です。
 
併用する場合、iDeCoの掛け金額の上限は1万2000円まで(確定給付企業年金がある会社)ですので、注意しましょう。
 

確定給付企業年金(DB)を転職先に移行できるケース

現在の私的年金が確定給付企業年金の場合、転職先に移行できるケースは図表3のとおりです。

図表3

●企業型確定拠出年金(DC)
●iDeCo(個人型確定拠出年金)
●通算企業年金(企業年金連合会)
●確定給付企業年金(DB)
※移管できるのは加入資格を喪失してから1年以内

確定給付企業年金に加入している場合、転職先の会社が認めれば資産を移管できます。また、通算企業年金といった終身年金に移すことも可能です。
 
自分で運用するのが得意でない人は、通算企業年金に資産を移すのがおすすめです。
 
確定給付企業年金から、企業型確定拠出年金や通算企業年金に資産を移せるのは1年以内(加入資格喪失後)となっています。期限を過ぎると現金給付になるので、注意しましょう。
 

前の会社で運用を続けることも選択肢に

本記事では、転職後に私的年金を移行できるケースを分かりやすく解説しました。資産を移管せずとも、前の会社で運用を続ける選択肢もあります。
 
確定給付企業年金では、一定期間加入すると、老齢給付金の受給権が得られることも。その場合、前の会社で運用を続けてもらえば、最終的には増額された金額を受け取れるでしょう。
 
ほかに、企業型確定拠出年金も60歳以上であれば、会社に資産を残して運用を続けられるケースもあります。会社に資産を残し、自分で運用を続けていくのも一案です。
 

出典

厚生労働省 私的年金制度の概要(企業年金、個人年金)
厚生労働省 確定拠出年金制度の概要
厚生労働省 iDeCoの概要
厚生労働省 確定給付企業年金制度
企業年金連合会 通算企業年金のおすすめ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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