更新日: 2022.08.23 厚生年金

夫が脱サラして起業。これまで支払っていた厚生年金はどうなる?

夫が脱サラして起業。これまで支払っていた厚生年金はどうなる?
勤めていた会社を辞め、起業する場合、これまで支払っていた厚生年金の取り扱いがどうなるのか心配になる人もいらっしゃると思います。また、起業の内容によっては、新たな社会保険への加入手続きが必要になります。
 
今回は、夫が脱サラして起業した場合に、それまで支払っていた厚生年金の取り扱いはどうなるのかについて解説します。
新井智美

執筆者:新井智美(あらい ともみ)

CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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年金を受け取る際に必要な期間

年金を受け取るための加入資格期間は10年以上です。
 
勘違いしがちなのが、厚生年金を10年以上払っていなかったら、保険料を払っていたにもかかわらず厚生年金を受け取れないのではないかと思うケースですが、ここでいう「資格期間」とは、以下の期間の合算期間です。

・国民年金保険料納付期間および免除期間
・厚生年金保険もしくは共済組合などの加入期間
・「カラ期間」と呼ばれる合算対象期間

これらの合計が10年(120ヶ月)以上あると、年金を受け取れます。
 
ちなみに、「カラ期間」とは国民年金に任意加入していなかった場合などで、資格期間の算定に含まれる期間のことをいい、下記のようなケースなどが挙げられます。

・昭和61年3月以前に第3号被保険者(専業主婦(夫))だった期間
・平成3年3月以前に学生だった期間
・海外に居住していた期間
・脱退手当金の支給対象となった期間

これらの期間は資格期間に算入されますが、年金額の算定には反映されませんので注意してください。
 
出典:厚生労働省 年金を受けとるために必要な期間が10年になりました(※1)
 

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脱サラしても資格期間が10年以上あれば厚生年金は支払われる

脱サラしても、資格期間が10年以上ある場合は、支払った期間および保険料額に応じて厚生年金が支払われます。
 
ただし、年金の種類によっては別途条件を満たす必要があります。
 

■老齢厚生年金(※2)

老齢厚生年金は、老齢基礎年金を受け取れる人が、厚生年金の加入期間がある場合に、老齢基礎年金に上乗せして受け取ることができます。受け取り開始は原則として65歳からです。
 
ちなみに、老齢基礎年金を受け取れる人とは、国民年金保険料の納付済期間と免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある人をいいます。
 

■障害厚生年金(※3)

障害厚生年金を受けるためには、まず障害の原因となった病気やけがの初診日が、厚生年金保険の被保険者期間になければなりません。
 
また、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に、保険料の未納がないことも要件です(初診日が令和8年4月1日より前にあり、初診日の年齢が65歳未満の場合)。
 

■遺族厚生年金(※4)

遺族厚生年金を受け取るためには、厚生年金保険の被保険者である間に死亡した場合や、障害厚生年金(1級もしくは2級)を受け取っている人が死亡した場合などの条件に当てはまる必要があります。
 
そのため、脱サラして厚生年金に加入しない状態が続いていた場合は、遺族厚生年金を受け取れない可能性があります。
 

脱サラした場合にはどのような手続きが必要?

脱サラし、厚生年金保険の被保険者でなくなった際には、速やかに以下の手続きを行うようにしてください。
 

■厚生年金および健康保険の脱退手続き

手続きは会社が行いますが、退職の翌日から5日以内に、年金事務所や健康保険組合に対して、「健康保険・厚生年金保険被保険者喪失届」を提出します。
 
その際、健康保険証を返却する必要がありますので、忘れずに返却しましょう。
 

■健康保険の加入手続き

脱サラした後の健康保険加入には、2つの選択肢があります。
 
1つは、これまで加入していた健康保険組合の任意継続被保険者になること、もう1つは国民健康保険に加入することです。
 
任意継続被保険者の場合、保険料は全額自己負担ですし、国民健康保険の保険料は前年の所得によって決まります。時間の余裕がある場合は、それぞれどのくらいの保険料額になるのかを算出するとよいでしょう。
 
任意継続の保険料額は、健康保険組合に問い合わせれば教えてもらえますし、国民健康保険料の保険料額については、自治体の公式サイトで計算できるツールが用意されています。
 
いったん任意継続被保険者になることを選択した場合は、原則として2年間脱退できませんので、これからの収入によって保険料額が変わる可能性がある場合は、慎重に判断しましょう。
 
ただ、任意継続を選択することで、被扶養者の分も合算した保険料額になるため、家族がいるなら任意継続を選ぶほうがよいかもしれません。
 

■国民年金の加入手続き

夫が脱サラすると、本人のみならず、妻も第1号被保険者になり、自分で国民年金保険料を納めなければなりません(妻が働いており、厚生年金に加入している場合を除く)。
 
その場合は、妻と一緒に住所地の市町村の窓口にて、加入手続きを行いましょう。
 

まとめ

夫が脱サラして起業しても、その後国民年金に加入し、国民年金保険料を納める場合であれば、年金を受け取る65歳までに資格期間が10年以上あれば、加入していた期間の厚生年金を受給できます。
 
ねんきん定期便にもその額が反映されるはずですので、誕生日月に届くねんきん定期便の記載内容をしっかりと確認しておきましょう。不明な点があれば、早めに年金事務所に問い合わせ、確認することをおすすめします。
 

出典

(※1)厚生労働省 年金を受けとるために必要な期間が10年になりました
(※2)日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
(※3)日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
(※4)日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
 
執筆者:新井智美
CFP(R)認定者、一級ファイナンシャルプラン二ング技能士(資産運用)
DC(確定拠出年金)プランナー、住宅ローンアドバイザー、証券外務員

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