更新日: 2022.08.26 その他年金

夫が亡くなった専業主婦の方、寡婦年金の申請を忘れていませんか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

夫が亡くなった専業主婦の方、寡婦年金の申請を忘れていませんか?
大黒柱が死亡した場合に、残された家族の生活を支えてくれる「遺族年金」は有名かと思います。
 
ただ、国民年金の場合には、子がいなければ支給されないことを知っていますか? 厚生年金と違って、子がいなければ支払われません。
 
そこで、今回は、「夫に先立たれた専業主婦」を例として、「寡婦年金」について解説します。夫が個人事業主などで国民年金に加入していた場合には必見の制度です。
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寡婦年金とは夫の年金の一部が妻に支払われる制度

「寡婦年金」とは、国民年金に加入していた夫が死亡した場合、夫が受け取るはずだった年金の一部が妻に支払われる制度です。
 
遺族年金は、国民年金、厚生年金問わず支給されますが、国民年金の場合は18歳未満の子、20歳未満で障害等級が1級、または2級の子がいる配偶者に対してのみ支給されます。子がいない、または子が18歳以上などの場合は支給されません。
 
となると、夫が老齢年金を受給する前に死亡してしまった場合、それまで払い込んできた年金保険料は、子がいなければ受け取れません。そこで、代わりに妻へ支給することで調整しようと設けられたのが、寡婦年金です。
 

寡婦年金は妻のみ

寡婦年金を受け取ることができるのは、妻のみである点に注意しましょう。妻が大黒柱として働いて夫を扶養していた場合であっても、夫には無条件に寡婦年金は支給されません。
 
男女平等社会が進む現代において、いまだに男女格差が残っている制度といえます。
 

寡婦年金を受給するための要件

・夫が65歳未満で死亡したこと
・夫に生計を維持されていた妻(※)であること
・夫が国民年金の被保険者であったこと
・国民年金保険料を納付した期間が10年以上であること
・夫が老齢基礎年金や障害基礎年金を受給していないこと
・妻が老齢基礎年金の繰り上げ受給をしていないこと
・夫の死亡後5年以内の請求であること

※ここでいう妻とは、「事実婚」も含まれます。税金関係での「妻」は法律婚の場合が多いですが、社会保険関係はその点柔軟な特徴があります。事実婚であっても忘れずに請求しましょう。
 

寡婦年金の受給額と受給期間

寡婦年金の金額は、夫の第1号被保険者期間のみで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。2022年4月からの老齢基礎年金の満額は年間77万7792円となっていることから、その4分の3、58万3344円となります。
 
受給期間は、妻が60歳から65歳までの最大5年間です。夫が妻59歳の時に死亡した場合には、1年待機した後に5年間受給することができます。妻が64歳の時に死亡した場合は、1年間限りの受給ということになります。
 

寡婦年金は受給手続きをしないともらえない

日本の年金制度は、自身で受給手続きをしないともらえません。寡婦年金も例外なく、自身で受給要件に該当することを確認して、自身で受給開始手続きを行う必要がありますので注意しましょう。
 

寡婦年金の受給手続きに必要な書類

受給手続きには次の書類が必要になります。

・年金請求書
・年金手帳
・戸籍謄本
・世帯全員の住民票のコピー
・夫の住民票の除票
・妻の収入が確認できる書類
・寡婦年金を受け取る口座の通帳コピー
・年金証書(他の公的年金を受給している場合)

この他、夫の死亡原因によって必要になる書類もあります。必要に応じて指示に従ってください。
 

受給書類の提出先

寡婦年金の受給書類がそろったら、次のいずれかの窓口に提出します。

・市区町村役場
・年金事務所
・年金相談センター

もし近くにないという場合には、郵送での提出も可能です。ただ、不備があるとその分やり取りが長くなってしまいますので、事前に電話で十分な確認をしてから送りましょう。
 

死亡一時金と寡婦年金はどちらが得?

死亡一時金は、夫が老齢年金を受け取らないまま死亡した場合に、寡婦年金以外に遺族が受け取ることができるお金です。年金保険料を36ヶ月以上納付した場合に受給することができ、受給額は納付期間に応じて12~32万円となっています。
 
ただ、死亡一時金と寡婦年金は併給することができない点に注意しなければなりません。どちらか1つを選択することになります。死亡一時金は最大で32万円を1回限りであるため、単純に受給できる金額で判断すると、圧倒的に寡婦年金の方が得です。
 
しかし夫が若くして死亡した場合には、寡婦年金を受給できる60歳まで何十年もあることになります。目先の32万円の方が助かるという選択もあるでしょう。
 

まとめ

寡婦年金は、国民年金に加入していた夫が65歳未満で死亡した場合に、妻が受給できる可能性がある年金です。「最大で300万円」近く受給できるお金ですが、「請求には5年」という時効があるため十分に注意しなければなりません。
 
自身には受給権があるのか、夫の生前に一度確認しておくだけで、いざという時に忘れにくくなります。
 

出典

日本年金機構 令和4年4月分からの年金額等について
日本年金機構 寡婦年金を受けるとき
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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