更新日: 2022.09.07 その他年金

日本国籍ではなくなった場合、年金はどうなるの? 脱退一時金について解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

日本国籍ではなくなった場合、年金はどうなるの? 脱退一時金について解説
厚生労働省がまとめた人口動態調査によれば、2019年に結婚したカップル約60万組のうち、夫婦の一方が外国人のカップルは約2万2000組でした。
 
全体の4%にも満たない数ですが、あり得ないほど少ないわけでもありません。
 
仮に、日本人が国際結婚を機に日本国籍ではなくなった場合、国民年金や厚生年金はどうなるのか、解説します。
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結論:脱退一時金を請求できる

国民年金保険や厚生年金保険に加入していた日本国籍の人が、国際結婚などの理由で外国籍になった場合、条件を満たせば脱退一時金を請求できます。
 

国民年金保険の脱退一時金

まず、日本に在住していたときに国民年金保険に加入していた人の場合は、国民年金保険の脱退一時金を受け取ることになります。条件は図表1の通りです。
 
【図表1】
 

 
具体的な支給額は、保険料納付済期間等の月数により異なります。最後に保険料を納付した月が2022年4月から2023年3月の場合、最大で49万7700円を受け取ることが可能です。
 

厚生年金保険の脱退一時金

一方、日本に居住していたときに厚生年金保険に加入していた人の場合は、厚生年金保険の脱退一時金を受け取ることになります。厚生年金保険の脱退一時金の支給要件は図表2のとおりです。
 
【図表2】
 

 
なお、具体的な支給額は、“被保険者であった期間の平均標準報酬額”と“被保険者であった期間”に左右されます。
 
自分が受け取れる額を知りたい場合は、加入していた厚生年金保険組合に問い合わせましょう。
 

外国人のパートナーと結婚した場合の国籍は?

実際のところ、日本人が外国人のパートナーと結婚した場合、国籍はどうなるのか調べてみました。
 

考えられる3つのパターン

考えられるのは、以下の3つのパターンです。
 

1.相手方の国籍を自動的に取得し、日本国籍を離脱する
2.日本国籍を保持できるが、相手方の国籍を希望する場合は比較的簡単に取得できる
3.日本国籍を保持し、相手方の国籍を希望する場合は通常の帰化申請を進める

 
国によってかなり扱いが異なるため、国際結婚をする際は、日本にある相手方の国の大使館に確認しましょう。
 
また、日本国籍を離脱することになった場合は、国籍離脱の届け出をしなくてはいけません。日本に住んでいる場合は最寄りの法務局に、海外に住んでいる場合はその国の日本大使館、または領事館で手続きをしてください。
 
国によっては、慣れていないと手続きがかなり煩雑になる可能性もあるため、できればビザなど在留関連の業務に慣れている行政書士に相談の上、進めるとよいでしょう。
 

日本国籍を保持したままなら任意加入もあり

結婚にともない海外に引っ越すものの、日本国籍を保持したままであれば、国民年金に任意加入をするのも1つの手段です。
 
国民年金は、あくまで「日本に住んでいる人」を対象にした制度であるため、日本に住まない場合は加入は任意になります。
 
しかし、任意加入のうえ保険料を支払い、受給条件を満たした場合は、保険料納付済期間に応じた老齢基礎年金を受け取ることが可能です。
 
また、海外に住んでいる間に万が一のことが起きたり、病気やけがで障害が残った場合も、遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。
 
任意加入の手続きは、日本を出国する前であれば最寄りの市区町村窓口で可能です。海外に引っ越した後であれば、日本で最後に住んでいた場所を管轄する年金事務所か、市区町村窓口に相談しましょう。
 
なお、任意加入する場合の保険料はいずれかの方法で支払う流れです。
 

●日本国内にいる親族等に代わりに払ってもらう
●日本国内の銀行口座から支払う

 
日本国内の銀行口座を使う場合、銀行によっては、海外に住んでいる人(非居住者)による口座の利用を認めていないケースもあるので注意しましょう。出国前に、海外に住んでいる人でも利用できる銀行で口座を開設するのをおすすめします。
 
また、日本国内にいる親族等に代わりに払ってもらう場合は、定期的に立て替えてもらった分を送金するなど、細かい扱いについて事前に話し合いをし、認識をすり合わせておきましょう。
 

外国籍になっても日本に住み続けるなら引き続き加入

日本国籍を離脱し外国籍になったものの、日本に住み続けるケースも考えられます。
 
この場合、国民年金保険もしくは厚生年金保険には引き続き加入する流れです。「日本に住んでいる(住所地がある)満20歳から満60歳の人」であれば、国籍を問わず加入義務があると考えましょう。
 

出典

日本年金機構 脱退一時金の制度
法務省 国籍離脱の届出

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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