更新日: 2022.09.15 その他年金
公的年金制度が同時に受け取れる【併給】とは? 条件や注意点を解説
しかし、受給できる条件が異なる年金を同時に受給できるケースもあります。
本記事では公的年金制度を2つ以上受け取る「併給」が認められるケースについて解説します。
執筆者:川辺拓也(かわべ たくや)
2級ファイナンシャルプランナー
目次
併給可能なケース1:「老齢給付」と「遺族給付」
公的年金が同時に受給できるケースは「老齢給付」と「遺族給付」の組み合わせです。老齢給付とは「老齢基礎年金」「老齢厚生年金」の総称になります。いわゆる老後の「年金」とイメージされる公的年金制度です。
遺族給付は「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」の総称をいいます。国民年金と厚生年金のいずれかに加入していた被保険者が死亡すると遺族に給付される公的年金制度です。
老齢給付と遺族給付の併給が認められるパターンは、以下の通りになります。
・老齢基礎年金と遺族厚生年金
・老齢厚生年金と遺族厚生年金
「老齢基礎年金」は65歳以上になると受給できる、いわゆる老後の年金を意味します。老齢基礎年金の受給年齢に達した時に「遺族厚生年金」の受給対象になっていると、2つの公的年金を同時に受給することが可能です。
【図表1】
出典:日本年金機構 年金の併給または選択
例えば夫の死亡により、「遺族厚生年金」を受け取っていた妻が65歳になり、「老齢基礎年金」を受け取る場合です。
老齢厚生年金と遺族厚生年金の2つを同時に受給可能です。注意点としては図表2に示す通り、老齢厚生年金の受給額が遺族厚生年金より高くなると併給できません。
【図表2】
出典:日本年金機構 年金の併給または選択
それぞれ同時に受給ができるパターンを押さえておきましょう。
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併給可能なケース2:「老齢給付」と「障害給付」
併給できるケースの1つに「老齢給付」と「障害給付」の組み合わせがあります。障害給付は、病気やけがが原因で所定の障害等級認定を受けた場合に支払われる公的年金制度です。老齢給付と障害給付の組み合わせには「老齢厚生年金」と「障害基礎年金」が併給可能なパターンとなります。
ただし65歳以降は老齢給付が始まるため、図表3で示すいずれかの組み合わせを選んで受給する必要があります。
【図表3】
出典:日本年金機構 年金の併給または選択
65歳以降は「障害給付」もしくは「老齢給付」で統一するか、同時受給するか選ばなければなりません。受取額もそれぞれのパターンで変わるため、事前に給付額がいくらになるのか確認しておく必要があります。
以上より老齢厚生年金と障害基礎年金の組み合わせは可能ですが、受取額によってどのパターンで受け取るか事前にリサーチしておきましょう。
併給可能なケース3:「障害給付」と「遺族給付」
「障害給付」と「遺族給付」も同時に受給できるケースです。「障害厚生年金」と「障害基礎年金」の組み合わせが併給できるパターンになります。ただし65歳以上になったら、図表4の通り組み合わせの選択が必要です。
【図表4】
出典:日本年金機構 年金の併給または選択
併給できるケースを押さえておくと公的年金制度をかしこく利用できる
公的年金制度の中で、異なる年金をそれぞれ同時に受給できるパターンについて解説しました。公的年金を併給できる方法を大きく分けると3パターンあります。
受給できる条件や注意点もありますが、把握しておけば公的年金制度をかしこく利用できるので、この機会に併給できるパターンについて押さえておきましょう。
出典
日本年金機構 年金の併給または選択
執筆者:川辺拓也
2級ファイナンシャルプランナー