更新日: 2022.09.20 その他年金

GPIFとはどういう組織? 年金はどのように運用されている?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

GPIFとはどういう組織? 年金はどのように運用されている?
GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)は、年金保険料に含まれている積立金を活用して、管理や運用を行う組織です。しかし、GPIFとは何か、どのようにして年金を運用しているのか分からない方も多いでしょう。
 
本記事では、GPIFとは何か、年金をどのように運用しているのかを解説します。ご自身が納めている年金の話なので、正しく理解しましょう。
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GPIFとは?

GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)は、年金積立金の管理・運用を行う組織です。厚生労働大臣から寄託された組織であり、運用で得た収益は国庫に納付することで年金財政の安定に貢献します。
 
GPIFでは、収益を安定して得るために「長期分散投資」を行っています。短期運用だと期間が短いためプラスやマイナスに大きく振れてしまう可能性が高いですが、運用期間を長くすることでプラスとマイナスが相互に打ち消し合い、「年率平均の収益の振れ幅を⼩さくする効果」となることが期待できます。
 
また、投資対象を1つに絞らず、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式の主要4資産に分散投資しています。それにより、リスクを減らして安定的な運用成果を目指しています。
 

年金はどのように運用されているのか

公的年金の積立金運用に関する主な法律には、次に挙げる3つがあります。

●厚生年金保険法
●国民年金法
●年金積立金管理運用独立行政法人法(GPIF法)

これらの法律によると、運用は「安全かつ効率的に行わなければならない」とありますが、実際に年金をどのように運用しているのでしょうか。主に2つのポイントと、分散投資の意義について解説します。
 

年金積立金の長期的な運用目標

年金積立金の長期的な運用目標は、GPIFホームページの「年金積立金の運用目標」よると次のとおりです。
 
年金積立金の長期的な運用目標=賃金上昇率+1.7%
 
一般では、資産運用をするうえで「賃金上昇率」が使われることはありません。しかし、公的年金の保険料収入と年金給付では、賃金上昇率が賃金水準の変化に応じて変動するため使用されます。
 

基本ポートフォリオ

GPIFでは、長期的な運用をするために、短期的な市場の動向よりも、基本となる資産構成割合を決めて長期間維持していくほうが効率であるとしています。
 
このことから、公的年金運用は、積立金の基本となる資産構成割合といわれる「基本ポートフォリオ」が定められています。基本ポートフォリオとは、どの資産にどのくらいの割合で投資するかを定める資産配分の目標で、運用を評価するための軸としても利用されます。
 
基本ポートフォリオは、厚生労働省が実施する「財政検証の結果」や、厚生労働大臣から与えられた中期目標、経済情勢などをふまえて策定します。資産の構成割合は、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式でそれぞれ25%ずつ。そこから、乖離(かいり)許容幅を各資産プラスマイナス6~8%、国内・外国債券と国内・外国株式でプラスマイナス11%としています。
 
なお、一度策定した基本ポートフォリオは適時検証を行い、必要に応じて見直しの検討が行われます。
 

分散投資の意義

分散投資することの意義は、主に次の3つがあります。

●1位になる資産は当てられない
●投資のリスクを考える
●資産は1つにまとめず分散させる

GPIFでは、毎年値上がりの大きい資産クラスを当て続けることは難しいため、1つに絞って資産運用をするのではなく、上記のとおり、国内債券・国内株式・外国債券・外国株式の主要4資産にそれぞれ分けて投資しています。
 
値上がりを続けて「調子がよい」と思っても、何がきっかけで株価が暴落するか分かりません。資産運用におけるリスク(標準偏差)を正しく理解することで大きな損失を避け、安全な運用をしていくための分散投資です。
 

短期ではなく長期的な目で見ることが大切

現役世代の方にとって、公的年金制度は「将来ほとんどもらえないのではないか」と不安に感じている方も多いでしょう。しかし、GPIFによる年金積立金やそのほかの施策により、将来的にも維持可能であることが公表されています。
 
ネットやニュースで、「損失が発生」したことが報道されると、本当に大丈夫なのか不安になりますが、GPIFによる年金積立金は「長期分散投資」を行っています。短期ではなく、長期的な目で見ることが大切であることを、正しく理解しましょう。
 

出典

年金積立金管理運用独立行政法人
年金積立金管理運用独立行政法人 年金積立金の運用目標
年金積立金管理運用独立行政法人 基本ポートフォリオの考え方
年金積立金管理運用独立行政法人 分散投資の意義1 1位になる資産は当てられない
年金積立金管理運用独立行政法人 分散投資の意義2 投資のリスクとは
年金積立金管理運用独立行政法人 分散投資の意義3 卵を一つのかごに盛るな
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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