年金の仕組みを解説! 年金制度は破綻しない!!
配信日: 2022.09.21
しかし、年金制度が「破綻」する可能性は極めて低いといえます。今回はその理由と、年金制度の基本、そして老後の生活に向けた注意点についてわかりやすく解説します。
執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)
ファイナンシャルプランナー2級・AFP
年金制度の仕組み
日本の公的年金制度は、1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金という「2階建て構造」になっています。国民年金は、20歳以上60歳未満の全ての人が加入する年金です。これに対し、厚生年金は会社員や公務員が加入します。
公的年金制度の運営は「賦課方式」が基本で、働いている人が支払った保険料で、年金受給者の年金をまかなう仕組みとなっています。老後は(受給要件を満たせば)、全ての人が「老齢基礎年金」を、そして厚生年金などに加入していた人は、老齢基礎年金に加えて「老齢厚生年金」などを受け取ることができます。
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年金制度が破綻しないといえる理由
少子高齢化の時代、「高齢者が増え、若い世代では支えきれないのではないか」という意見もあります。しかし、次に挙げる4つの理由から、年金制度が将来的に破綻し、年金を受け取ることができなくなるという事態は考えにくいといえます。
財政検証
厚生労働省は、少なくとも5年に1回、国民年金および厚生年金の財政の現況や将来の見通しを分析し、検証しています。人口、労働人口、物価や賃金上昇など、さまざまな観点から今後の年金財政を予測し、シミュレーションしているのです。
年金制度の改正
公的年金の年金額は、賃金・物価の変動に応じて年度ごとに改定されます。これを「賃金・物価スライド」といいます。この賃金・物価スライドの仕組みは既に見直され、現役世代の負担能力がより考慮されるようになりました。2021年度からは賃金の変動が物価の変動を下回る場合、賃金変動に合わせて改定されています。
さらに、賃金や物価の改定率を調整し、年金の給付水準を緩やかにする仕組みが「マクロ経済スライド」です。2018年度からは、将来世代の給付水準を確保するため、賃金・物価上昇の範囲内で、前年度までの未調整分が繰り越され調整される仕組み(キャリーオーバー制度)になっています。
少子化や平均寿命の伸びなどに対応するため、年金制度のあり方を必要に応じて修正し、将来にわたって制度が破綻しないよう「修繕作業」が繰り返されていると捉えることができるでしょう。
年金積立金
国民から支払われた年金のうち、支払いなどに充てられなかった分は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)によって、「年金積立金」として運用されます。2001年から20年以上運用を続け、全体の収益率はプラス3.56%(年率)であり、現在200兆円近くの資産があります。今後もこのような運用が続くとすれば、すぐに年金を支給できなくなるという事態に陥るとは考えにくいといえるでしょう。
労働人口の増加
就業者が、65歳以上の非就業者を支えるのが年金制度の基本です。少子高齢化の時代ですが、働く就業者数は増えています。特に65歳以上の高齢者でも働く人が増え、65歳以上の非就業者を支える人は増加傾向にあるのです。
制度は破綻しないが年金のみに頼るのは危険
このように将来、年金制度自体が崩壊し、年金が全くもらえなくなるということは考えにくいでしょう。しかし、年金の給付額の減少や、年金の受給開始年齢がさらに引き上げられるなどの可能性は十分にあります。
年金は老後の大切な収入源です。しかし、年金だけで豊かな老後を送るには、現在の給付水準でさえ必ずしも十分とはいえません。老後のための貯蓄をしっかりとしておくこと、できれば年金以外の収入源も確保しておくことが大切です。
一方で年金は、税金の節約にもなる広義の「貯蓄」の一種と考えることができます。というのも所得税は、年金保険料を支払った後の所得で課税されるからです。年金制度を理解し、うまく活用しながら、老後の資金計画を立ててみましょう。
出典
厚生労働省 教えて!公的年金制度 公的年金制度はどのような仕組みなの?
厚生労働省 将来の公的年金の財政見通し(財政検証)
日本年金機構 マクロ経済スライド
厚生労働省 令和4年度の年金額改定について
年金積立金管理運用独立行政法人 2022年度の運用状況
総務省統計局 労働力調査 長期時系列データ
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP