厚生年金の被保険者数は男女ともに増加傾向。背景には65歳以上の雇用進展が!
配信日: 2022.09.25 更新日: 2022.09.26
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
厚生年金被保険者は増加傾向にある
令和2年度末の厚生年金被保険の被保険者数は4513万人となっており、毎年増加傾向にあります。平成7年度末の時点では3000万人台後半であったことから、直近25年ほどで1.1倍から1.2倍程度になっていることがうかがえます。
図表1
出典: 厚生労働省 公的年金財政状況報告 令和2(2020)年度 の概要
さらに年齢別の推移では、被保険者の年齢は、被保険者数と総人口比のどちらから見ても高齢化が進んでいることが分かります。
図表2
出典: 厚生労働省 公的年金財政状況報告 令和2(2020)年度 の概要
男女ともに65歳から69歳の間の高齢者の増加が目立ちます。被保険者数の人口比で見ると、男性は5年間で19.7%だったものが31.0%に、女性では7.4%から12.6%にと、どちらも大きく増加しています。
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なぜ厚生年金の被保険者数が男女ともに増加傾向にある?
厚生年金の被保険者数が増加し、さらに被保険者のうち高齢者が増えている理由としては、定年の引き上げがなされたことが考えられます。平成25年4月以降に65歳まで、令和3年4月以降には70歳まで、雇用を確保できるよう努力する義務が雇用主に課せられたことから、65歳以上でも働く人が増え、それにより厚生年金の被保険者数および被保険者のうち高齢者の割合が増加していったと考えられます。
また、かつては、正社員と異なりパート・アルバイトは法定の要件を満たしていても社会保険に加入させない雇用主が見受けられていました。しかし、近年は国が社会保険の加入について徹底する姿勢をとっているため、定年後にパート・アルバイトとして働く場合でも社会保険に加入する方が増えたであろうことも、理由の一つとして考えられます。
今後も高齢者の厚生年金加入者は増える可能性がある
国は現在、高齢者がより長く働いていけるような労働環境の整備を目指しています。先に述べた、70歳までの雇用を確保するための努力義務が事業主に課されるなどのほか、厚生年金の繰下げ受給が75歳まで可能になるなど、高齢者が働きやすく老後の就業が選択肢に入りやすい社会に向かっています。
それに加え、令和4年10月からは被保険者数101人以上の企業で、令和6年10月には51人以上の企業でと段階的に、パート・アルバイトで働く短時間労働者に対する要件から「勤務期間1年以上」が「雇用期間が2カ月を超えて見込まれること」へ変更になるなど、厚生年金の加入対象の幅が広がっていくことが決まっています。
これらの国の動きを鑑みると、今後も65歳以上の高齢者における厚生年金被保険者の数は増えていくことが想定されます。
しかし、厚生年金に加入できるのは現状、原則70歳未満であることが条件の一つであることや、少子化などによる労働人口の減少が進んでいくであろうことを踏まえると、今後ある程度伸びたところで、高齢者だけにとどまらず全体的な厚生年金の被保験者数の伸びも停滞することが予想されます。
日本は、65歳を過ぎても働くことが珍しくない社会
厚生年金の被保険者数が増加傾向となっている背景には65歳以上の高齢者の雇用促進が影響しており、日本は現在、65歳を過ぎても厚生年金の加入要件を満たすほどに働くことが珍しくはない社会になりつつあるようです。
65歳以降も厚生年金に加入するということは、将来受け取る厚生年金の金額がそれだけ増えるということにもなります。老後について考えるときは、65歳以降も就労して厚生年金に加入することも視野に入れておくと、より充実した老後を過ごせるのではないでしょうか。
出典
厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業年報
厚生労働省 公的年金財政状況報告 令和2(2020)年度 の概要
執筆者:柘植輝
行政書士