更新日: 2022.09.28 国民年金

60歳以上も加入期間が満たなければ加入可能!? 国民年金の「任意加入」とは

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部 / 監修 : 高橋庸夫

60歳以上も加入期間が満たなければ加入可能!? 国民年金の「任意加入」とは
国民年金の加入期間は満20~60歳までの40年間です。しかし、何らかの事情で60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない人や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない人もいるのではないでしょうか。
 
そのような人は「任意加入」の手続きをすることで、加入期間を40年に近づけることができます。
 
そこでこの記事では、国民年金の任意加入とはどのような仕組みなのかを詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

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そもそも国民年金はどのような制度?

まずは、国民年金の制度がどのようなものかをしっかり把握しておきましょう。国民年金は、日本に住所を有する20歳以上60歳未満のすべての日本国民が加入しなければなりません。
 
もし保険料の支払いが経済的に困難な場合、所得が一定以下の学生には保険料の納付が免除される「学生納付特例制度」があります。また、収入が少ない人や失業等の理由によって保険料の納付が困難になった人には保険料の「免除・納付猶予制度」があります。
 
加入期間(免除・納付猶予された期間を含む)が10年以上の場合、20歳以上60歳までの間に納付した保険料と納付した期間に応じて、満65歳から老齢基礎年金が支給されます。令和4年度の満額は年額77万7800円(月額6万4816円)です。
 
仮に加入期間が40年(480ヶ月)のうち、保険料納付済月数が400ヶ月、全額免除月数が40ヶ月、4分の1免除月数が40ヶ月であった場合「77万7800円×(400ヶ月+40ヶ月×1/2+40ヶ月×7/8)÷480ヶ月」で基礎老齢年金の年額は73万7290円になります。
 
また、老齢基礎年金の受給開始時期は65歳ですが、60~64歳までの間に「繰上げ受給」として年金を受け取ることもできます。ただし、繰上げ受給をした場合には年金額が減額されます。ひと月当たりの減額率は0.4%(最大24%)、昭和37年4月1日以前生まれの方は、0.5%(最大30%)となります。
 
その逆に、66~75歳までの間に繰下げて年金を受給する「繰下げ受給」もできます。その場合は本来受け取ることができた受給額よりも増額されます。ひと月当たりの増額率は0.7%(最大84%)です。繰上げ受給や繰下げ受給をした場合の減額率、増額率は生涯変わりません。
 

任意加入とは

さて、「任意加入制度」とは、60歳までに老齢基礎年金の受給資格を満たしていない場合や、40年の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合、60~65歳までの間に引き続き国民年金に加入できる制度です。任意加入することで老齢基礎年金額を満額に近づけることができます。
 
注意するべきポイントは、加入期間が40年に達した時点で任意加入被保険者の資格は喪失するということです。そのため、任意加入をしたからといって国民年金の加入期間が40年を超えることにはなりません。
 
また、65歳の時点で加入期間が10年以上になっていれば老齢基礎年金の受給資格が発生しますが、65歳の時点でもまだ受給資格が発生しない人や65歳まで国民年金に未加入だった人は、任意加入をすることで65歳以降も老齢基礎年金の受給資格が発生するまで国民年金に加入できます。
 

老齢基礎年金の受給資格を満たさない場合や、増額希望の場合は任意加入を検討しよう

満60歳の時点で加入期間が40年に満たない場合、任意加入をすることで老齢基礎年金の受給資格が発生する65歳まで保険料を納付することができます。ただし、任意加入をしても加入期間が40年以上になるわけではないので注意が必要です。
 
何らかの事情があって老齢基礎年金を満額受給できない人は、少しでも加入期間を40年に近づけたい人は任意加入を検討してみましょう。
 

出典

日本年金機構 国民年金に加入するための手続き
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 老齢年金ガイド
日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 か行 高齢任意加入
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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