更新日: 2022.09.30 国民年金

海外でリタイア生活でも「老齢年金」は受け取れる!手続きを紹介

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

海外でリタイア生活でも「老齢年金」は受け取れる!手続きを紹介
定年を迎えた後は、海外で暮らすのも一つの生き方です。しかしその場合、年金はどうなるのか気になるでしょう。
 
結論からいうと、条件を満たし、適切な手続きを済ませれば問題なく受け取れます。
 
そこで本記事では、海外に移住した場合の老齢年金の受け取り方と関連する知識を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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基本的な手続きの流れ

海外に移住している人が年金を受け取る場合、以下の流れで手続きを進めましょう。
 

1.年金事務所や年金相談センターに書類を提出する

年金受給開始年齢になったら、まず年金請求の手続きをしましょう。日本での最後の住所地を管轄する年金事務所や年金相談センターで手続きをします。以下の書類を用意してください。

・年金請求書
・本人確認書類(戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか)

※年金請求書の提出日において6ヶ月以内、受給権発生日以降に交付されたもの
・本人名義の受取先金融機関の通帳
・印鑑

 

2.年金の受取金融機関を決める

次に、どこの金融機関で年金を受け取るか決めましょう。日本国内の銀行に口座があるなら、そこを指定して構いません。ただし、ゆうちょ銀行は利用できないので気をつけましょう。
 
海外の金融機関の口座を指定することもできます。ただし、その金融機関に対して振り分けられているSWIFT/BICコードが必要になります。アメリカやヨーロッパなど一部の国では、さらにほかの情報も求められるケースもあるので、都度確認してください。
 

3.租税条約に関する届出書を提出する

本来、老齢年金は国内源泉所得として、源泉徴収が行われます。つまり、税金に当たる部分が差し引かれて振り込まれますが、日本が租税条約を締結している国の居住者に対しては免除される仕組みです。
 
2022年1月現在、世界71カ国が指定されているので、これらの国に移住する場合は租税条約に関する届出書を提出しましょう。
 

その他の注意点

基本的な手続きを押さえたところで、その他の注意点についても解説しましょう。
 

年金受給年齢に達する前に海外移住する場合は?

50代、60代前半など年金受給年齢に達する前に海外移住する場合でも、海外転出届を出せば年金受給資格が維持されます。日本を出国する前に手続きを済ませましょう。
 

年金加入期間が10年未満の場合は?

原則として、老齢年金を受け取るには、年金加入期間が10年以上ないといけません。10年未満で海外に移住すると、受給資格は得られないので注意しましょう。
 
ただし、社会保障協定を締結している国に移住する場合は別です。社会保障協定とは、年金の二重加入や保険料の掛け捨てを防ぐための制度を指します。簡単にいうと、日本に住んでいた人が社会保障協定を結んでいる国に移住した場合、年金の加入期間を合算することが可能です。
 
例えば、日本での年金加入期間が3年だった人がアメリカに移住した場合、アメリカの年金に7年間加入すれば受給資格が得られます。2022年6月1日現在、以下の国と社会保障協定を締結済みです。
 

協定が発効済の国 ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク フィリピン スロバキア 中国 フィンランド スウェーデン
※なお、イタリアでは署名済未発効の状態

日本年金機構 海外居住者の年金請求より筆者作成
 

受け取れるものは受け取っておこう

海外では、慣れない生活から体調を崩すなどの予期せぬトラブルも起こるでしょう。お金があればすべてを解決できるわけではありませんが、毎月一定額が受け取れるのはプラスになるはずです。
 
忘れずに手続きを済ませ、安心して海外生活を楽しみましょう。
 

出典

日本年金機構 海外居住者の年金請求
日本年金機構 海外居住で現況届を提出される方、海外へ住所を移される方、海外居住で引っ越しされる方、海外居住者で海外の口座へ年金の振り込みを希望される方の手続き
日本年金機構 租税条約等締結国一覧(令和4年1月現在)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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