更新日: 2022.10.08 厚生年金

厚生年金の「加給年金」と「振替加算」とは? もらえる条件を解説

厚生年金の「加給年金」と「振替加算」とは? もらえる条件を解説
厚生年金保険に加入していた人が年金を受給するとき、人によって年金額が加算される場合があることを知っていますか? 家族構成や年齢によって、条件を満たすと年金額が増えます。年の差がある夫婦や、年金生活で未成年の子どもがいる人に知っておいてほしい制度を解説します。
勝川みゆき

執筆者:勝川みゆき(かつかわ みゆき)

ファイナンシャルプランナー2級・AFP

加給年金について

老齢厚生年金を受給するとき、65歳未満の配偶者や未成年の子どもがいる場合には、加給年金額が加算されます。
 

加給年金とは?

厚生年金保険の被保険者が、特別支給の老齢厚生年金または65歳以後の老齢厚生年金を受けるとき、65歳未満の配偶者または18歳到達年度の末日まで(1級・2級の障害の状態にある場合20歳未満)の子どもがいる場合に、年金額に加算されるのが加給年金です。
 

もらえる条件

加給年金が支給される条件は、厚生年金保険に20年以上加入していることです。または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年~19年ある人も支給の対象となります。ただし、配偶者が老齢厚生年金または退職共済年金を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、加給年金は支給停止となります。
 
例外として、2022年3月時点で加給年金が支給されている人で、配偶者が老齢厚生年金等の受給権(厚生年金保険の被保険者期間が240月以上ある)を持っていて全額が支給停止されている場合は、引き続き支給されます。
 

加算額

対象者が、配偶者の場合および1人目または2人目の子どもの場合、加算額は各22万3800円です。対象者が3人目以降の子どもの場合は、各7万4600円となります。また、対象者が配偶者の場合には、加給年金を受給している人の生年月日に応じて、さらに3万3100円~16万5100円の特別加算額が加算されます。
 

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振替加算について

現在の基礎年金制度は、1985年の制度改正により導入されました。制度改正により生じる年金額の減少をカバーするための措置が、振替加算です。

振替加算とは?

夫(妻)の老齢厚生年金または障害厚生年金に、加給年金が加算されている場合、加給年金の対象者になっている妻(夫)が65歳になると、加給年金の支給は停止されます。このとき、加給年金の代わりに、妻(夫)が受け取る老齢基礎年金に加算され支給されるのが振替加算です。
 

もらえる条件

振替加算が受給できるのは、本人(妻または夫)が老齢基礎年金を受け取るとき(65歳到達時)、夫(妻)が受給している年金の加給年金の対象となっていた人のうち、以下の条件を満たしている人です。
 

●生年月日が1926年4月2日~1966年4月1日までの間
 
●老齢基礎年金の他に老齢厚生年金や退職共済年金を受けている場合は、厚生年金保険および共済組合等の加入期間が併せて20年未満
 
●共済組合等の加入期間を除いた厚生年金保険の35歳以降の(夫は40歳以降の)加入期間が、生年月日により15年~19年未満

 

加算額

現在の基礎年金制度導入が始まった1986年4月1日に59歳以上の人は、配偶者加給年金額と同額の22万3800円で、それ以後年齢が若くなるにつれ減額していき、1986年4月1日に20歳未満の人は加算額がゼロとなるように決められています。
 

自分のもらえる年金額をしっかり把握しましょう

年金は、多くの人にとって、老後の主な収入源となります。そのため、自分がもらえる年金額を把握しておくことは、とても大切なことです。なぜなら、年金額によって、老後の生活スタイルや生活水準が大きく変わってくる可能性があるからです。厚生労働省によると、厚生年金保険受給者の平均年金月額は、2020年度末時点で、約14万6000円となっています。
 
年金生活になる前にいくら貯蓄しておけば良いのか。何歳まで働くのが良いのか。年金の繰上げ・繰下げ受給をした方が良いか。老後に余裕のある生活は可能か。
 
これらの不安や悩みを解消するためには、まず自分の年金額を把握してみてください。加給年金と振替加算は、少し分かりにくい制度にも思われますが、特に年の差がある夫婦では対象となる人が多いでしょう。年金額をしっかりと把握した上で、老後の経済設計に合わせたライフプランを、ぜひ立ててみてください。
 

出典

日本年金機構 加給年金額と振替加算

厚生労働省 厚生年金保険・国民年金事業の概況 令和2年度

 
執筆者:勝川みゆき
ファイナンシャルプランナー2級・AFP

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