労災保険と障害年金、何が違う? 同時にもらえる?

配信日: 2022.10.11

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労災保険と障害年金、何が違う? 同時にもらえる?
業務中や通勤の途中で負ったけがや病気、死亡した際に労災保険(労働者災害補償保険)が給付されます。そのけがや病気が原因で障害を負ったときには、障害等級に応じて、労災保険による年金を受給できます。一方、業務中や通勤の途中以外でも、障害を負った方が受給できる障害年金があります。
 
今回は、この2つの年金制度の概要を確認し、2つを同時にもらえるかについて解説していきます。
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

労災保険とは?

厚生労働省によると、「労災保険とは、業務上の事由または通勤による労働者の負傷・疾病・障害または死亡に対して労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度」と定義されています。
 
この労災保険の中で、年金として受給できるものは、次の「傷病(補償)年金」「障害(補償)年金」「遺族(補償)年金」の3種類の制度がありますので、その概要を確認してみます。
 

(1)傷病(補償)年金

業務中や通勤途中での病気やけがで療養を開始して1年6ヶ月が経過しても傷病が治らないで、障害の程度が傷病等級第1級~第3級に該当する場合に、年金を受給できます。
 

(2)障害(補償)年金

業務中や通勤途中での病気やけがが治ったとしても、障害が残った場合に受給できます。障害等級が第1級~7級に該当するときは年金、第8級~14級では一時金の受給ができます。
 

(3)遺族(補償)年金

業務中や通勤途上で死亡した労働者の遺族に対して支給されます。
 

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障害年金とは?

障害年金は、けがや病気によって生活や仕事をする上で、健常者に比べて行動などに制限が発生した場合に、受け取ることができる年金です。
 
この障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」の2種類があります。病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」を受給することができ、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」を受給できます。
 
なお、障害基礎年金は、障害の程度が1級もしくは2級であれば受給できます。障害厚生年金は障害の程度が1級~3級の場合に受給することができ、障害厚生年金の1級・2級に該当する場合には、障害基礎年金も同時に受給できます。
 
また、障害厚生年金受給に該当する1級~3級よりも程度が軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。
 

労災保険の年金と障害年金は同時にもらえるか

労災保険制度および障害年金制度の両方において、障害認定された場合には、両制度の年金を同時に満額受給はできません。しかし、障害年金は満額受給できます。一方、労災保険による年金は満額もらえず、減額されて支給されます。
 
年金制度においては、2つ以上の年金の受給権を同一の人が取得する場合には、どちらか一方の年金を受け取ることを原則としますが、労災保険に関しては、特例的に減額された上で併給されます(表参照)。
 

 
なお、減額するにあたっては、調整後の労災年金の額と厚生年金の額の合計が、調整前の労災年金の額より低くならないように考慮されます。
 
仕事中に病気やけがをした場合は、このような制度をうまく活用して、病状回復に専念できるとよいですね。
 

出典

厚生労働省 東京労働局 労災保険給付の概要

日本年金機構 障害年金

日本年金機構 障害年金ガイド 令和4年度版

厚生労働省 障害(補償)年金や遺族(補償)年金などの労災年金と厚生年金の両方を受け取ることはできるのでしょうか。

 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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