年金は「別々」に繰り下げられる!?国民年金を65歳、厚生年金を70歳で受給するケースで試算してみた!

配信日: 2022.10.14

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年金は「別々」に繰り下げられる!?国民年金を65歳、厚生年金を70歳で受給するケースで試算してみた!
老後に受け取る「老齢年金」には、日本に住む全員が加入の国民年金と、主に会社などに勤めている人が加入する厚生年金があります。両方とも原則65歳から受給が可能ですが、繰り上げ、または繰り下げて受給することが可能です。繰下げ受給した場合は、年間で受け取れる年金支給額が増額されます。
 
ここでは、年金の繰上げ、繰下げ受給の説明と、厚生年金だけを繰り下げた場合の受給額について試算してみましょう。
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老齢年金の「繰上げ受給」と「繰下げ受給」

国民年金と厚生年金は、原則として満65歳になると支給が開始されますが、60歳からの「繰上げ受給」が可能です。ただし、年金を繰り上げて受け取った場合、繰り上げた月数に応じて毎年支給される年金額が減額されます。
 
減額率は0.4%となっており、仮にどちらも60歳から受給する場合、5年(60ヶ月)繰り上げることになりますので、受け取れる年金は、毎年「0.4×60=24%」分が減額されます。繰り上げる場合は、原則として国民年金と厚生年金の両方を一緒に繰り上げなければならないため、受け取れる年金全体が減額されることになります。
 
一方、65歳で受け取れる年金を最大で75歳まで繰り下げることができます。この場合は繰り下げた月数分、毎年支給される年金額が増額されます。増額率は0.7%です。
 
仮に5年(60ヶ月)間繰り下げて70歳から年金を受け取ることにすると、65歳から受け取るとした年金額に「0.7×60=42%」分、上乗せされます。国民年金、厚生年金を別々に繰り下げることができるので、収入や預貯金の事情に応じて一方だけ受給を遅らせ、年金以外の収入がなくなった後の受給月額を増やすということが可能です。
 

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国民年金を65歳から、厚生年金を70歳から受給したら、月々の年金受給額は?

では、タイトルにあるように、65歳から国民年金を受給開始し、厚生年金を70歳まで繰り下げて受給開始したら、70歳以降、毎月受け取る年金はどれくらいになるのか試算してみましょう。試算に使う年金受給額は、厚生労働省が公表している「令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考にします。
 
この資料の表6から「厚生年金だけ」を受給している人の平均受給月額「6万6934円」、表20から「国民年金だけ」を受給している人の平均受給月額「5万6358円」を使います。
 
まず厚生年金の月額を年額に換算すると、「6万6934円×12=80万3208円」となります。上記で計算したように、5年間繰り下げると年間受給額に対して42%上乗せされますので、70歳からの年間受給額は、「114万555円」となります。月額受給額に換算すると、「9万5046円」です。
 
この額に国民年金の受給月額を加えた「15万1404円」が70歳以降の年金受給月額になり、毎月2万8000円ほど増えるという結果になりました。
 

繰上げ、繰下げ、みんなはどうしてる?

同資料には、年金受給開始年齢の統計も載っています。参考までに、他の人がいつ年金を受け取っているのかも紹介します。同資料の表26から、国民年金を本来の「65歳」で受給した人の割合は86.7%と最も多くなっています。次いで多いのは「繰上げ」で11.7%、「繰下げ」は最も少なく1.6%でした。
 
一方、表15をみると、厚生年金でも本来の「65歳」で受給した人が最も多く、98.5%となっています。次いで「繰下げ」が1%、「繰上げ」は0.5%にとどまり、こちらはわずかながら繰下げの方が繰上げを上回っていました。いずれも本来の65歳から受給する人が多く、繰下げ受給はどちらも1%台と少ないことがわかります。
 

60歳以降の収入しだいで、年金の繰下げ受給を積極的に考えよう


 
60歳定年の企業が多いなか、企業には、引き続き65歳まで働けるように定年を廃止したり、継続雇用したりするなどの措置を講じるよう義務づけられています。
 
また、70歳まで働ける環境を整える努力義務も課されており、高齢になっても働ける環境が徐々に整いつつあります。元気なうちはできるだけ働きたいと考えている人は、年金の受給を無理のない範囲で繰り下げ、収入がなくなった後の生活に備えることも考えてみましょう。
 

出典

厚生労働省 令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

日本年金機構 年金の繰上げ受給

日本年金機構 年金の繰下げ受給

厚生労働省 高年齢者雇用安定法 改正の概要

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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