更新日: 2022.10.25 その他年金
私たちの年金は運用されている?GPIFについて解説。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
日本の人口の3人に1人が年金を受け取っている
日本では高齢化が進んでおり、2020年度の年金受給者は4051万人にも及びます。4051万人は、日本の人口のおよそ3人に1人です。
また、高齢者世帯の平均所得の約6割が年金となっており、年金がいかに高齢者の生活の支えになっているかがわかります。2020年度の年金給付額は56兆円です。56兆円は、国内で年間に新たに生み出されたものやサービスの合計額を表す名目GDPの約1割で、多額のお金が年金に充てられています。
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現役世代が高齢者を支える
日本の年金制度は、現役世代が納める年金保険料で、高齢者に年金を給付します。
ただし、年金保険料だけでは年金が十分に賄えないのが現状です。そのため、基礎年金の給付費の2分の1は税金により賄われています。以前は、基礎年金のうち税金での負担割合は3分の1でしたが、平成21年4月に2分の1に負担割合が改定されました。
年金はGPIFが運用している
国民が納めた年金保険料は、「年金積立金管理運用独立行政法人」、GPIF(Government Pensions Investment Fundの略)で運用されています。GPIFは、厚生労働大臣が年金積立金の管理・運用を委託しており、年金財政の安定に貢献する組織です。私たちが受け取る年金は、GPIFによって日々運用されています。
長期分散投資で、確実な運用を目指す
GPIFは、株式や債券などの資産を長期的に保有することで安定的な収益を目指します。2022年6月末時点の運用資産の構成割合は図表1の通りです。
図表1
資産種類 | 資産額 | 構成割合 |
---|---|---|
国内債券 | 49兆9501億円 | 25.65% |
外国債券 | 50兆538億円 | 25.70% |
国内株式 | 47兆7615億円 | 24.53% |
外国株式 | 46兆9597億円 | 24.12% |
合計 | 194兆7251億円 | 100.00% |
GPIF 2022年度の運用状況
図表1の通り、国内外の債券・株式に分散投資をしています。
年間の実質運用利回りは3.78%
厚生労働大臣が定めた長期的に確保すべき実質的な運用利回りの目標値は年平均1.7%です。しかし、実際の運用利回りは3.78%を達成しており、目標に対して大きく上振れています。2001年度から2021年度の運用利回りは、図表2の通りです。
図表2
年度 | 名目運用利回り | 名目賃金上昇率 | 実質的な運用利回り |
---|---|---|---|
2001年度 | 1.94% | -0.27% | 2.22% |
2002年度 | 0.17% | -1.15% | 1.34% |
2003年度 | 4.90% | -0.27% | 5.18% |
2004年度 | 2.73% | -0.20% | 2.94% |
2005年度 | 6.83% | -0.17% | 7.01% |
2006年度 | 3.10% | 0.01% | 3.09% |
2007年度 | -3.53% | -0.07% | -3.46% |
2008年度 | -6.86% | -0.26% | -6.62% |
2009年度 | 7.54% | -4.06% | 12.09% |
2010年度 | -0.26% | 0.68% | -0.93% |
2011年度 | 2.17% | -0.21% | 2.39% |
2012年度 | 9.56% | 0.21% | 9.33% |
2013年度 | 8.23% | 0.13% | 8.09% |
2014年度 | 11.62% | 0.99% | 10.53% |
2015年度 | -3.64% | 0.50% | -4.12% |
2016年度 | 5.48% | 0.03% | 5.45% |
2017年度 | 6.52% | 0.41% | 6.09% |
2018年度 | 1.43% | 0.95% | 0.48% |
2019年度 | -5.00% | 0.70% | -5.66% |
2020年度 | 23.98% | -0.51% | 24.62% |
2021年度 | 5.17% | 1.26% | 3.86% |
21年間 | 3.71% | -0.07% | 3.78% |
GPIF 年金積立金の運用目標
年によってかなり差はありますが、平均すると着実に資産は増えています。
もらえる年金をシミュレーションしよう
GPIFによって運用されている年金ですが、もらえる額は人によって異なります。個人事業主と会社員では、会社員の方が一般にもらえる額は多いです。老後を迎える前に将来受け取る年金をシミュレーションし、不足する額は若いうちからコツコツと資産を貯めるよう計画しましょう。
出典
GPIF 年金積立金管理運用独立行政法人
厚生労働省 基礎年金国庫負担割合2分の1の実現について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部