更新日: 2022.10.28 年金

年金を受け取らずに亡くなった人はどれくらいいる? 遺族が受け取る年金とは?

執筆者 : 辻章嗣

年金を受け取らずに亡くなった人はどれくらいいる? 遺族が受け取る年金とは?
日本国内に居住する20歳以上、60歳未満のすべての方は国民年金の被保険者となり、年金保険料を納付する義務があります。また、会社員などの方は厚生年金に加入して保険料を納めています。
 
ただし、老齢年金を受給できるのは原則65歳からとなるため、老齢年金を受け取る前に亡くなる方も少なくありません。
 
そこで今回は、老齢年金を受け取らずに亡くなった方の数と、遺族の方が受け取る遺族年金などについて解説します。
 
辻章嗣

執筆者:辻章嗣(つじ のりつぐ)

ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

元航空自衛隊の戦闘機パイロット。在職中にCFP(R)、社会保険労務士の資格を取得。退官後は、保険会社で防衛省向けライフプラン・セミナー、社会保険労務士法人で介護離職防止セミナー等の講師を担当。現在は、独立系FP事務所「ウィングFP相談室」を開業し、「あなたの夢を実現し不安を軽減するための資金計画や家計の見直しをお手伝いする家計のホームドクター(R)」をモットーに個別相談やセミナー講師を務めている。
https://www.wing-fp.com/

20歳以上、65歳未満で亡くなった方の数は


 
厚生労働省の統計によると令和3年に死亡した20歳以上、65歳未満の方の数は表1のとおり、12万人を超えています(※1)。
 
【表1】

 
令和3年の死亡数の総計(12万1276人)を基にした場合、国民年金保険料の納付が始まる20歳から、老齢年金の受給開始年齢となる原則65歳になるまでの45年の間では、老齢年金を受給しないまま死亡する方の総数は540万人ほどになるものと推定されます。
 
なお、20歳から65歳までに死亡した方の中には、障害年金を受給していた方も含まれるものと推察します。
 

遺族年金を受け取る

老齢年金を受給する前に亡くなった場合は、対象となる遺族の方に遺族年金が支給されます。
 

1. 遺族基礎年金の受給対象

20歳以上、65歳未満で亡くなった方が国民年金保険料の納付要件(注1)を満たしている場合は、その方に生計を維持されていた「子(注2)のある配偶者」または「子(注2)」が遺族基礎年金を受給できます(※2)。
 
(注1):保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が、国民年金加入期間の3分の2以上あること。死亡日が令和8年3月末日までの場合は、死亡した方が65歳未満であれば死亡日前日で、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。
 
(注2):子とは18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。
 

2. 遺族厚生年金の受給対象

20歳以上、65歳未満で亡くなった方が会社員など厚生年金の被保険者であり、保険料納付要件(注1)を満たしている場合や、老齢厚生年金の受給資格(注3)を満たしていた場合は、その方に生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い方が遺族厚生年金を受給できます(※3)。
 
(注3):保険料納付済期間、保険料免除期間、および合算対象期間を合算した期間が25年以上ある方に限る。
 
【表2】


 
(※3を基に筆者作成)
 
遺族厚生年金は、障害等級1級または2級の障害厚生年金を受給していた方が亡くなったときにも支給されます。また、遺族厚生年金を受給できる場合、遺族基礎年金も合わせて受け取れます。
 

寡婦年金や死亡一時金を受け取る

遺族厚生年金を受給することができる遺族の範囲は広くなっていますが、遺族基礎年金は「子(注2)のある配偶者」または「子(注2)」に限られます。
 
そこで、自営業者など国民年金の第1号被保険者が老齢基礎年金や障害基礎年金を受けないまま死亡した場合に、払い込んだ保険料が無駄にならないよう、遺族基礎年金を受給できない遺族に支給される「寡婦年金」と「死亡一時金」があります。
 

1. 寡婦年金

死亡日前日で国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)の保険料納付済期間と、保険料免除期間が10年以上(注4)ある夫が死亡したとき、夫に生計を維持されており、10年以上継続して婚姻関係(事実婚を含む)がある妻は、60歳から65歳になるまで寡婦年金を受け取ることができます(※4)。
 
(注4):平成29年8月1日より前に死亡した場合は25年以上の期間が必要です。
 
なお、妻が繰上げ支給の老齢基礎年金を受けているときは受給できません。
 

2. 死亡一時金

死亡一時金は、死亡日前日で国民年金第1号被保険者(任意加入被保険者を含む)として保険料を納めた月数(注5)が36月以上ある方が死亡したとき、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順番で、死亡時に生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます(※5)。
 
(注5):4分の3納付月数は4分の3月、半額納付月数は2分の1月、4分の1納付月数は4分の1月として計算されます。
 
なお、寡婦年金と死亡一時金の両方を受けることができる場合は、どちらか一方を選択することになります。
 

まとめ

国民年金や厚生年金に加入して保険料を納めていた方が、老齢年金を受給することなく亡くなったときは、受給要件を満たす遺族に遺族年金が支給されます。
 
ただし、遺族基礎年金を受け取れる遺族は、遺族厚生年金の受給対象に比べて範囲が限定されています。そのため、自営業者など国民年金第1号被保険者の死亡時に遺族基礎年金の受給対象外となるケースでは、要件を満たした妻には寡婦年金、また遺族には死亡一時金を支給する制度があります。
 

出典

(※1)厚生労働省 令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
(※2)日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
(※3)日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
(※4)日本年金機構 寡婦年金
(※5)日本年金機構 死亡一時金
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表
CFP(R)認定者、社会保険労務士

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