更新日: 2022.11.02 その他年金

年金の「繰上げ受給」を途中で止めて65歳から受け取れる? 早めに受け取るメリット・デメリットも確認

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

年金の「繰上げ受給」を途中で止めて65歳から受け取れる? 早めに受け取るメリット・デメリットも確認
年金の受給開始は原則65歳からですが、それぞれの事情から受給開始年齢を早めて受給する人もいます。受給開始を早めることで、生活資金を確保できる反面、年金の受給年額が減額されるというデメリットもあります。
 
よく考えて年金の繰上げ受給を決めなければ、のちのち後悔するかもしれません。ここでは、年金の繰上げ受給のメリット、デメリットについて説明します。
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繰上げ受給で年金を早くから受け取れる

年金の損得を考えるとき、何年間受給できるかが重要です。長く生きられる自信がないという場合は、受給を待つよりも早めに受け取る方がよいこともあります。健康面だけでなく、「退職後は働かずに暮らしたいので、生活資金を年金と退職金で賄いたい」などと考える人にとっても、年金を早く受け取ることで生活の質が高まるかもしれません。
 
年金の受給年齢は65歳が原則ですが、それぞれのライフプランに沿って、年金を早めに受け取ることができます。最も早い場合では、60歳から年金を受け取ることができます。これを「繰上げ受給」といいます。しかし、一方でデメリットもあります。
 

繰上げ受給のデメリットとは

繰上げ受給には、さまざまなデメリットもあります。ここでは繰上げ受給で生じるであろう、主なデメリットを説明します。
 

・年金額が減額される

繰上げ受給の最大のデメリットは、年金受給額が減額されてしまうことです。繰り上げる期間が1ヶ月ごとに、0.4%ずつ年金の減額率が上昇します。最も早い60歳から受給を始めた場合、本来の65歳から5年(60ヶ月)繰り上げることになりますので、年金の減額率は「0.4×60=24%」になります。
 
2022年度の国民年金の満額支給額は年額77万7800円ですので、24%減額されると年額59万1128円になってしまいます。そして生涯変わらず、この額を受け取ることになります。
 
また、国民年金と厚生年金の両方を受給することができる人が年金の繰上げを請求する場合、両方の年金を同時に繰り上げなければなりません。上記では国民年金の減額を例示しましたが、繰上げ受給する場合は国民年金だけでなく厚生年金も繰上げとなり、繰上げ年数に応じた減額の対象となってしまいます。
 

・「任意加入」や「追納」ができなくなる

一度受け取り始めた年金に「任意加入」したり、保険料を「追納」したりはできなくなります。過去に未納期間があったり、保険料の免除や納付猶予の期間があったりした場合、任意加入や追納で保険料を納めて年金受給額を増やすことが可能ですが、繰上げ受給すると、それができなくなります。
 

・他の年金を受給できなくなる

他の年金の受給資格にも影響を及ぼします。例えば、妻が自身の老齢基礎年金を繰上げ受給すると、夫を亡くしたときに支給される「寡婦年金」を受け取れません。寡婦年金を受給中の場合は受給権を失います。また、障害年金なども同様です。
 

一度繰上げ請求したら取り消しはできない

繰上げ受給したものの、やはり減額されるのはもったいないと、後で考え直した人もいるでしょう。しかし、一度繰上げ請求した年金は取り消すことはできず、減額された年金を生涯受給するしかありません。
 
繰上げ受給は長生きする自信がないという人や、今すぐ生活資金が欲しいという人にとっては便利な制度ではあります。ですが繰上げ受給を検討している人は、生涯にわたって年金が減額されたり、他の年金の受給資格がなくなったりするデメリットも考慮しましょう。
 

年金の繰上げは取り消しできないので、慎重に判断すること


年金を早く受け取れる反面、繰上げ受給にはさまざまなデメリットもあることを説明しました。年金の受け取り時期を決めることは、その人の老後の生き方を決めることにもつながります。今のことだけでなく老後の人生全体を見通して、いつ年金を受け取るのかを慎重に決めることが大切です。繰り上げてしまってからでは取り消しできません。
 

出典

日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 

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