更新日: 2022.11.11 その他年金
「平均年収だから老後は大丈夫」ではない!? 年収433万が将来受け取れる年金はいくら?
そこで今回は、平均年収433万円で受け取れる年金額はいくらになるのか、それだけで老後は暮らしていけるのか、詳しく解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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平均年収433万円だと年金はいくらになる?
会社員の場合、国民年金に加えて厚生年金にも加入しています。厚生年金の保険料額と老齢厚生年金の受給額は月収とボーナスの平均額によって決まります。
例えば、ボーナスなしで年収433万円であれば、月収は433万円÷12ヶ月で約36万円です。仮にボーナスが年2回1ヶ月分あるとすると、月収は433万円÷14ヶ月で約31万円です。この場合、月収約36万円の人は標準報酬月額が36万円、月収約31万円の人は標準報酬月額が30万円となります。
老齢厚生年金の受給額において大部分を占めるのは報酬比例部分です。この報酬比例部分は全期間の標準報酬月額と加入期間によって決まります。計算式は「平均標準報酬月額×5.769÷1000×加入月数」です。
国民年金の加入期間と同じ40年間厚生年金に加入し、全期間の標準報酬月額が36万か30万円だと仮定しましょう。すると、標準報酬月額が36万円の人は「36万円×5.769÷1000×480ヶ月」で年間99万6883円が受給額となります。月額で8万3073円です。標準報酬月額が30万円の人の場合、「30万円×5.769÷1000×480ヶ月」で年間83万736円が受給額です。月額だと6万9228円になります。
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老後は年金だけで暮らしていける?
それでは、平均年収が433万円の場合、老後は年金だけで暮らしていけるでしょうか。厚生労働省の金融審議会である市場ワーキング・グループによる令和元年の発表によると、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯における毎月の平均支出額は約26万円です。先ほど計算したように年収が平均433万円であれば月あたりの年金額は7~8万円程度なので、年金だけで暮らしていくのは厳しいといえるでしょう。
年金額を増やすにはどうしたらいい?
老後に受け取る年金額を少しでも増やしたいという場合、その方法は主に2つあります。まずは月収額か加入期間を増やすことです。先述したように、老齢厚生年金の受給額は全期間の標準報酬月額と加入期間によって決まります。先ほどは全期間の平均年収が433万円、加入期間を40年間として計算しました。
しかし、標準報酬月額の上限は60万円ですし、加入期間については70歳までですが、それ以降も会社に勤めていれば引き続き厚生年金に加入することができます。標準報酬月額か加入期間のどちらか、あるいは両方の値が増えれば、当然受給額も上がります。
もうひとつの方法は、繰下げ受給をすることです。繰下げ受給とは、年金の受給を本来の65歳よりも後にすることです。1年間受給を遅らせることで8.4%受給額が増え、その後1ヶ月おきに最長10年まで受給を遅らせることができます。
仮に75歳まで受給を遅らせると84%加算されるので、先ほどの例だと受給額が月額8万3073円の人は月額15万2854円に、月額6万9228円の人は月額12万7379円になります。
老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方だけを繰下げ受給することも可能です。年金を繰り下げると老後の生活が心配だという人は、どちらかだけを繰り下げするのがよいでしょう。
平均年収で老後にもらえる年金額は8万円程度
もしも全期間の平均年収が433万円だった場合、老後に受給できる年金額は7~8万円程度です。老後は年金だけで暮らしていきたいという場合、平均年収が433万円だとそれは難しいと言わざるを得ません。もちろん、年収が増えれば年金受給額も増えます。
しかし、この先給料が増えるかどうか分からないという人もいるかもしれません。そのような場合は、厚生年金の加入期間を延長するか、あるいは繰下げ受給によって受給額を増やすことを検討した方がよいでしょう。
出典
国税庁 令和2年分 民間給与実態調査
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
厚生労働省 金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部