月の生活費が「5万円」なら60歳から年金を受け取っても大丈夫?年金の平均受給額と比較

配信日: 2022.11.10

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月の生活費が「5万円」なら60歳から年金を受け取っても大丈夫?年金の平均受給額と比較
老後の生計を支えるために必要な金額は人によって異なります。中には、「独身だしぜいたくもしないから月の生活費は5万円あれば足りる」という人がいるかもしれません。そのような場合、早めに年金を受給してのんびり暮らすことはできるのでしょうか。
 
そこで、年金の繰上げ受給をする場合に、どのようなメリットとデメリットがあるのかについて説明していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

年金はいくらぐらいもらえるのか

年金には国民年金と厚生年金があります。国民年金は、20歳から60歳未満で日本に住んでいる全ての人が加入する年金です。一方、厚生年金は、企業などに勤めている人が加入する年金です。支給開始年齢は、国民年金も厚生年金も原則65歳です(厚生年金は平成12年の法律改正で段階的に引き上げられ、男性は令和7年度、女性は令和12年度に65歳となります)。
 
令和2年度末において、国民年金の平均受給額は月額5万6358円となっています。一方、厚生年金の平均受給額は14万6145円です。このように受給額に差が生じるのは、日本の年金制度が「2階建て」といわれる構造になっているからです。
 
全ての人が加入する国民年金を基礎年金として、会社などに勤務している人がそれに上乗せで厚生年金に加入しているため、厚生年金の方が受給額は多くなっています。
 
厚生年金であれば月5万円の生活費をまかなっても十分余裕がありますが、国民年金の場合はギリギリの金額となっています。そこで、ここからは国民年金を例に繰上げ受給について見ていきます。
 

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早くから年金を受け取れる繰上げ受給

年金は65歳から受給するのが基本ですが、既に退職してしまって収入がなくなってしまった場合、年金を早くもらえれば助かります。このような希望に応じるために、年金には繰上げ受給の制度があります。希望すれば60歳から65歳の間に受給を開始することができる制度です。
 
ただし、重要な注意点があります。繰上げ受給をすると、繰り上げした期間に応じて受け取れる年金の額は減らされてしまいます。その後ずっと減らされた年金額は変わらないため影響は大きく注意が必要です。
 
では、繰上げ受給によってどれくらい年金額は減らされてしまうのでしょうか。繰上げ受給で年金額が減らされる割合は、減額率と呼ばれています。減額率はこれまで1ヶ月につき0.5%でしたが、令和4年4月から0.4%に変更されました。
 
ただし、昭和37年4月1日以前生まれの人については、減額率0.5%から変更はありません。減額率0.4%で計算すると、60歳0ヶ月から受給を開始する場合のトータルの減額率は24.0%となります。たった5年の繰り上げですが、受け取れる金額は4分の3程度にまで減らされてしまうのです。
 

生活費5万円なら60歳から年金受給しても大丈夫か

繰上げ受給をすれば早めに老後資金を手に入れることができて楽だと考える人もいるでしょう。たしかに、他に収入がない場合に、年金が支給されることは大きなメリットです。しかし、本当に60歳にまで繰上げ受給をして大丈夫でしょうか。
 
先に見たように、国民年金の平均受給額は月額5万6358円です。年金額がこの平均だとすると、繰上げ受給して60歳から年金を受給すると、月額4万2832円となります。これでは生活費をまかなうことはできません。さらに、年金支給額は減少されることもあり、令和4年度は前の年よりも0.4%減額されました。
 
したがって、国民年金の場合、繰上げ受給をして60歳から年金受給をすると、減額率のデメリットによって生活することが難しくなります。年金額が年々減額される傾向にある一方、このまま物価が上昇していくとすれば、繰上げ受給をすることは大きなリスクを伴うということができます。
 

繰上げ受給は慎重に考えよう


繰上げ受給は年金以外に収入がない人にとっては助かる制度です。しかし、減額率の影響は大きく、長年にわたって少ない金額で暮らしていかなければならなくなるリスクもあります。したがって、日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」などで自分がもらえる年金額を確認し、繰上げ受給によってどれくらい減額されるのかを計算して、慎重に判断するようにしましょう。
 

出典

厚生労働省年金局 令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況

厚生労働省年金局 令和4年度の年金額改定について

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
 
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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