海外で働く場合、日本と海外での「年金加入手続き」などは変わるの?

配信日: 2022.11.15

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海外で働く場合、日本と海外での「年金加入手続き」などは変わるの?
海外赴任などで、日本を出て海外で働くことになった時に「日本と海外で年金制度が違うかも」と気になるかもしれません。
 
本記事では、日本の年金制度に加入している人が海外で働く場合の年金手続きなどについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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海外で働く前に、年金について手続きが必要なの?

日本にいる間に、国民年金・厚生年金に加入しているかで手続き方法が異なります。
 

・国民年金に加入している場合

日本国籍であれば、国民年金を継続する「任意加入」ができます。海外に居住する前に、現在住んでいる市町村の国民年金窓口で手続きが必要です。
 
海外居住中に国民年金保険料を納めるには、日本に住んでいる家族などが本人のかわりに納める方法と、本人が日本国内に開設している預貯金口座から年金保険料を引き落とす方法の2つがあります(任意加入をしている間は、年金免除・納付猶予・学生納付特例の申請はできません)。
 

・厚生年金に加入している場合

赴任期間が5年未満など短期間の場合は、厚生年金に加入していることを証明する「適用証明書」の交付申請が必要で、事業主が日本の年金事務所へ申請します。
 
赴任期間が5年以上と長期になる場合などでは、事業主が厚生年金の「資格喪失届」を日本の年金事務所へ届け出る必要があります。
 

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海外へ、家族も同行する場合は?

海外へ家族も同行して生活する場合は、家族の年金手続きが必要となることもあります。
 
例えば、会社員が配偶者を扶養していて、海外赴任期間中も継続して日本の厚生年金に加入するなら、配偶者は扶養のままで年金保険料を負担する必要はありません。
 
長期赴任などで日本の厚生年金加入資格を喪失する場合は、配偶者は扶養から外れて国民年金保険料を納める必要があります。
 

働く期間などによって、加入する制度は違うの?

海外赴任などで働く予定の国が、日本と「社会保障協定」を結んでいる場合は、相手国の社会保障制度のみに加入することができるようになりました。ただし、働く期間によって加入する社会保障制度が違います(図表1)。
 
自営業者の場合も以下の図表例に当てはまりますが、一定の条件のもとで、相手国の制度と国民年金(日本)のいずれか一方の制度への加入が免除される場合もあります。
 
【図表1】


 
出典 国民年金機構 加入する社会保障制度
 

「社会保障協定」を結んでいる国はどこ?

「社会保障協定」を結んでいる国は23ヶ国あり、そのうち22ヶ国と発効しています。
 
例として、外務省「令和4年版 海外在留邦人数調査統計」にて発表された、在留邦人が多い上位5ヶ国のうち4ヶ国と社会保障協定を結んでいます。表内の「期間通算」は年金加入期間の通算が可能です(図表2)。
 
【図表2】

相手国 協定発効年 期間
通算
二重加入防止の対象な社会保障制度
日本 相手国
アメリカ 2005年10月 公的年金制度
公的医療保険制度
公的年金制度(社会保障制度)
公的医療保険制度(メディケア)
中国 2019年9月 公的年金制度 公的年金制度(被用者基本老齢保険)
オーストラリア 2009年1月 公的年金制度 退職年金保障制度
タイ 協定無し
カナダ 2008年3月 公的年金制度 公的年金制度
※ケベック州年金制度を除く

日本年金機構 「協定を結んでいる国との協定発効時期および対象となる社会保障制度」 をもとに、筆者作成
 
社会保障協定を結んでいない国で働く場合には、海外の社会保障制度に加えて日本の年金制度に二重に加入しなければならないこともあります。
 

まとめ

海外で働く場合、自分が加入している年金制度を継続しておくことで、帰国した後・または海外居住を続けた場合に、将来受け取る老齢年金の受給に必要な通算納付期間を保持できます。
 
世界各国で年金などの社会保障制度が違うため、出国前に日本の年金事務所や、働く予定国の大使館などに社会保障制度の内容や手続き方法を確認しておくのも良いでしょう。
 

出典

日本年金機構 海外への転出 海外からの転入
日本年金機構 社会保障協定
外務省 海外在留邦人数調査統計
日本年金機構 国民年金保険の任意加入の手続き
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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