更新日: 2022.11.16 その他年金

老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げられる! メリットと注意点は何?

老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げられる! メリットと注意点は何?
年金の支給開始は原則65歳ですが、少しでも受給額を増やしたいと支給開始時期を遅らせる「繰下げ受給」を検討する人は多くいるでしょう。そこで、年金の繰下げ受給は、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)が別々に行えるのをご存じでしょうか。
 
繰下げ受給の仕組みや特徴、別々に繰下げるメリットや注意点などをしっかり把握すれば、計画的に繰下げ受給して老後資金をつくることができます。
 
そこで本記事では、繰下げ受給の仕組みや特徴、別々に繰下げるメリットや注意点などについて解説します。

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・売却金のお使いみちに制限がないので自由に使えます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・ご年齢や収入に制限がないので、どなたでもお申し込みいただけます

FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

繰下げ受給とは

年金の「繰下げ受給」とは、年金の受給開始時期を65歳から繰下げる制度です。最大75歳まで繰下げることができ、繰下げた期間に応じて年金額が増額されます。増額率が受給期間途中で変わることはありません。
 
老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)は、別々に繰下げ受給することが可能です。繰下げ受給をすると、年金を受け取る時期は遅くなりますが、年金額を増やせます。
 

繰下げ受給の増額率

年金の繰下げ受給の増額率は、繰下げ1ヶ月あたり0.7%です。最大の75歳0ヶ月まで繰下げ受給をした場合は、84.0%の増額となります。繰下げ受給請求時の年齢ごとの増額率は、図表1のとおりです。
 
図表1

請求時の年齢 年金増額率
66歳 8.4%(0ヶ月)~16.1%(11ヶ月)
67歳 16.8%(0ヶ月)~24.5%(11ヶ月)
68歳 25.2%(0ヶ月)~32.9%(11ヶ月)
69歳 33.6%(0ヶ月)~41.3%(11ヶ月)
70歳 42.0%(0ヶ月)~49.7%(11ヶ月)
71歳 50.4%(0ヶ月)~58.1%(11ヶ月)
72歳 58.8%(0ヶ月)~66.5%(11ヶ月)
73歳 67.2%(0ヶ月)~74.9%(11ヶ月)
74歳 75.6%(0ヶ月)~83.3%(11ヶ月)
75歳 84.0%(0ヶ月)

日本年金機構「年金の繰下げ受給」より筆者作成
 
図表1のとおり、70歳まで繰下げると42%以上、73歳で67.2%以上、75歳で84%と、繰下げ受給により年金額を大幅に増額できます。
 
なお、昭和27年4月1日以前生まれの方、または平成29年3月31日以前に老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権利がある方については、繰下げの上限年齢が70歳(権利発生から5年後)まで、増額率は最大42%となります。
 

繰下げ受給の手続き方法

年金を繰下げ受給する場合は、繰下げ受給を希望する時期に、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに繰下げ請求書を提出します。繰下げ請求書は、日本年金機構のWebサイトからダウンロードできます。
 

【PR】SBIスマイルのリースバック

おすすめポイント

・自宅の売却後もそのまま住み続けられます
・まとまった資金を短期間で手に入れられます
・家の維持にかかるコスト・リスクが無くなります
・借り入れせずに資金を調達できます

別々に繰下げ受給をするメリット

上述のとおり、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げ受給できます。それにより、「老齢厚生年金は65歳から受け取って老後の生活に使い、老後基礎年金は繰下げ受給で増額をする」「十分な蓄えがあるので、老齢基礎年金は70歳まで、老齢厚生年金は73歳まで繰下げをして、それぞれ年金額を増やす」などの使い分けすることができます。
 
ご自身の老後の生活費や資金計画に合わせて、それぞれの繰下げのタイミングを決めるとよいでしょう。
 

繰下げ受給をする際の注意点

ここで、繰下げ受給する際の注意点を押さえておきましょう。注意点を把握することで、リスク対策を講じやすくなり、計画的な繰下げ受給をすることが可能です。年金受給額にも影響が出るため、必ず注意点を押さえたうえで繰下げ受給するかを検討し、期間を決めるようにしてください。
 

繰下げできるのは75歳まで

老齢基礎年金や老齢厚生年金を繰下げできるのは、最大で75歳0ヶ月までとなります。75歳0ヶ月を超えての繰下げはできません。75歳に達した月を過ぎて請求をしても増額率は増えず、年金は75歳までさかのぼって支払われます。
 

繰下げ待機期間は加給年金額や振替加算額は受け取れない

「加給年金」は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある方が65歳になったときに、扶養する配偶者もしくは子がいる場合に一定額が加算される制度です。
 
ただし、加給年金の対象者である配偶者もしくは子が65歳になると、それまで支給されていた加給年金は打ち切られます。加給年金を打ち切られた配偶者が老齢基礎年金の受給ができる場合に、一定の基準を満たすと今度は自身の老齢基礎年金額に加算されるようになります。これを「振替加算」といいます。
 
繰下げ受給をすると、加給年金と振替加算は増額されないうえに、繰下げ待機期間中は受け取れないので注意してください。
 

別々に繰下げ受給をすると老後資金の計画を立てやすい

老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰下げ受給ができるため、老後の生活費や資金計画に合わせて使い分けができます。繰下げ受給を活用することで、年金額を最大84%も増額可能です。
 
老齢基礎年金と老齢厚生年金、それぞれの年金額を確認して、老後の生活費などを考慮したうえで繰下げ受給の計画を立てるとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき
日本年金機構 加給年金額と振替加算
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部