更新日: 2022.11.24 国民年金
個人事業主やフリーランスが知っておくべき「障害年金」とは? 受給条件や給付額などを紹介
もらえる年金と聞くと、老後資金に充当する目的の年金をイメージする人が多いのではないでしょうか? なお、老後にもらえる年金は「老齢年金」といいます。
実は、このほかにも「遺族年金」「障害年金」という制度があります。それぞれ該当する状態になった場合、申請することで受け取れます。
今回は、このうち障害年金について解説します。特に個人事業主やフリーランスなどの人は、障害年金について知っておくと安心です。ぜひ参考になさってください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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個人事業主では障害基礎年金のみ対象となる
個人事業主の場合、加入している年金制度は国民年金のみです。したがって、将来もらえる老齢年金や、遺族年金、障害年金いずれも対象となるのは「基礎年金」です。
所定の障害等級に該当する場合、障害基礎年金の給付対象となります。
障害基礎年金の給付要件と年金額
日本年金機構ホームページ「障害基礎年金」によると、障害基礎年金の受給要件は、次の1から3のすべてを満たす場合に対象になります。
1.障害の原因となった病気やけがの初診日が次のいずれかの間にあること。
・国民年金加入期間
・20歳前または日本国内に住んでいる60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない期間
2.障害の状態が障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)に障害等級表に定める1級または2級に該当していること。
3.初診日の前日に初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間・共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
ただし初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
また、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要です。
障害基礎年金の年金額は次のとおりです。
・1級 97万2250円+子の加算額
・2級 77万7800円+子の加算額
※子の加算額 2人目まで、1人あたり22万3800円。3人目以降、1人あたり7万4600円
この場合の「子」とは、障害基礎年金を受ける人と生計維持関係にある場合に該当します。あわせて、18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級である子が該当します。
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障害年金は個人事業主にとって心強い社会保障
会社員など給与所得者が加入している年金制度は厚生年金です。そのため、障害年金も含めた年金は、基礎年金とあわせて厚生年金も対象になります。つまり同じ状況になっても、会社員では基礎年金と厚生年金のいずれももらえるため、かなり手厚い保障になります。
また、加入している健康保険は協会けんぽなどの社会保険であるため、万が一のときには傷病手当金なども受け取れます。さらに、勤務先で付与されている有給休暇も使えることから、万が一の状態になっても最低限の給与は確保されています。
一方、国民年金のみ加入している個人事業主等は、もらえる年金は基礎年金部分のみです。また、加入している健康保険は国民健康保険ですので、傷病手当金などはありません。さらに有給休暇もないため、療養期間中の給与保障はありません。
これらのことから障害基礎年金は、会社員よりも社会保障が手薄な個人事業主等にとって、心強く貴重な制度であるといえます。
障害基礎年金の対象となる障害等級とは
障害基礎年金では、障害の程度1級と2級が対象となります。
障害の程度1級とは、日常生活のことが自分ではほとんどできず、他人の介助を必要とする状態のことです。身の回りのことはかろうじてできるものの、入院や在宅介護が必要で、活動範囲はベッド周辺のみである状態が目安です。
2級は、1級よりは少し動ける範囲が広いものの、日常生活は極めて困難であり、労働による収入が難しい状態です。
いずれの状態も、回復には長期間を要する状態であると推測されます。個人事業主などは休業補償や有給休暇がなく、働けなければ収入の途絶が懸念される状態ですので、障害基礎年金は心強い存在です。
まとめ
障害年金は、必ずしも高齢になってからもらう年金ではありません。病気やけがが原因で、年齢問わず誰もが対象となりうる年金制度です。
特に、受けられる社会保障が会社員よりも少ない個人事業主にとっては、障害基礎年金制度は安心できる制度の1つです。不明な点や相談したい内容は、最寄りの年金事務所へ尋ねましょう。
出典
日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部