更新日: 2022.12.08 厚生年金

年金保険料を40年間支払ったが、60歳以降も働いている場合は厚生年金への加入は必須? 受給額は増えるの?

年金保険料を40年間支払ったが、60歳以降も働いている場合は厚生年金への加入は必須? 受給額は増えるの?
年金保険料をコツコツ40年間支払い続け、無事に定年を迎えたという方でも、最近では社会構造や制度の変化等から、60歳以降も働き続ける人も多いのが現状です。
 
では、すでに年金の満額受給要件が満たされている40年納付後の60歳以降も、厚生年金に加入しなければならないのでしょうか?
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

https://paradisewave.jimdo.com/

60歳以降も働いている場合、厚生年金の加入は必須となる

年金に関するいろいろな情報を集めている人の中には、「公的年金の加入は、60歳以降は任意加入じゃなかった?」と思う人もいるかもしれません。しかし、これは正しくもあり、間違ってもいます。
 
そもそも国民年金は、原則として日本に居住する20歳から60歳のすべての人が加入しなければならず、保険料を40年間納めれば、満額の年金保険料が支給される仕組みになっています。このようなルールになっているため、60歳を過ぎたら、保険料は納める必要がないように思うかもしれません。
 
このルールはあくまでも「国民年金」に適用されるルールなのです。60歳以降も会社員として働く場合、70歳未満の社員は厚生年金に加入する義務があるのです。これはあくまでも厚生年金に適用されるルールとなるため、国民年金保険料を40年間納めていても加入しなければならない義務があります。
 

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働き方によって、加入しなくても良いケースもある

先ほど、70歳未満の会社員は厚生年金に加入することになると説明しましたが、加入条件は以下のとおりです。
 

~被保険者となる場合~

臨時や季節的業務を行う人を除いて、就業規則や労働契約などに定められた一般社員の1週間の所定労働時間およびひと月の所定労働日数の4分の3以上ある従業員は、被保険者となります。
 
その他にも、一般社員の1週間の所定労働時間およびひと月の所定労働日数が4分の3未満であっても、短時間労働者の資格取得要件のすべて満たす場合は、短時間労働者として被保険者になります。
 
対象となる従業員は、正社員に限らず、契約社員、パートタイマー、アルバイトなど、名称に関わりなく、事業所に雇用されるすべての人が対象です。
 

~短時間労働者の資格取得要件~

では、短時間労働者の要件をみてみましょう。
 
厚生年金に加入する短時間労働者となるのは、「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」または「国・地方公共団体に属する事業所」に勤務している人であり、通常の労働者の1週間の所定労働時間、またはひと月の所定労働日数が4分の3未満である人です。
 
そして、下記の(1)~(3)のすべてに該当する時短労働者が厚生年金に加入できます。

(1) 週の所定労働時間が20時間以上あること
(2) 賃金の月額が8.8万円以上であること
(3) 学生でないこと

つまり、短時間労働をしていても、(1)~(3)を満たしていなければ、厚生年金に加入できません。
 

60歳以降に厚生年金に加入するのは損なのか? 得なのか?

60歳以降も厚生年金に加入しなければならないというと、何だか損をする気分になる人もいるかもしれません。もちろん、厚生年金に加入すれば、その分の保険料が差し引かれてしまうため、手取りは減ります。とはいえ、デメリットだけではありません。
 
まず、60歳以降も厚生年金に加入するメリットとしてあげられるのが、将来、受け取る厚生年金の受給額が増えることになります。
 
その他にも、扶養している配偶者がいる場合には、配偶者の老齢基礎年金の受給額も増えます。健康保険にも加入することになるため、国民健康保険に加入する必要はないため、国民健康保険料の支払いは発生しません。
 
60歳以降も一定の基準を満たして働いていると、保険料負担はあるものの、メリットも享受できます。働き方は自分で選ぶことができます。何を選ぶことが自分にとって得策か、じっくりと考えてみてください。
 

出典

日本年金機構 Q会社に勤めたときは、必ず厚生年金保険に加入するのですか。
 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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