更新日: 2022.12.18 国民年金

国民年金保険料の未納は、将来の年金額にどう影響を与える?

国民年金保険料の未納は、将来の年金額にどう影響を与える?
日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人は、「国民年金」に加入する義務があります。しかし中には、何らかの事情で保険料を払えない人や、払うのを忘れた人などが出てきます。
 
その場合はどうなるのか、将来もらえる年金にどう影響するのかを具体的に説明します。
小久保輝司

執筆者:小久保輝司(こくぼ てるし)

幸プランナー 代表

30数年の営業経験と金融・経済の知識をマッチング納得いくまでお話しさせていただきます。

国民年金とは

「国民年金」は、国民皆年金制度により20歳から60歳未満の人はすべて加入しなければいけない公的年金で、保険料を納めることにより、老齢になったり・障害が起きたり・死亡した場合に、本人や家族を保障するものです。
 
国民年金は、現役世代が払う保険料を基に年金を払う「賦課方式」で、保険料は定額になっています。また「老齢基礎年金」の受給権を得るには、受給資格期間が10年以上必要です。
 
なお、国民年金の財源は、被保険者の支払う保険料・国庫負担・積立金でまかなわれ、「老齢基礎年金」として受給者に支払われます。
 

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国民年金の保険金納付状況は

令和3年度の国民年金の加入者数は約1431万人です(※1)。そのうち、国民年金の納付者等は713万人、全額免除・猶予者は612万人、未納者は106万人となっています。
 
※「国民年金の加入者」とは「国民年金の第1号被保険者」であり、未納者とは国民年金が24ヶ月未納となっている人を指します。
 
令和2年度の国民年金保険料の最終納付率(令和元年度分保険料)は約78%、そして加入者数に対する未納者数の割合は約7%となっています。
 

国民年金の保険金納付に対する救済策は

国民年金は、保険料を払うことが義務になっていますが、保険料を支払うことが経済的に困難な人のために、保険料を免除・猶予する制度があります。
 
「保険料免除制度」とは、
本人・世帯主・配偶者の前年の所得が一定額以下の場合、「保険料の全額、四分の三、半額、四分の一」のいずれかが免除される制度です。また免除額は前年の所得により決まります。
 
また「保険料納付猶予制度」は、
50歳未満の加入者が対象で、本人と配偶者の前年の所得が一定額以下の場合に保険料の納付が猶予されます。
 
保険料を免除・猶予された期間は、年金額には反映されませんが、受給資格期間には反映されます。また10年以内であれば、保険料をさかのぼって支払うこと(追納)ができます。
 

国民年金を未納にすると


 
本来納付すべき国民年金の保険料を、自己の都合で納付しない場合を「未納」と言います。未納の期間は年金受給資格期間には反映されず、年金額にも反映されないため、未納分は将来年金がもらえません。
 
具体的に見てみると、自営業の男性が40年の加入期間の内、10年間保険料を未納し、30年間保険料を納付した場合、65歳から支給される老齢基礎年金の額は、10年の受給資格期間は満たしているので30年×1.95万円(約78万円÷40年)で年間約58.5万円となります。満額の場合は約78万円なので、20万円近く減額される計算になります。
 
また国民年金の保険料は支払うことが義務となっていますので、未納のまま放置すると

(1)電話納付督励
(2)文書(催告状)による督励
(3)面談(戸別訪問)
(4)呼出し(集合徴収)案内

などの 「納付督励」が実施されます(※2)。
 
そして十分な所得がありながら、納付督励に応じない者には、「強制徴収」として、

(1)最終催告状(自主納付を促す最後の通知)
(2)督促状(督促する法定の通知)
(3)差押予告(差し押えをすることを予告する通知)
(4)財産差押(財産の差し押え)

などが実施されます。
 
※督促状の指定期限より後に納付した場合は延滞金が発生します。
 
「未納」をしてしまった場合の対処方法としては、

(1)まず年金事務所の相談窓口に相談する。
(2)そして追納できる場合は追納する。
(3)経済的に納付が難しい場合は、免除・猶予の申請をする。

などの対応策があります。
 

まとめ

人生100年時代と言われる長寿社会を迎え、終身でもらえる国民年金は大切な老後生活の資金となります。
 
「未納」する人には、それぞれの事情があると思いますが、上記の対処方法を考え、納付督励が出される前に国民年金を継続できる方法を考えましょう。
 

出典

(※1)厚生労働省 令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況
(※2)厚生労働所 強制徴収の充実・強化
 
執筆者:小久保輝司
幸プランナー 代表

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