年金をもらいながら働く場合、年金が減額されない条件は?

配信日: 2022.12.18

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年金をもらいながら働く場合、年金が減額されない条件は?
老後の生活を考えて、もしくは働くのが好きなため、年金をもらいながら働く方もいるのではないでしょうか? しかし、年金をもらいながら働く場合は、収入によっては年金額が一部、または全額支給停止となるため注意が必要です。
 
一部または全額支給停止の条件を把握していないと、老後の資金計画が狂い、後悔することになるかもしれません。どれくらいの年金額になるのか、働く前にシミュレーションを行うことが大切です。
 
本記事では、年金が一部または全額支給停止となる在職老齢年金の制度について、詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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高橋庸夫

監修:高橋庸夫(たかはし つねお)

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年金が一部または全額支給停止となる在職老齢年金

在職老齢年金とは、60歳を超えて老齢厚生年金をもらっている方が厚生年金保険の被保険者として働いている場合に、年金額が調整される制度です。
 
基本月額(加給年金額を除いた老齢厚生年金の月額)と、総報酬月額相当額(※)の合計額が基準を超えると、年金額の一部もしくは全額が支給停止となる可能性があります。
 
※その月の標準報酬月額とその月以前1年間の標準賞与額〔賞与額から1000円未満を切り捨てた金額(上限150万円)〕の合計を、12ヶ月で割った金額
 

2020年4月より法改正で支給停止基準が緩和された

2020年5月成立の年金制度改正法によって、2022年4月から在職老齢年金の基準が緩和されました。「60~65歳未満」と「65歳以上」の改正前・改正後の在職老齢年金の基準は、図表1のとおりです。
 
【図表1】
 

一部または全額支給停止基準 改正前 改正後
60~65歳未満 28万円 47万円
65歳以上 47万円 47万円

 
図表1のとおり「60~65歳未満」の在職老齢年金の基準が、28万円から47万円に緩和されました。基準が緩和されたことで、年金額が減額や支給停止となる可能性は、改正前より低くなっています。
 

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在職老齢年金の一部または全額支給停止条件

在職老齢年金の一部または全額支給停止条件は、図表2のとおりです。
 
【図表2】
 

基本月額と総報酬月額相当額 年金の一部または全額支給停止額の
計算方法
基本月額と総報酬月額相当額の
合計額が47万円以下の場合
全額支給
基本月額と総報酬月額相当額の
合計額が47万円を超える場合
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

 
図表2のとおり、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下の場合は全額支給となり、年金額の減額を心配する必要がありません。47万円を超える場合は一部または全額支給停止されます。
 
また、支給停止期間と支給停止額の変更時期は、図表3のとおりです。
 
【図表3】
 

支給停止期間 基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超えている期間
支給停止額の変更時期 総報酬月額相当額の変更月もしくは退職日の翌月
※退職後1ヶ月以内に再就職して厚生年金保険に加入した場合は除く

 
※退職後1ヶ月以内に再就職して厚生年金保険に加入した場合は除く
 
例えば、年金受給額が年間180万円(基本月額15万円)で、給与が月26万円(標準報酬月額26万円)で賞与額が年間80万円(標準賞与額80万円)の場合、
 
基本月額15万円+総報酬月額相当額32.6万円=47.6万円
 
となり、47万円を超えるため年金の一部停止があります。
 
在職老齢年金による調整後の年金支給月額は、次のとおりです。
 
基本月額15万円-(基本月額15万円+総報酬月額相当額32.6万円-47万円)÷2=14万7000円
 
上記のとおり、在職老齢年金調整後の年金額は月額14万7000円となり、調整前と比べて3000円少なくなりました。年間で3万6000円年金額が減ることになります。
 

基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円以下であれば年金は減額されない

老齢厚生年金をもらいながら働く場合は、在職老齢年金制度により、年金基本月額と総報酬月額相当額の合計額が47万円を超える場合は、年金額が一部または全額支給停止となります。47万円以下の場合は、年金は減額されません。
 
あらかじめ、仕事の給与や賞与、年金額が分かっている場合は、在職老齢年金の一部または全額支給停止の対象となるのか、シミュレーションをしておきましょう。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法

日本年金機構 令和4年4月から年金制度が改正されました

日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和4年度版)

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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