更新日: 2022.12.21 厚生年金
60歳以上で働きながら受け取れる在職老齢年金! 減額の上限額が緩和ってどういうこと?
実は年金は、働いて給与をもらいながらでも受け取れます。とはいえ、この場合、条件次第で受給額が減額となるのですが、この制度を「在職老齢年金制度」といいます。
本記事では、働きながら受け取れる在職老齢年金の概要と、2022年度の改正の変更ポイントなどについて解説しています。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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在職老齢年金とは
在職老齢年金制度とは、60歳以上で、会社員として厚生年金に加入しながら働いている人が年金を受け取る際に、給与額によって年金額が減額、または支給停止となる制度です。
在職老齢年金の減額や支給停止については、基本月額と総報酬月額に左右されます。それぞれ何を意味するのかみていきましょう。
基本月額とは
基本月額とは、年間でもらう年金額を12で割った額です。共済組合などからの老齢厚生年金も受け取っている場合は、日本年金機構と共済組合などからのすべての老齢厚生年金を合わせた年金額を、12で割った額で算出されます。要するに、毎月もらっている年金額と考えてよいでしょう。
総報酬月額とは
総報酬月額とは、毎月の賃金(標準報酬月額)+1年間の賞与(標準賞与額)を12で割った額です。つまり、毎月稼いでいる賃金のことを指します。
在職老齢年金が減額される上限とは
在職老齢年金は、受け取る老齢厚生年金の基本月額と総報酬月額の合計額が一定のライン(=上限)を超えると年金が減額されます。
具体的には、2022年の制度改正前は、65歳未満が月28万円、65歳以上は月47万円が上限であり、この基準を超えると、超過額の半分の金額の老齢厚生年金が支給停止されていました。
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2022年4月からの改正のポイント
2022年4月からは、65歳未満の人の減額基準額も47万円に大幅に緩和されました。つまり、基本月額と総報酬月額の合計額が47万円以下であれば、どの世代でも減額されることなく、年金が全額受給されるということです。
例えば、改正前に64歳の人が年金を月12万円、給与を月21万円受け取っていたとします。その場合、合計で33万円となり、33万円-28万円=5万円が上限を超えた金額です。そして、この5万円の半分の2万5000円が年金から減額されていました。
改正後は毎月2万5000円、年間では30万円も年金が増える計算となります。
60歳以降もより意欲をもって働ける環境になった
今までの制度では、高齢になって働く能力も気力もあるのに、働いて稼いだら年金が減ってしまうので、無理して働かないという気持ちになっていたかもしれません。
今回の改正で、65歳未満の人の減額基準額も47万円に緩和されました。毎月47万円というと、年間では約600万円です。
国税庁が公表している令和3年分の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は443万円です。それと比較しても、今回の基準である47万円は、かなり余裕がある設定といえます。
多くの意欲を持つ高齢者にとって、より意欲をもって働ける環境になったのではないでしょうか。
出典
日本年金機構 在職老齢年金の支給停止の仕組み
国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部