更新日: 2022.12.21 厚生年金

派遣で複数の仕事をしている場合、社会保険はどうなる?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

派遣で複数の仕事をしている場合、社会保険はどうなる?
「派遣社員として複数の仕事を掛け持ちしたいけれど、社会保険はどのような扱いになるのだろう」という疑問を抱いている人もいるかもしれません。派遣で複数の仕事をしている場合の社会保険は、働き方のパターンによって扱いが異なります。
 
本記事では、派遣社員が社会保険に加入する条件と、働き方のパターン別に社会保険の取り扱いや手続きをまとめました。自分がどのパターンに当てはまる可能性があるか、チェックしてみてください。
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派遣社員に社会保険の加入義務が発生する条件

派遣社員の社会保険に加入義務が生じる条件は、社会保険の種類によって異なります。保険の種類別の主な条件は、図表1のとおりです。
 
【図表1】
 

常用雇用者 短期雇用者
健康保険・介護保険
厚生年金保険
・週の所定労働時間:30時間以上
・契約期間:2ヶ月以上
・週の所定労働時間20時間以上
・契約期間の見込み2ヶ月以上
・月額賃金8万8000円以上
・事業所の従業員数101人以上
労災保険 無条件で加入
雇用保険 ・31日以上の継続雇用
・週の所定労働時間20時間以上

 

派遣で複数の仕事をしている場合の社会保険の手続き

派遣社員は、派遣先の会社ではなく派遣元(派遣会社)で社会保険に加入します。派遣で複数の仕事をしている場合、以下の3つのパターンごとに、必要な手続きが異なるため注意しましょう。
 

●1つの派遣会社から複数の勤務先に派遣されている場合
●複数の派遣会社を掛け持ちしていて、1社のみ社会保険の加入条件を満たす場合
●社会保険の加入条件を満たす派遣会社が複数ある場合

 
それぞれ詳しく解説します。
 

1つの派遣会社から複数の勤務先に派遣されている場合

1つの派遣会社に登録してそこから複数の会社に派遣されている場合、加入するのは登録している派遣会社の社会保険です。社会保険の加入義務があるかどうかは、すべての勤務先での労働時間や賃金、契約期間などの内容を合算判断します。
 
例えば、A社とB社に派遣されていて、A社で週8時間、B社で週10時間働いている場合、週の所定労働時間が合計20時間に満たないため、社会保険の加入対象とはなりません。
 
しかし、A社で8時間、B社で15時間働いているようなケースでは、週の所定労働時間が20時間を超えるため、どちらかの派遣期間が2ヶ月以上見込まれる場合は、社会保険の加入対象となる可能性があります。
 

複数の派遣会社を掛け持ちしていて、1社のみ社会保険の加入条件を満たす場合

複数の派遣会社に登録していて、そのうちの1社のみが社会保険の加入条件を満たす場合は、加入条件を満たす派遣会社のみで社会保険に加入します。加入条件を満たさない派遣会社では、社会保険の加入手続きをする必要はありません。
 

社会保険の加入条件を満たす派遣会社が複数ある場合

複数の派遣会社に登録していて、社会保険の加入条件を満たす派遣会社が複数あるときは、健康保険・介護保険、厚生年金保険は加入条件を満たすすべての派遣会社で加入する必要があります。
 
複数の派遣会社で健康保険・介護保険、厚生年金保険に加入する際にやることは、主に次の2つです。
 

●両方の派遣会社で社会保険被保険者資格取得手続きをする
●「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を日本年金機構の事務センターに提出する

 
「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」とは、「主たる事業所」を選択して管轄する年金事務所や保険組合を決め、健康保険証の発行や社会保険料の算定を正しく受けるための書類です。
 
複数の事業所で社会保険に加入してから10日以内に、主たる事業所として被保険者が選択した事業所を管轄する事務センターに郵送する必要があります。
 
「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を提出すると、主たる事業所が加入する保険組合から健康保険証が発行されます。
 
社会保険料は複数社の賃金を合算した金額を報酬月額として算定し、賃金の割合に応じて案分した金額が、各派遣会社の報酬から天引きされる仕組みです。
 
例:A社:10万円、B社:15万円の報酬を得ている場合、25万円を報酬月額として算出した保険料を、A社25分の10、B社25分の15の割合で案分する。
 
なお、雇用保険は複数の会社で加入できないため、主に報酬をもらっている1社のみで加入することになります。
 

自分がどのパターンに当てはまるかチェックしよう

派遣社員であっても、加入の条件を満たす働き方をする限りは、社会保険に加入することになります。
 
派遣で複数の仕事をしている場合の社会保険の取り扱いは、派遣元が何社か、社会保険の加入条件を満たす派遣元がいくつあるかによって異なります。自分がどのパターンに当てはまるのかを確認し、正しく手続きすることが大切です。
 

出典

日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

日本年金機構 複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き

日本年金機構 令和2年2月から二以上事業所勤務被保険者にかかる届出書類の送付先が変更になります

厚生労働省 事業主の皆さまへ 労働保険への加入について

 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

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