更新日: 2023.01.10 その他年金
年金の運用は「1兆7220億円の赤字」でも大丈夫?GPIFのこれまでの運用成績を確認してみよう!
GPIFによる運用成績は4月~12月の四半期ごとに公表されています。直近の2022年度第2四半期の運用成績は1兆7220億円の赤字でしたが、これほどの損失を出して年金制度は大丈夫でしょうか。
GPIFのこれまでの運用成績を確認してみました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
GPIFが必要な理由とその役割とは?
GPIFは、Government(政府)、Investment(投資)、Pension(年金)、Fund(基金)の略称で、主管省庁は厚生労働省です。GPIFは、「厚生労働大臣から委託された年金積立金の管理・運用」を主な業務としています。
・GPIF設立までの変遷
年金の支給などに充てられなかった年金積立金は、2000年まで旧厚労省が旧大蔵省に預けて金利を得ることで運用していました。2001年になると年金資金運用基金が設立されて厚生労働大臣から寄託された年金資金の運用を開始し、2006年からはGPIFが年金積立金の管理・運用を担っています。
・GPIFが必要な理由
国が直接、年金積立金の管理・運用を行うことは可能です。ただし、その場合には行政の肥大化や国による民間企業の支配につながる可能性があることから、あえて外部組織に委託して運用しています。
・GPIFの役割
年金積立金の運用によって得た収益を国庫に返納し、将来世代のために年金財政の安定化に貢献することがGPIFの主な役割です。
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なぜ年金積立金の運用は必要か? GPIFによる運用方法も解説
公的年金制度を持続可能な制度にするために、国は100年後を見据えて年金積立金を活用しています。その中の一つがGPIFによる運用です。
・年金積立金の運用が必要な理由
少子高齢化によって、将来的な現役世代(15~64歳)の減少が予測されています。1950年には65歳以上1人に対して12.1人いた現役世代が、2065年には1.3人にまで減少すると予測されています(内閣府「令和2年版高齢社会白書」)。そのため、将来的な現役世代の減少による積立金の不足分を、GPIFによる運用によって得た収益で補おうというのが国の計画です。
・GPIFの運用方法
GPIFによる年金積立金の運用は、主に「長期分散投資」を心がけて行われています。長期分散投資とは、長期的観点から多種類の資産に投資して、リスクを低くしながら安定的に収益を得ようとする方法です。そのためにGPIFでは、基本ポートフォリオ(資産構成割合)を作成しています。
2020年4月から5年間(第4期中期目標期間)の基本ポートフォリオは、国内債券25%、外国債券25%、国内株式25%、外国株式25%です。GPIFでは、これら資産を市場の動き通りに運用して市場平均並みの収益率を目指す「パッシブ運用」と、市場平均を上回る収益率を目指す「アクティブ運用」の2つの方法によって運用しています。
トータルでは黒字? GPIFの運用成績を確認
GPIFによると、2022年度第2四半期の年金積立金の運用成績は1兆7220億円の赤字(3期連続)で、収益率は0.88%のマイナスでした。ただし、この成績はあくまで1四半期の結果です。全体の成績を把握するためには、2001年度~2022年度第2四半期の成績をトータルで確認する必要があります。
・赤字額の内訳
赤字額の内訳は、国内債券が3982億円、外国債券が7644億円、国内株式が3679億円、外国株式が1916億円です。
・赤字の原因
赤字の原因としては、欧米などによる金融引き締めによって金利が上昇したことによる、債券価格や株価の下落が挙げられます。
・トータルの運用成績は黒字
2001年度~2022年度第2四半期の運用成績は99兆9567億円の黒字で、収益率は年率3.47%のプラスでした。その結果、運用資産の総額は192兆968億円となっています。
保険料納付者として無関心にならないことが大切
GPIFは、国から年金保険料の管理・運用を委託されている独立行政法人です。年金積立金を長期分散投資で運用して得た収益を国庫に返納し、将来世代のために年金制度を安定化させる役割を担っています。
2022年度第2四半期の運用成績は1兆7220億円でしたが、2001年度からのトータルでは99兆9567億円の黒字です。GPIFは将来を見据えて長期的な投資を行っています。そのため、短期的な成績に一喜一憂する必要はありませんが、保険料を納付している者の1人として無関心にならないことが大切です。
出典
GPIF 2022年度第2四半期運用状況(速報)
内閣府 高齢化の現状と将来像
GPIF よくあるご質問
厚生労働省 教えて!年金積立金運用 誰が運用しているの?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部