更新日: 2023.01.14 その他年金

特別支給の老齢厚生年金と失業保険は同時にもらうことはできる?

特別支給の老齢厚生年金と失業保険は同時にもらうことはできる?
老齢年金の支給開始は65歳ですが、一定の要件を満たす場合「特別支給の老齢厚生年金」を60歳代前半に受け取ることができます。今は、継続雇用制度により、65歳までの雇用が確保されています。働きながら年金を受け取る場合、年金と報酬の合計が一定額を超えた場合には年金が減額されます(在職老齢年金)。
 
また、失業して失業保険を受け取るときには、特別支給の老齢厚生年金が支給停止となることがあります。
宿輪德幸

執筆者:宿輪德幸(しゅくわ のりゆき)

CFP(R)認定者、行政書士

宅地建物取引士試験合格者、損害保険代理店特級資格、自動車整備士3級
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特別支給の老齢厚生年金

老齢年金の受給開始年齢は原則65歳です。しかし、以下の要件を満たす人は、60歳台前半に「特別支給の老齢厚生年金」を受け取ることができます。
 

(1)男性は1961年4月1日以前、女性は1966年4月1日以前に生まれたこと
(2)老齢基礎年金の受給資格期間(原則10年以上)を満たしていること
(3)厚生年金保険の被保険者期間が1年以上であること
(4)生年月日に応じた受給開始年齢に達していること

 
年金制度の改正により、それまで60歳から支給されていた老齢厚生年金を65歳からの支給とするにあたり、制度の激変緩和措置として段階的に支給年齢を引き上げているのです。そのため、性別・生年月日により受給開始の年齢が違いますし、上記要件(1)の後に生まれた人には特別支給の老齢厚生年金はありません。
 

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働いて収入がある場合の特別支給の老齢厚生年金支給停止(在職老齢年金)

特別支給の老齢厚生年金は60歳前半でも受給できますが、厚生年金の適用事業所で働く場合には70歳まで保険料を払い続けます。60歳台は厚生年金保険の被保険者であり同時に受給権者という立場になり得るのです。
このような場合には、報酬月額と特別支給の老齢厚生年金基本月額の合計が47万円を超えると、金額に応じて特別支給の老齢厚生年金が減額されます。
 
支給停止額(月額)= (総報酬月額相当額+基本月額-47万円) ×1/2
 

失業したときの特別支給の老齢厚生年金支給停止

失業したとき、離職日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上ある人は、失業保険(失業給付)を受け取ることができます。
 
60歳~65歳未満の失業給付(基本手当)日額は、離職日前6ヶ月間に支払われた賃金総額を180で割った日額(賃金日額)の45%~80%です。
 
基本手当日額=賃金日額×賃金日額に応じた率(45~80%)
 
ただし、下限額及び離職日の年齢に応じた上限額があり、毎年8月1日に改訂されます。
(令和4年8月1日~ 下限額=2125円  60歳~65歳未満の上限額=7177円)
 
特別支給の老齢厚生年金と失業保険の受給要件を共に満たす場合、原則どちらか一方だけの受給となります。在職老齢年金のような減額ではなく、二者択一です。特別支給の老齢厚生年金の方が多い場合は、失業給付を受給しない方が良いということになります。
 

年金と失業給付の調整スケジュール


 
離職後、ハローワークで求職の申し込みをして失業給付を受けた場合の年金支払いは図表1のようになります。
 
【図表1】
 

 
出典:日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整
 
求職の申込み後、基本手当を受給していない月の年金は、3ヶ月程度後に支給されます。基本手当の受給終了後、年金が口座に振り込まれるまでは3ヶ月程間が空きますので、注意が必要です。
 
また、離職後の失業給付は、離職前6ヶ月の給料が多い方が有利です。特別支給の老齢厚生年金ではなく失業給付を受け取る場合、最後の6ヶ月間を残業などで給料を多くすると、受け取る金額を増やすことができます。
 

出典

日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整

 
執筆者:宿輪德幸
CFP(R)認定者、行政書士

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