更新日: 2023.01.16 厚生年金

定年後は「再雇用」を希望していますが、年金受給額は減ってしまいますか?

定年後は「再雇用」を希望していますが、年金受給額は減ってしまいますか?
定年後の再雇用によって年金の受給額が減ってしまう、そう聞いたことはありませんか。
 
そういったメディアの報道などから、自身の年金受給額が減ってしまうことを懸念されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
そこで今回は、定年後の再雇用によって本当に年金受給額が減ってしまうのか、解説していきます。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

在職老齢年金によって年金受給額が減ることもある


 
定年後、再雇用によって年金受給額が減ってしまう可能性のひとつとして、在職老齢年金があります。
 
在職老齢年金とは、老齢厚生年金を受け取りながら厚生年金に加入して働く方の年金と給与の合計額(厳密には老齢厚生年金の月額と総報酬月額相当額の合計)が47万円を超えたとき、受け取る年金額の一部が減少、もしくは支給が停止されるという制度です。
 
逆に年金と給与の合計が47万円を超えなければ、年金の受給額が減ることはありません。
 

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年金が減る可能性があるのは厚生年金に加入した場合

再雇用で働き続けたとしても、厚生年金に加入しなければ年金が減ることはありません。例えば、労働条件が週3日出社で1日あたり4時間の勤務など、厚生年金の加入要件を満たさない働き方で再雇用された場合は、年金と給与の合計が47万円を超えていても年金受給額が減ることはありません。
 
再雇用によって年金受給額を減らしたくない場合は、勤務時間や日数を調整して厚生年金に加入しない範囲で働くとよいでしょう。
 

繰下げ受給をする場合は要注意

年金受給額と給料の合計が47万円を超えなければよいのなら、年金の繰下げ受給をして、65歳以降も年金を受け取らないようにすればよいのでは? 1月繰り下げるごとに年金額も0.7%増えるし、いいことずくめのはず。少し年金に詳しい方なら、このように考えるかもしれません。
 
しかし、そううまくはいきません。繰下げ受給の場合でも、繰り下げ前の年金受給額と給料の合計額が47万円を超えれば、在職老齢年金制度による年金減額の対象となることに加え、減額部分については繰下げ受給による年金額増加の対象外となるからです。
 
つまり、在職老齢年金によって年金が減ってしまう方は、繰下げ受給をしても思うような効果が得られないことになります。
 

定年後の再雇用で給与が下がると年金も下がるの?

厚生年金の受給額は、それまでの加入期間と平均給与によって変動します。厚生年金により長く加入し、かつその間の平均給与が高い人ほど、将来受け取る厚生年金が多いということです。
 
しかし、定年後の再雇用は大抵の場合給与が下がります。それによって平均給与が下がってしまった場合、せっかく就労して厚生年金の保険料を納めても、受け取る年金の額は下がってしまうのでしょうか。
 
この点については、基本的には再雇用で給与が下がっても年金受給額が減ることはないようになっています。平均給与の額が下がったとして、加入期間も延びるため、もらえる厚生年金の額については増えることがほとんどです。
 
「再雇用で給与が下がると将来受け取る年金も下がってしまうのでは」という心配は、原則、する必要はないでしょう。
 

定年後の再雇用で年金受給額が減ることもある

定年後の再雇用によって年金と給与の額が47万円を超えてしまうと、在職老齢年金によって年金受給額が減少したり停止されたりする恐れがあります。
 
しかし、厚生年金に加入しない働き方を選択することや、給与と年金の額が47万円を超えないよう調整することで、再雇用で働いても年金受給額の減少を防ぐことができます。
 
定年後も再雇用で働くことを希望している場合、まずは年金と再雇用後の給与の額を確認し、在職老齢年金の適用についても考慮した働き方を検討していくとよいでしょう。
 

出典

日本年金機構 在職老齢年金の計算方法
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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