「家族の国民年金保険料」を支払ったら「贈与」になるの?「肩代わり」がお得な理由を解説
配信日: 2023.01.13
では、 親が家族の国民年金保険料を支払った場合、贈与に当たるのでしょうか?
本記事では、家族の国民年金保険料の支払いと贈与の関係について解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
目次
家族の国民年金保険料の支払いに贈与税はかからない
「人から人へ財産の移転は贈与」であり原則として贈与税の対象になりますが、「例外として贈与税がかからない財産」が国税庁で定められています。その一つが「夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの」です。
家族が支払うべき国民年金保険料を他の家族が肩代わりした場合も、厳密にいえば贈与に当たります。しかし、国民年金は20歳から60歳までのすべての人が加入しなければならないことを考慮すると、国民年金保険料は「生活費で通常必要と認められるもの」として贈与税がかからない財産に該当すると考えられるため贈与税の対象にはなりません。
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家族の国民年金保険料も所得控除の対象になる
国民年金保険料は、所得税や住民税を計算する際に「社会保険料控除」という所得控除の対象になるため、税金を減らす効果があります。対象になるのは自身の国民年金保険料だけでなく、生計を同じくしている配偶者や、その他の親族の国民年金保険料の支払いも含めることが可能です。年末調整や確定申告の際には、家族分の国民年金保険料控除証明書を忘れずに提出しましょう。
なお、社会保険料控除が受けられる年は、国民年金保険料を支払った日が該当する年になります。例えば、子の2019年と2020年分の国民年金保険料を2022年にまとめて支払った場合は、その支払額の全部が2022年の社会保険料控除の対象です。
家族の国民年金保険料を負担することでいくら節税できるのか
2022年度における国民年金保険料は1ヶ月当たり1万6590円です。これを世帯主である自営業の父親が配偶者の分を1年間支払ったとすると、1万6590円×12ヶ月=19万9080円の社会保険料控除を受けることができます。
所得税率10%、住民税率10%と仮定した場合の節税額は、19万9080円×(10%+10%)=3万9816円となります。
19万9080円もの負担は大きいですが、控除により何割かは税金が戻ってくることを鑑みると、幾分気が楽になるのではないでしょうか。
学生納付特例制度は親の立て替えも検討
学生には十分な収入がないことを考慮し、国民年金には学生時代の保険料の納付を猶予してもらえる「学生納付特例制度」が設けられています。10年以内に追納することで年金を増やせますが、年金受給まで遠い世代のため現実味がない、就職したばかりで経済的余裕がないなどの理由で、支払わないまま期限を過ぎてしまう恐れがあります。
この場合、ひとまず親が立て替え払いをして、子に経済的な余裕ができたときに返してもらうのも一つの手段です。こうすることで、親の税金を節税しながら子の年金を守ることができます。
家族分の国民年金保険料は贈与に当たらない上に節税になる
家族の国民年金保険料を他の家族が支払った場合の「贈与税は非課税」です。その上、支払った家族の「社会保険料控除」として税金を節税することもできます。また、税率が高いほど節税効果は大きくなり、年収が高い年ほどより効果的になるため、現役を引退する前に支払うことをおすすめします。
出典
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.1130 社会保険料控除
日本年金機構 国民年金保険料
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士