更新日: 2023.01.16 厚生年金
現役時代にパートで「年200万円」を稼いでいた場合、厚生年金はいくらもらえる?
現役時代にパートで毎年200万円の収入が続いた場合、将来受け取る厚生年金はどれくらいになるのか試算してみました。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
パートでも厚生年金に加入できる
厚生年金に加入できるのは正社員だけではありません。パートやアルバイトであっても、厚生年金被保険者(短時間労働者を除く)が常時100人(令和6年10月からは常時50人)を超える特定適用事業所に勤務している場合は、所定の要件を満たすことで厚生年金に加入し、将来、老齢厚生年金を受け取ることができます。
具体的には1週間の所定労働時間、および1ヶ月の所定労働日数が、同じ事業所で常時雇用されている正社員の4分の3以上ある場合は厚生年金の被保険者となります。
将来受け取る老齢厚生年金の金額は、パートなど雇用形態に関係なく、厚生年金加入期間と納めてきた保険料に比例して増加していきます。
なお、前述の要件を満たしていない場合でも、以下の要件のすべてに該当することでパート・アルバイトといった短時間勤務でも厚生年金に加入できます。
・週の所定労働時間が20時間以上
・賃金の月額が8万8000円以上
・継続して2ヶ月を超える雇用が見込まれる
・学生でないこと
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パート勤務で年収200万円の場合、受け取る厚生年金はどれくらいになる?
では、現役時代にパートで働いていた方が受け取る老齢厚生年金(国民年金から支給される老齢基礎年金部分を含む)について、厚生労働省の「公的年金シミュレーター」で試算してみましょう。
例えば、1980年6月1日生まれの方が、19歳から65歳までパートで厚生年金に加入して就労し、平均年収が200万円であった場合、年間で受け取る年金の見込み受給額(満額の国民年金の支給額を含む)は140万円で、月額では約11万6000円を受け取れる試算になります。
【図表1】
出典:厚生労働省 「公的年金シミュレーター」
また、同じ条件で23歳から65歳まで平均年収200万円で働いた場合では、見込み受給額は年間128万円、月額換算で約10万6000円となります。
【図表2】
出典:厚生労働省 「公的年金シミュレーター」
離職期間や収入が減った期間があると年金額はどう変わる?
現役時代に離職していた期間や、収入が減って年収200万円未満となっていた期間がある場合、その分、将来受け取る老齢厚生年金も減ることになります。
前述の条件(1980年6月1日生まれ、19歳から65歳まで平均年収200万円)による試算では、年間で受け取る年金の見込み額(満額の国民年金の支給額を含む)は140万円でした。
しかし、上記の就労期間のうち、例えば離職により25歳から30歳の6年間で収入がなかった場合では、将来の年金見込み額は年間122万円に減少します。
【図表3】
出典:厚生労働省 「公的年金シミュレーター」
現在、パートで年収が200万円の場合でも、過去に収入が低い期間や厚生年金に加入していない期間があれば、その分は将来受け取る年金額が少なくなることを覚えておいてください。
将来の厚生年金額を増やすには?
年金額をシミュレーションして「少しでも受け取る年金を増やしたい」と感じたのであれば、正社員を目指してみるのもひとつの手です。
正社員であれば必ず収入が増えるというわけではありませんが、一般的にはパートなど短時間勤務より年収が高いケースが多いです。年収が上がるということは、納める厚生年金保険料が増えて、将来の年金額も増加します。
正社員として雇用されるのが難しい場合は、65歳以降で就労を続けることも有効です。厚生年金には70歳まで加入することができるため、被保険者として就労して保険料を納めた分、年金額を増やせます。
それでもまだ足りないという場合では、例えば年金の繰り下げ受給を検討する必要もあります。年金の受給開始年齢は最大75歳まで繰り下げることができ、その場合は84%増額された年金を生涯にわたって受け取れるようになります。
パート勤務で平均年収が200万円であれば将来受け取る厚生年金は月10万円以上
現役時代にパート勤務で厚生年金に加入し、平均年収が200万円という場合では、加入期間にもよりますが、国民年金も含めて年間10万円から11万円程度の年金を受け取れることが想定できます。
ただし、年収が200万円よりも少ない期間があれば、厚生年金については受給額も減ることになるので、将来受け取る年金が気になるときは過去の年収も踏まえてシミュレーションをしてみてください。
出典
厚生労働省 公的年金シミュレーター
執筆者:柘植輝
行政書士