更新日: 2023.01.17 その他年金
「生涯年収」をもとに「将来の年金額」を計算するといくらになる?大卒男性は「年間245万円」!?
本記事では、令和4年度における厚生年金の計算式と国民年金の数値とともに、生涯年収別で受給できる年金を確認してみます。
執筆者:古市守(ふるいち まもる)
CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
月収から年金受給額の算出方法を確認
はじめに、月収から年金受給額の算定方法を確認します。平成15年4月以降の加入期間の場合の厚生年金年額は、以下の計算式で算出できます。
厚生年金年額=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入期間の月数
また、国民年金は20歳以上60歳未満の人に加入義務があり、仮に20歳から60歳まで40年間、480ヶ月分の保険料をすべて納めると、満額の老齢基礎年金として年額77万7800円受け取ることができます。
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生涯年収から考えた場合の具体的な年金受給額は?
独立行政法人労働政策研究・研修機構が毎年発表している「ユースフル労働統計」には、企業規模別での生涯年収が集計されています。直近の2022年11月に発表したデータを用いて、厚生年金、国民年金の受給額を具体的に計算してみます。
企業規模別で、1000人以上、100~999人、10~99人のデータが学歴別、男女別で発表されています。その中から、大学・大学院卒と高校卒を抽出して、男女別に算出してみました。
厚生年金の計算方法は、生涯年収を働いた月数で割って月収を算出し、1000円以下は切り捨てて平均標準報酬額として扱います。便宜上、大学・大学院卒は23歳から60歳までの37年(444ヶ月間)、高校卒は19歳から60歳までの41年(492ヶ月間)働くこととします。加入期間は平成15年4月以降として考えます。
また、国民年金は20歳~60歳までの間、満額で納めていたと想定します。そのため、各ケースともに国民年金の受給額は年額77万7800円として計算します。計算過程において1000円未満は切り捨てます。
企業規模1000人以上
大学・大学院卒における男性の生涯年収は3億620万円、女性は2億5810万円、高校卒の男性は2億7080万円、女性は2億130万円です。厚生年金と国民年金を合算した計算結果は次の通りです。
・大学・大学院卒
平均標準報酬額=3億620万円÷444ヶ月=68万9000円(1000円未満切り捨て)
厚生年金額=68万9000円×5.481/1000×444ヶ月=167万6000円(1000円未満切り捨て)
年間の年金受給額=厚生年金167万6000円+国民年金77万7800円=245万3800円
同様に計算すると、219万800円
・高校卒
平均標準報酬額=2億7080万円÷492ヶ月=55万円(1000円未満切り捨て)
厚生年金額=55万円×5.481/1000×492ヶ月=148万3000円(1000円未満切り捨て)
年間の年金受給額=厚生年金148万3000円+国民年金77万7800円=226万800円
同様に計算すると、187万9800円
企業規模100~999人
大学・大学院卒における男性の生涯年収は2億5760万円、女性は2億2900万円、高校卒の男性は2億3170万円、女性は1億7950万円です。計算式は省略しますが、結果は次の通りです。
男性:218万8800円
女性:203万800円
男性:204万4800円
女性:175万8800円
企業規模10~99人
大学・大学院卒における男性の生涯年収は2億2530万円、女性は1億9850万円、高校卒の男性は2億880万円、女性は1億5820万円です。計算結果は次の通りです。
男性:201万800円
女性:186万4800円
男性:192万800円
女性:164万2800円
自分の受給額の目安は?
算出した受給額は企業規模別の生涯年収から試算した目安額であり、月給によって上下することが想定されます。自身の月収を具体的に算式に当てはめてみることで、より正確な受給額をイメージできるでしょう。
出典
独立行政法人 労働政策研究・研修機構 ユースフル労働統計2022 労働統計加工指標集
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和4年度版
執筆者:古市守
CFP®・1級ファイナンシャル・プランニング技能士