更新日: 2023.01.23 年金

繰下げ受給は基礎年金と厚生年金別々にできるけど、繰上げ受給はどうなの?

繰下げ受給は基礎年金と厚生年金別々にできるけど、繰上げ受給はどうなの?
原則として65歳から受け取れる老齢基礎年金と老齢厚生年金ですが、年金の繰上げ受給によって受給開始のタイミングを60歳から65歳になるまでの間に1ヶ月単位で前倒せます。
 
年金の繰上げ受給を検討する人のなかには、「失業などに伴い生活費を確保する手段がない」「寿命を考慮して早いうちに年金を受給したほうがメリットは大きい」などの理由で老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方だけ繰上げたい人もいるのではないでしょうか。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰上げるほど、経済的余裕がないわけではないケースもあるでしょう。
 
結論からいうと、老齢基礎年金と老齢厚生年金のどちらか一方の繰上げ受給はできません。本記事では、年金の繰上げ受給時における、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受け取り時期などについて解説します。
 
FINANCIAL FIELD編集部

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年金の繰上げ受給とは?

年金の繰上げ受給とは、原則として65歳から受け取れる年金を60歳から65歳になるまでの間に1ヶ月単位で繰上げられる制度です。年金を前倒して受け取れますが、繰上げ受給の請求を行った時点で受け取れる年金が減額します。減額率は生涯にわたって変わりませんので、繰上げ受給の必要性や自身の健康などを考慮して判断する必要があります。
 
年金の繰上げ受給によって減額される年金額は、振替加算額を除いた老齢基礎年金の額および、加給年金額を除いた老齢厚生年金の額に、以下の減額率(最大24%)を乗じて計算します。
 
・減額率=0.4(%)※×繰上げ請求をした月から65歳に達する日の前月までの月数
※昭和37年4月1日以前生まれの人の減額率は1ヶ月あたり0.5%(最大30%)
 
繰上げ請求を行うと、請求日の翌月分より年金が支給されます。繰上げ受給をする際には、生涯にわたって減額された年金を受け取るだけでなく、以下の点にも注意してください。

●繰上げ決定後の取り消し・変更はできない
●国民年金の任意加入や保険料の追納ができない
●共済組合から支給される老齢年金も、原則同時に繰上げ請求することとなる
●厚生年金基金から支給される年金も減額される場合がある
●65歳まで雇用保険の基本手当や高年齢雇用継続給付が支給される場合、老齢厚生年金の一部または全部の年金額が支給停止となる(老齢基礎年金は支給停止されない)
●障害年金や遺族年金が受け取れない
●寡婦年金の受給権を喪失する
●配偶者死亡時に、65歳に達するまでは遺族厚生(共済)年金と併給できない
●老齢厚生年金や退職共済年金を受給中、年金に定額部分の支給がある場合、定額部分は支給停止となる

 

基礎年金と厚生年金を別々に繰上げ受給できる?

 
年金を繰上げ受給する際に、老齢基礎年金と老齢厚生年金の受け取り開始時期を別々にできません。繰下げ受給によって年金の受け取り時期を後ろ倒す場合は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々にできますが、繰上げ受給には適用されないため注意してください。
 
例えば「老齢基礎年金だけ62歳頃から受け取りたい」ということは認められません。老齢基礎年金と老齢厚生年金は、どちらか一方だけの繰上げ受給ができず一緒に繰上げると定められています。
 

生活に必要なお金を把握して年金を受給する時期を調整しよう

 
年金の繰上げ受給時の減額率は1ヶ月あたり0.4%となり、最大の5年間繰上げると減額率は24%(0.4×60ヶ月)です。生活費の確保や体調などを考慮することも必要ですが、受け取れる年金を少しでも増やすためにも年金の繰下げ受給ができないか検討してみましょう。
 
老齢基礎年金および老齢厚生年金は原則65歳から受け取れますが、希望すれば66~75歳までに繰下げが可能(1952年4月1日以前に生まれた人は70歳)です。1ヶ月繰下げるごとに0.7%増額されるため、受給開始時期を遅くすればするほど受け取れる年金が増えます。
 
・増額率=0.7%×65歳に達した月から請求月の前月までの月数
 
1年(12ヶ月)繰下げると8.4%、3年(36ヶ月)で25.2%、5年(60ヶ月)で42.0%、10年間になると84.0%も増額できるのです。令和4年度の国民年金の満額は年77万7800円(1ヶ月6万4816円)ですから、受給を5年遅らせれば年額110万4476円、10年で143万1152円になりますので、繰下げるメリットは大きいといえるでしょう。
 
なお、増額されるのは国民年金だけでなく、厚生年金も対象です。
 

最適なタイミングを理解して年金を受給しよう

 
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、別々に繰上げることはできません。どちらか一方のみ繰上げて、もう一つは65歳以降で受け取るといった方法を選べない点に注意してください。
 
繰上げ受給は年金を早く受け取れるメリットがあるものの、65歳以降に受け取るよりも減額されます。可能であれば年金の繰上げ受給ではなく預貯金を生活費に充当したり、早いうちから投資を行ったりするなどして、受け取れる年金額を増やす方法を検討してみてください。
 

出典

日本年金機構 年金の繰上げ受給
日本年金機構 年金の繰下げ受給
日本年金機構 老齢年金ガイド 令和4年度版
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]第11 老齢年金の繰下げ受給と繰上げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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