年金の「未納者も多い」は本当?「年金未納率」の実態を解説!
配信日: 2023.01.23
「未納率は4割」といわれ、「そんなに払っていない人がいるなら自分も払わなくてもよいのでは?」と思った方も多いかもしれません。また、未納率の高さから、年金制度の崩壊を危惧する声も広まりました。
しかし、年金制度全体を見ると、「未納者も多い」とは一概にいえない状況がうかがえます。公的年金の納付率の実態についてみていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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国民年金の納付率 は78%だが……
厚生労働省がまとめた「令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況」によると、令和3年度の国民年金の最終納付率(令和元年度分保険料)は78%です 。統計を取り始めた平成16年度以降では最高です。
また、途中経過を示す指標として令和3年度の当年度の納付率(令和3年度分保険料)は前年度比2.4ポイント増の73.9%で、平成23年度分保険料から10年連続で上昇しています。つまり、かつての未納問題が騒がれた時よりも納付率は伸び続けています。
一方で、最終納付率が78%ということは、「未納者も22%、つまり2割もいるのか?」と感じるかもしれません。しかし、22%の中には年金保険料の「免除」や「猶予」が認められている人が含まれています。
また、「最終納付率」とは、納付対象月数に対する納付月数の割合として算出していますので、単純に納付率=納付者率とはなりません。
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公的年金に加入すべき対象者
そもそも、公的年金は日本に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入しなければなりません。そして、年金の被保険者は3つに分類されます。
・第1号被保険者:自営業、フリーランス、学生、フリーター、無職など
・第2号被保険者:会社員、公務員など
・第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者
このうち、第2号被保険者は会社が年金保険料の手続きを行いますので、未納となることはありません。また、第3号被保険者も、自分で年金を納めません。つまり、年金保険料が未納となる可能性があるのは第1号被保険者だけといえます。
本当の未納率は1.6%!
それでは具体的に、年金を支払うべき人数に対して、どれだけの人が未納なのでしょうか?令和3年度末の公的年金加入者数は6725万人であり、そのうち未納者は106万人です。つまり、実際の未納者率はわずか1.6%ということになります。
22%が未納というとちょっと心配になりますが、1.6%というと、そこまで年金財政の破綻を心配する方もいないのではないでしょうか。
国民年金を払わないと損をする
もしも自営業者などで国民年金を払っていないという方は、加入手続きや未納分の支払いをおすすめします。
その理由の一つとして、国民年金を支払わないと自分が損をすることが挙げられます。年金は、決められた期間保険料を支払った方にのみ支給されます。しかし決められた期間保険料を納付していないと、年金は全く支給されません。
また支給される年金の原資は保険料と税金です。間接的に私たちが普段支払っている税金から、支給されているということです。年金保険料が未納の人も、何らかの形で税金は支払っています。ですが、税金は支払っていても、その分年金として受給することができません。
年金未納の方は、支払った税金の一部を年金として受給できない分、損をしてしまっていると考えられます。
国民年金はしっかり払い、難しいなら猶予や免除の申請を!
国民年金に加入することは国民の義務です。また、国民年金は老後に受け取る老齢年金以外にも、自分が亡くなったり障害を負ったりした際にも受け取れる保険的な役割があります。
しっかりと払い、もしも経済的な面などで支払いが困難であれば、猶予の申請をするようにしましょう。
出典
厚生労働省 令和3年度の国民年金の加入・保険料納付状況について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部