更新日: 2023.02.03 その他年金
認知症で「障害年金」を受給できる? 審査のポイント「等級判定ガイドライン」についても解説
等級判定ガイドラインは、医師が診断書に記載する事項となり、審査でポイントになる部分です。内容は日常生活の状態に関わる事項のため、申請者もしっかりと内容を理解して、医師に伝えられる準備をしておきましょう。
本記事では等級判定ガイドラインの内容を具体的な例を挙げて解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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認知症で障害年金を受給するための認定基準
認知症で障害年金を申請する場合、認定基準に該当することが条件となります。
認知症における障害年金の認定基準は図表1のとおりです。
【図表1】
日本年金機構 令和4年4月1日改正障害年金基準より筆者作成
分かりやすくいうと、以下の状態をいいます。
・1級は日常生活を送るために常に援助を必要とする状態
・2級は日常生活に支障が出ている状態
・3級(障害厚生年金のみ)は日常生活の支障はないが、仕事に支障が出ている状態
このように認知症の障害年金の認定基準が定められていますが、認知症では他にも「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が定められており、審査の基準となっています。
精神の障害に係る等級判定ガイドラインとは、診断書の記載項目である「日常生活能力の判定」および「日常生活能力の程度」に応じて等級を判定する基準です。
図表2は、縦軸が日常生活能力の判定での4段階評価の平均値、横軸が日常生活能力の程度の5段階評価となっています。縦軸と横軸が重なったところが障害年金の等級の目安となりますが、正式な認定結果は診断書など他の要素も含めて総合的に評価された後に決まります。
また障害基礎年金の場合は1級と2級のみの受給となるため、図表2の3級に該当した場合、2級非該当と読み替えます。
【図表2】
日本年金機構 国民年金・厚生年金保険精神の障害に係る等級判定ガイドライン
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7つの場面で適用される日常生活能力の判定
日常生活能力の判定では7つの場面に分けて4段階で評価されます。申請書類の作成の際、日常生活能力の判定の判断にあたっては、単身で生活するとしたら可能かどうかという基準で判断しましょう。
図表3では審査ポイントとなる具体例を一部紹介します。
【図表3】
日本年金機構 精神の障害用の診断書を提出するとき より筆者作成
このように日常生活能力の判定では家の中だけでなく、外出時に1人で適切な判断が下せるか、他人と適切なやりとりができるかなどの項目が含まれています。
図表3の7つの項目を、それぞれ図表4の4段階に分けて評価します。
【図表4】
日本年金機構 精神の障害用の診断書を提出するとき より筆者作成
日常生活能力の程度
日常生活能力の判定と合わせて、図表5の日常生活能力の程度の判定もあります。障害年金受給希望者の日常生活の程度で4段階評価され、等級を決めるポイントです。
日常生活能力の程度の具体例を一部紹介します。
【図表5】
日本年金機構 精神の障害用の診断書を提出するとき より筆者作成
このように日常生活能力の判定は、援助がなく日常生活が送れる状態かどうかを判断する項目です。(1)は精神障害を持っていない人と同じように生活ができる状態となり、数字が上がるごとに援助が必要な場面が増え、5段階で判定されます。
まとめ
認知症による障害年金の認定は「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を基準とした、日常生活が適切に送れているかどうかの判定となります。
受給希望者は日常生活の状況を医師に記載してもらうため、しっかりと日頃の様子を伝える必要があります。そのためにも、医師とコミュニケーションをとり、医師とともに障害年金の申請書類を作り上げる気持ちで取り組むとよいのではないでしょうか。
出典
日本年金機構 精神の障害に係る等級判定ガイドライン
日本年金機構 障害認定基準(令和4年4月1日改正)
日本年金機構 日常生活及び就労に関する状況について
日本年金機構 精神の障害用の診断書を提出するとき
※ 2023/2/3 記事を一部、修正いたしました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部