更新日: 2023.01.26 その他年金
令和5年4月1日施行「65歳からの年金をさかのぼって受け取るときの特例」とは何?
この新制度は、70~80歳の誕生日の前々日までに一括受給の請求をした場合、5年前に繰下げ受給の請求があった状態とみなされ、増額された年金を一括受給できます。また、一括受給後の年金額は5年前の繰下げ受給の増額率で受け取れるのです。
本記事では、年金の繰下げ受給の概要をはじめ、65歳からの年金をさかのぼって受け取るときの特例について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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年金の繰下げ受給とは?
年金の繰下げ受給とは、原則として65歳から受け取れる老齢基礎年金と老齢厚生年金の受給開始時期を本人の希望によって繰下げて増額した年金を受け取ることができる制度です。繰下げた月数に応じて、年金受給額を増やすことができる点が最大のメリットで、2022年4月からは70歳までだった繰下げ年齢が75歳まで延ばせるようになっています。
年金の受け取り時期を繰下げた場合、65歳から受け取るのと比べて1ヶ月ごとに増減率が0.7%上がります。1年間繰下げると8.4%、75歳までなら最高84.0%も年金受給額を増やすことができます。年金以外の収入源があったり、預貯金などで生活費の捻出が可能だったりする場合、繰下げ受給によって増額された年金を受け取ることも可能となります。
ただし、繰下げられるのは老齢基礎年金と老齢厚生年金のみで、遺族年金や障害年金は繰下げられません。年金における家族手当のような意味をもつ加給年金も、繰下げている期間は加給年金を受け取ることができない点にも注意が必要です。
上記の特徴から年金の繰下げ受給をするのが向いている人は以下のとおりです。
・65歳以後も給与などで収入を得られる人
・専業主婦(夫)などで自身の受け取れる年金額は少ないが、配偶者が働いていて世帯収入のある人
・目立った病歴がなくて健康状態に自信がある人
つまり全般的にいえば、年金をもらわなくても当分の生活に困らない人です。
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65歳からの年金をさかのぼって受け取るときの特例
令和5年4月1日から、「65歳からの年金をさかのぼって受け取るときの特例」が施行されますが、概要は以下のとおりです。
・年金を受け取る権利が発生してから5年経過後に、繰下げ受給の申出を行わず老齢基礎(厚生)年金をさかのぼって受け取ることを選択した場合は、請求の5年前に繰下げ受給の申出があったものとみなして増額された年金を一括で受け取ることができる
・一括受給後の年金額は、5年前の繰下げ受給の増額率が適用
なお、65歳からの年金をさかのぼって受け取るときの特例が対象になるのは、昭和27年4月2日以降に生まれた人または平成29年4月1日以降に受給権が発生した人で、令和5年4月1日以降に年金の請求を行う人です。
年金をさかのぼって受け取るときの注意点
年金には時効があるため、さかのぼって受け取れるのは5年間です。例えば、受給開始時期を繰下げていた人が73歳0ヶ月で一括受給する場合、対象になるのは68歳0ヶ月から73歳の誕生月前までの年金です。65~67歳の分は時効によって消滅してしまいます。
このように請求をしない状態で5年が経過したとしても、さかのぼりはできませんので注意してください。
特徴を理解したうえで特例の利用を検討しよう
年金の繰下げ受給の概要をはじめ、令和5年4月1日に施行される「65歳からの年金をさかのぼって受け取るときの特例」について解説しました。
65歳で年金を受け取らずに繰下げていても、後に現金を必要とするタイミングが発生する可能性があります。65歳からの年金をさかのぼって受け取るときの特例について知識を深めたり、自分にメリットがあるのかを考慮したりしたうえで利用を検討してみてください。
出典
日本年金機構 年金の繰下げ受給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
監修:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー