更新日: 2023.01.30 国民年金
「国民年金保険料」の支払いが負担…「滞納」を続けたらどうなる?
そこで、本記事では国民年金保険料を滞納した場合、どのようなことが起こるのか解説します。また、納付の免除や猶予を申請できるので、承認された場合のメリットについても説明していきます。
執筆者:田邉史(たなべ ふみ)
二級ファイナンシャルプランニング技能士
国民年金保険料を滞納したらどうなる?
国民年金保険料の支払いが滞った場合には、電話や書面、訪問などで自主納付が促されます。
下記の封筒が送られてきますが、無視をしていると、1通では済みません。最初は青色から始まり、黄色、赤色と段階を踏んで色を変えながら警告を強めます。
●特別催告状
●最終催告状
●督促状
それでも放置した場合は、ペナルティーとして「滞納金」が課せられます。さらに滞納が続く場合には最後の予告となる「差押予告通知」が届きます。
差押予告通知書には、滞納分を徴収するために財産の差し押さえや換価処分を実施することをはじめ、「支払う意思がある場合はすぐに連絡をするように」と記載されています。この差押予告通知書を放置し続ければ、不動産や預金、給与などの財産をある日突然差し押さえられてしまいます。
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保険料には支払いの免除や猶予がある
それでは、国民年金の納付が難しい人はどうすればいいのでしょうか? 支払えないときには申請をして承認されれば、以下の免除や猶予をしてもらえます。
申請免除
経済的な理由等で納付が難しい場合に申請し、所得の審査を経て承認されると、保険料が免除されます。免除には全額免除と4分の3免除、半額免除、4分の1免除の4段階があります。
学生納付特例制度
第1号被保険者で、本人の所得が一定以下の学生に向けた制度です。申請することで、保険料の納付が猶予されます。
納付猶予制度
50歳未満の第1号被保険者で、本人と配偶者の所得が一定以下の人が対象となります。申請をすれば、保険料の納付が猶予される制度です。
臨時特例免除
新型コロナウイルス感染症の影響により、保険料の納付が困難となった人に向けた臨時特例です。2020年5月1日から開始された制度で、2020年2月分以降の国民年金保険料が対象となります。申請した月から、2年1ヶ月前までの期間の申請ができます。
法定免除
障害基礎年金を受給している人や生活保護を受けている人が、届け出をすることで保険料の全額が免除される制度です。
納付免除や猶予を受けたときのメリットは?
納付の免除や猶予を受ければ、督促状が届いたり、財産を差し押さえられたりすることはありませんが、それ以外にもメリットはあります。
免除期間は国民年金受給額へ反映される
免除を受けた期間は、将来受け取る年金額に反映されます。全額免除の期間は保険料を全額納付した場合の2分の1、4分の3免除の期間は8分の5、半額免除の期間は4分の3、4分の1免除の期間は8分の7が反映されます。
受給資格期間に算入される
国民年金は、受給資格期間が10年以上なければ受け取ることができません。受給資格期間とは、保険料を納付した期間と保険料免除期間、合算対象期間を併せた期間を指します。
つまり、申請をせずに未納のままにしていると保険料免除期間にも合算対象期間にも加算されないということです。その結果、受給資格期間が10年未満になれば、国民年金を受け取れないということにもなりかねません。
追納できる
国民年金の保険料は納付期限から2年以上経過すると、納付はできません。しかし、免除や猶予を受けた期間については10年以内の追納ができます。10年以内であれば、後から受給年金額を満額に近づけられるということです。
ただし、免除や猶予を受けた期間の翌年度から3年度目以降は加算額が上乗せされるため、早めに追納した方がいいでしょう。
免除期間と年金受給額
保険料の免除や猶予の制度について説明してきましたが、受給資格期間への算入と国民年金への反映について図表1にまとめましたのでご参考にしてください。
図表1
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度より筆者作成
支払いが難しいときには申請をした方がいい
国民年金保険料の納付は国民の義務とはいえ、保険料を支払うのが難しい方もいるでしょう。しかし、未納のままにしておくと、督促状が届いたり、財産を差し押さえられたりしてしまいます。
さらには、受け取る年金額が減るのはもちろんのこと、最悪の場合には年金を受け取れないというケースもありえるのです。そうならないためにも、保険料の支払いが困難な場合には免除や猶予の申請を行いましょう。
出典
日本年金機構 Q 国民年金の保険料はいくらですか。
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
執筆者:田邉史
二級ファイナンシャルプランニング技能士